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江崎道朗 『 コミンテルンの謀略と日本の敗戦 』 感想


 祝!!江崎道朗先生、第一回アパ日本再興大賞受賞!!(ノ゚ー゚)ノ☆パチパチ☆ヾ(゚ー゚ヾ)

公益財団法人アパ日本再興財団主催 第一回アパ日本再興大賞受賞者発表 江崎道朗氏の「日本は誰と戦ったのか コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ」が受賞!

 というわけで?遅ればせながら、1年以上前に発売された著作ですが、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』の感想です。いろいろ読んで書き留めてはなかなか書けない悪循環に。。ゴニョゴニョ。えーと気を取り直して。
 

 こちらは涙を流しながら読む本です。涙にはいろんな涙があります。悲しさや切なさ故に溢れ出す涙。感動とともに流す温かな涙。登場人物の理不尽な境遇に共感しながら流す怒りの涙。この本を読んだ時と同じような感覚になったのは堀栄三『大本営参謀の情報戦記』倉山満先生の『帝国憲法物語』でしょうか(どちらも感想を書いていますので、宜しければお読みください_(._.)_ 堀栄三 大本営参謀の情報戦記 感想 倉山満 「帝国憲法物語」感想)。前著は情報を軽視し、そして本当に大切な情報を握りつぶすようなことをした人がいたために、日本がいかに愚かな戦いをしたのかを思い知らされました。先の大戦の評価は様々です。ある人は「アジア解放のための聖戦だ」と言います。ある人は「勝てるはずのないアメリカと戦った日本はすごい国だったのだ」と。私は国のため、残された人のために戦って死んだ人は本当に偉かったと思いますし、感謝しています。しかしながら、戦死よりも餓死が多いという作戦も何もないやり方をしたこと。このような戦争をしてしまった人への怒りや反省もないままにこの戦いを美化すべきでは無いと思います。
 そして、『帝国憲法物語』。日本を列強に飲み込まれない強い国にするために奮闘した先人達。その思いの結晶が「大日本帝国憲法」でした。しかし我々は敗戦でその憲法を奪われてしまいました。このことへの反省や痛み無くして改憲論議をして何の意味があるのでしょうか。憲法に「自衛隊」を書き込んだら、戦地に充分な物資は送られるのでしょうか。自衛隊に予算をつけるなど憲法改正をせずとも出来るはずです。自衛隊に名誉を与えることも。なぜそれをせずに改憲なのでしょうか。

 本書はコミンテルンや彼らの歴史についても語られています。しかしながら日本が彼らの謀略に嵌められたからあの戦争をし、負けたという話ではありません。実際に起こったことは「日本の自滅」でした。ならば昔の日本人は愚かだったのでしょうか?

 日本は昔から識字率も高く、民間での教育も盛んでした。明治維新は薩長の志士たちを中心として行われましたが、薩摩藩は「郷中教育」といって地域の子供たちが互いに学問や武道、道徳も教え合う習慣があり、西郷隆盛と大久保利通も、そんな中で幼い頃から研鑽した仲間でした。長州の志士たちも「適塾」「松下村塾」で日本の将来を我が事と考え学んで来た人達が中心でした。その彼らが築き上げた明治以降の日本はどこからおかしくなったのでしょうか。江崎先生は、日本が列強に飲み込まれないように必死に学ぶエリートたちは、その使命感故に、西洋を学ぶことを、日本の伝統を否定することと誤解してしまった、そこから「エリートの日本」「庶民の日本」が分断されてしまうという悲劇が起こったといいます。そして当時の日本はイギリスよりも多くをフランスやドイツから学んでおり、流行していた政治思想が、「進歩主義」「社会主義」だったと。

 富国強兵を目指し、近代産業国家へと突き進んでいけば、当然、労働問題や貧困問題に行き当たります。それを解決するために社会主義に傾倒していくのは仕方のない側面もあります。しかもその過程で日本は、特に大正から昭和にかけて経済政策に失敗します。そして、私も常々思うのですが、なぜかいわゆる保守と呼ばれる人たちは、社会保障政策に対して疎いし冷たい。明治23年の第一回帝国議会で、第一号法律案として「窮民救助法案」が提出されました。しかしながら「なぜ一部の困窮者を助けるために国民の税金を使うのか」との批判が多数を占め、衆議院はこの法案を否決してしまいました。このような状態では心ある若者がますます社会主義に傾倒してしまうことも頷けてしまいます。

 このような状況で「エリート」は大正時代以降、主に三つのグループに細分化していたと江崎先生は語ります。

 第一が社会主義にのめり込んだ「左翼全体主義」のグループで、彼らはソ連・コミンテルンの「秘密工作」に呼応していく。

 第二は、資本主義と議会制民主主義を批判し、内心では社会主義に共感しながらも「左翼」を弾圧した「右翼全体主義者」

 第三は、聖徳太子以来の政治的伝統を独学で学び、不完全であっても資本主義、議会制民主主義を尊重し、統制経済に反対し、コミンテルンに警戒心を抱き、皇室のもとで秩序ある自由を守ろうとした「保守自由主義者」

 このような中で政府や「右翼全体主義者」のやり方は愚かでした。彼らは社会主義に理論的に反論するのではなく、ただ取り締まりと弾圧で臨みました。結局彼らのやったことは、困窮者を思い、それを解決するために社会主義を学んでいた人達を反体制側に追いやることになってしまいます。

 共産主義の脅威が高まると、政府は治安維持法(大正14年)で活動家を取り締まり、共産党は機能しなくなりましたが、そのことにより偽装転向者が軍の中枢部や革新的官僚の中に入り込むこととなりました。なぜ彼らが簡単に入り込めたのか?それは結局は「右翼全体主義者」が行った弾圧にあります。共産主義や社会主義を学ぶだけで非難されるような言論空間になれば、当然、敵のことを知るためにそれを学ぶということも困難になります。それでは結局、敵の手口を知ることも出来ず、術中にはまってしまっても当然です。その結果どうなったのでしょうか。

 社会主義を批判しているにも関わらず、「右翼全体主義者」達は彼らの術中にはまったかのように統制経済を進め、憲法が制定されたときは、立憲君主国を目指していたはずなのに、美濃部達吉の「天皇機関説」は徹底的に批判され、弾圧されました。天皇親政を叫んで起こされた二・二・六事件ですが、あの精神的支柱とされた北一輝の『日本改造法案大綱』といい、現代の我々から見たら共産主義革命と何が違うのかさっぱりわからないものです。

 そしてさらに悲惨なのが、政府や「右翼全体主義者」たちが、「左翼全体主義者」のみならず「保守自由主義者」をも弾圧したことです。東条英機に関してはあの理不尽な東京裁判のせいで処刑された彼に同情する人も多い。しかしながら、彼が開戦したにも関わらず、どのように終戦に持ち込むかのプランもなく、それに関して発言した人達を弾圧し、拘束し、そして死地に配置転換したことも事実なのです。

 本書を読むことでなぜそのような状況になってしまったのかを垣間見ることができます。しかしながら、江崎先生は言います。この本は過去を反省するためや、一部の人達を断罪するためのものではなく、賢く、強い日本を築いていくためのものだと。

 私は、以前に2冊の江崎先生の本の感想を書きました。

江崎道朗 『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』 感想

江崎道朗 『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』感想

 このブログでメインで取り上げている倉山満先生の著作にも通ずることですが、単なる歴史や評論のための本ではありません。その事象が「どうだったか」、あるいはそれを検証して「どうなるか」を予測するのではなく「どうするか」を考えるための本なのです。

 この本で大変興味深かったのが、「保守自由主義者」とされた人達。小田村寅二郎を中心とする学生グループの「日本学生協会」とその卒業生たちによる民間シンクタンクの「精神科学研究所」の関係者たちです。なぜ彼らがこのような言論状況にあっても日本が陥りつつあった危機を的確に見て取ることが出来たのかです。それは彼らが積み重ねてきた思想的鍛錬にあると江崎先生は言います。改めて学ぶことの大切さについて感じます。

 現在の我々はこの戦前の言論状況を「愚かだった」と一笑に付すことが出来るのでしょうか。それどころか、所謂「保守」と呼ばれる愛国者たちが、まるであの戦争を「聖戦」であったかのように語ることに戦慄を感じます。そして、なぜか多くの保守と言われる人が、自由主義経済を「新自由主義」などとレッテル貼りし、民間を軽視し、「規制緩和」との言葉を発しただけで発狂して、大きな政府と統制経済を叫ぶのです。保守というのは定義するのが難しい概念です。もともとは定義する必要がなく、「革新」に対するものとして生まれたものだからでしょう。いつから日本人は「大きな政府」や「統制経済」を「保守」だと勘違いしてしまったのでしょうか。日本の歴史は戦前のほんの70数年前からの一時代ではないはずなのに。

 「コミンテルン」に関する研究や本も未だに少ない我が国の状況。「保守自由主義者」小田村寅二郎に関しても、初めて知るかたも多いのではないでしょうか。これからの国の行く末を考えるための必読の書です。読み始めたら止まらなくなること間違いなし!お薦めです!!



 



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平井基之 『ビジネスで差がつく論理アタマのつくり方』 感想


 チャンネルくららでおなじみ、受験戦略家 平井基之先生の本が出版されましたヾ(*´∀`*)ノ

 温和なルックスに騙されてしまいそう(?)ですが、平井先生は東大の文理どちらにも合格した凄い人なのです。受験に役立つ勉強法のみならず、ビジネスや政治、最近では子育てに関する発信もなさっています。

東大に文理両方で合格した男が綴る、受験の戦略

 そんな平井先生の御著書ですが、初版本の手に入りづらい田舎のうちの近所の書店でも並んでいました!やはり手に取って内容を確認して買えるのは嬉しいですね。

 チャンネルくららで紹介されていたとおり、大変読みやすい本となっております。大事なところはマーカーで印があり、章の最後にはまとめもあるという親切ぶり。読もうと思えば立ち読みで済ませてしまうことも出来るかもしれません。しかしながら、その場で読んで理解するのとそれを実際にやるのとはまた違います。ここは読み返して実践するために手元においておきたいところです。
 
 中一数学と書かれていますが、小学一年生でも理解できる算数の話から、いかにして論理的に読み解き思考するかが書かれています。勉強も仕事も出来る人にとっては考えるまでもなくやっていることかもしれません。ただ、自然にやれない人でも、やり方さえわかれば、より楽に楽しく学ぶことも出来ます。そのためのテクニックがいっぱい詰まっている本です。

 今回はこの本を読んで、これやってみようと思えたものと、これはやったことがあるけど本当に効果があるよというものをネタバレにならない程度に紹介しようと思います。

・同じものは覚えなくてよい
 こちらでは「同じ」「違う」「順番」の3つのプロセスを使った論理思考が基本とされています。同じものは覚えなくていいなんて当たり前の事だと思われるかもしれません。しかしながら、勉強の苦手な人のやりがちなことですが、何がわかって何がわかっていないかがまずわかっていない。だからやみくもに全部やろうとする。効率も悪く、時間がかかりますし、結局理解できないという悪循環になりかねません。それを確認するには、まず何が「同じ」で何が「違う」かを区別する。その上で、その覚えた「同じ」ものはもう覚えなくても良い。それがわかるだけで随分効率が変わると思います。私の現在の仕事が結構煩雑な書類を扱っていて、手順を覚えるのが大変なのですが、このやり方でまずは何が「同じ」かで分類して、そこからやり方を整理してみようと思えました。

・塾に通わず学年1位を取り続けた女の子の話
 とても素敵なエピソードなのですが、実はこれと同じようなことを高校生の時にやったことがあります。私の通っていた高校で学校の都合である教科が選択制になり、この授業を受けることを楽しみにしていた友人が受けられなくなってしまったのです。その時取った私の行動。高校3年生という受験待っただ中でしたし、長くは続けられなかったのですが、それでもこの教科で最初から最後まで私はトップの成績を取り続けたのでした。ただ授業を受ける、やみくもに覚える、それだけではなく、ある意識を持ってインプットとアウトプットをすること。それだけで成果はかなり違ったものになるということでしょうか。なかなか難しいことではありますが、実体験として効果があったのでこれはお薦めできる方法です。詳しくは実際に手に取って読んでいただきたいです。

 先に言った通り、すらすら読めるとても良い本です。そしてビジネスマンのみならず、学びたいと思っている人全てに役立つヒントにあふれています。お薦めです!!

 





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千葉麗子 『ママは愛国』 感想


 久しぶりに本の感想です。本当は『悲しいサヨクにご用心』が重版ということで感想を書こうと読み返していたのですが、こちらを先に書きたくなってしまいました。

 本の楽しみ方にはいろいろあると思います。きちんと最初から最後まで順番違えず読む人、後書きや参考文献から読む人、著者や出版社からその背景を考える人。私が目を見張ったのはこの美しい表紙です。

 今時珍しい白だけの表紙。そしてシンプルに「ママは愛国」のタイトルと「千葉麗子 Reiko Chiba」の著者名。黒い文字に一点だけ、国の中の「、」赤い♡になっている。本当にシンプルなのですが、その表紙の白がただ白いだけではない、何とも上品な色合いの白。紙の材質には詳しくない私ですが、光沢はあるのにテカテカしていない。この本の制作に関わった方たちのセンスや著述者としての千葉麗子をどのようなイメージで売りたいのかなど非常に丁寧に考えて作られたのかが伺えます。

 彼女自身の過去に関する記述は本当に短くシンプルですが、彼女がいかに自分の意思で力強く自分の人生を切り開いてきたのかを伺い知ることが出来ます。16歳で福島から上京してアイドルになったにも関わらず、人気があるうちに引退して企業を立ち上げようという決断力。自分の適性や将来をきちんと見据える力がなければ出来るものではないでしょう。そして、反原発運動に身を投じたのも故郷福島に対する思いと、母として確かな未来を息子につなげたいという思いから。保守言論界はどうしても男性の活躍が目立ちますが、彼女のように我が子を愛する気持ちからいったんサヨク活動に身を投じても保守に目覚める女性がいるのだということは知っていただきたいです。

 日本って本当にいい国だ、だからもっと日本のことを知りたいし、皆に伝えたい。それにはどうすればいいのか。それに対して基本的な事、「教育勅語」や「修身」について、千葉さんと一緒に学ぶという形で本書は進んで行きます。

 倉山満先生との対談は必読です。昭和天皇の「玉音放送」は有名ですが、一般的にビデオメッセージと言われている平成二十三年三月十六日の東北地方太平洋沖地震に関する天皇陛下のお言葉も、本来は「玉音放送」です。そして、昨年の8月8日の陛下のお言葉も。その三つの「玉音放送」について倉山先生と丁寧に言葉が交わされます。それを通して千葉さんがこの誇るべき日本という国を彼女の愛する息子に渡したい、そしてもっと勉強したいと気持ちを新たにする流れはとても感動的です。

 日本の凄いところは、日本人なら誰でも当たり前と思っていることが日本以外の国の人にとっては凄いことだったりするところ。お弁当だったり、お菓子だったり、ネイル技術だったり、ほんのちょっとしたサービスだったり。ネイル技術は私には出来ませんが、日本のお母さんって本当は凄い?!謙遜が日本人の美徳なのかもしれませんが、褒められると嬉しいことってありますよね。それはお母さんも国を愛する人たちも同じこと。愛国心なんて言葉を使うだけで右翼呼ばわりされてしまうような悲しい我が国の状況。でも本当は凄い日本や日本のお母さんをちゃんと評価する事は大事ですよね。

 そういった活動を否定はしませんが、日の丸を振ってデモをするより、お母さんにありがとうの一言をきちんということ、きちんと伝えること。そちらの方が、日本を良くすることにつながるのではないかと、母としての千葉さんの姿を見た時思ってしまいました。歴史を学ぶこと、それを伝えることは本当に大切なのですが、当たり前だと思われながら実は凄いことをしている人に感謝を伝えるという当たり前のことが出来る人が保守なのではないでしょうか。そして、それが出来る人でないと結局学んだことが生かせないのではないのでしょうか。

 左翼活動に身を投じる人は総じて、勉強熱心で真面目な人が多いです。教育界は左翼に牛耳られていますので。しかしながら国家を破壊する方向に進んでいく左翼活動。自分の家族、その源たる母親を愛していたらそんなことは出来ないのではないかと思うのです。そして、これは千葉さんと同じ年頃の息子を持つ身だからこその願望かもしれませんが、大学時代の恩師の「子供は母親からの影響を一番強く受ける。だからこそ(母となる可能性のある)女性は学ばなければならない」という言葉からの自身の教訓でもあります。

 新著も好評ですが、まだお読みでない方は是非こちらの方も手にお取りいただけたらと思います。



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田母神俊雄 『日本の敵』 感想


 田母神俊雄氏の5月22日の一審判決後初の著書!今後も続々出版予定だとか。講演の予定も多数のようで社会復帰に向けて着々と進んでらっしゃいますね。

 平成26年2月9日に行われた東京都知事選挙。そこで集まった1億3000万円の支援金。その10カ月後、衆議院選に出るときにはその金は1000万ほどしか残っていなかった。会計責任者が横領を自白、警察にも相談し調査している最中に、なぜか選対本部長であり、田母神氏の相談相手でもあった日本文化チャンネル桜の代表である水島社長が、自身の番組で平成27年2月17日に使途不明金疑惑を放送、田母神氏は記者会見を行うも、週刊文春でもその疑惑が記事になった。延々と続くチャンネル桜放送内での田母神氏への誹謗中傷。12月には水島社長は東京地検に田母神氏を告発。そして選挙後2年以上もたった平成28年3月7日に横領疑惑で東京地検特捜部の捜査が入り、4月14日に公職選挙法違反で田母神氏は逮捕。保釈請求するも169日にも及ぶ拘留。その長い拘留期間、田母神氏は心折れることなく、心身を鍛え、本を読み、思索し、その思いをノートにしたためた。そして、日本という素晴らしい祖国を守るため、もっと良い国にするため「日本の敵」と立ち向かうことを自分にあたえられた使命とした。

 ・敗戦利得者という存在

 「敗戦利得者」。田母神さんが一貫して戦ってきた敵とも言えます。皆さんご存知の通り、田母神さんは平成20年に最優秀賞を受賞した懸賞論文が政府見解と異なるということで航空幕僚長を更迭されました。「日本はいい国だ」という論文を書いたら、「何を言っている、日本は悪い国だというのが政府見解だ」ということで幕僚長をやめさせられてしまう。なぜこのような奇妙な事態になっているでしょうか。

 「敗戦利得者」という言葉を最初に提唱したのは上智大学名誉教授であった渡部昇一氏と言われています。GHQにより行われた公職追放、それによって戦後日本を担う中枢は赤く染められてしまいました。特にゆゆしき状態になったのは教育界と言えるでしょう。教育を乗っ取られるということは本当に恐ろしいことです。それによって子供だけではなく、親たちすらもコントロール下に置くことが出来るのですから。本書ではその「敗戦利得者」たる日教組や彼らにより刷り込まれた自虐史観に関して鋭く切り込んで行きます。

・田母神俊雄は親北派か?

 本書では「日本の敵」として第4章で「韓国と中国と北朝鮮」があげられています。ここでなぜ私が北朝鮮を取り上げたのか。田母神さんが保釈後、twitterで発信を始めたころから、度々チャンネル桜が田母神さんのツイートを取り上げて「田母神は親北派だ!」と言い、田母神事務所を巡る使途不明金疑惑に「外国勢力の匂いがする」悪宣伝をしているからです。確かに田母神さんのツイートを見ると一見、北朝鮮は日本にとって脅威ではないと取れるものもあります。それでは田母神さんの真意はどこにあるのでしょうか。

 北朝鮮は核実験も行っていると思われますし、最近では頻繁に日本に向けてミサイル発射実験を繰り返しています。そのような国が本当に脅威ではないのでしょうか。田母神さんは言います。「実際にミサイルを撃ち込んだり、核兵器を使ったりしたらどういうことになるかは、かの”若き首領様”である金正恩(1984~)が一番ご存知のはずである。北朝鮮は日本やアメリカによって潰されることになるだろう(p152)」と。北朝鮮には、我が国に大規模侵攻を行うほどの海軍力、空軍力はない、ましてやアメリカを敵に回して戦争など出来るはずがない。考えてみれば当たり前のことで、戦争をするには必ず「戦争目的」があり、相手側から既に攻撃や侵略を受けているという切羽詰まった事情がない限り、勝てない戦争などしないものです。北朝鮮は日本やアメリカを敵に回して戦争など出来ない、だからやたらと北朝鮮に対して脅威を煽るのは、本当の敵から目をそらすためにやっているのではないか、田母神さんはそう指摘しているにすぎません。この辺りがただ勇ましいことを言って受けを狙う言論人とは違う、元航空幕僚長の田母神さんらしいリアリズムだと思います。

 では、本当に北朝鮮は脅威ではないのか。田母神さんは、北朝鮮を安全保障上の「日本の敵」という認識を過剰に持つ必要はないが、未だ解決を見ない拉致問題の方が現実問題だと言います。クアラルンプール事件や、ダッカ事件での対応のまずさ。それが拉致事件を引き起こし、さらに日本政府や、左派政党、マスメディアが拉致事件そのものを隠蔽したために深刻になってしまったと。「日本の敵」は内部にも潜んでいることが良くわかります。ここで本書では第一章で語られている「偽装保守」について述べたいと思います。

・「偽装保守」とは

 マスメディアや教育界は左翼に席巻されていたと言えども、政治に関しては所謂55年体制と言われたころから、短い例外の期間を除き、自民党が与党として政権を担ってきました。自主憲法制定、日米安保堅持を謳う保守政党であるはずの自民党、しかしながら実際はどうだったのか。ここで具体例として若いころから右派として有名だった中曽根康弘元総理のことが語られています。彼の一声で始まり、続く竹下登総理が引き継いで1988年から始まった日米共同開発はまさに日本の国益を損ねるもので、田母神さんはその決定される過程をそのまま見てきたのだそうです。外からではなく、現場で見てきた人の言葉には重みがあります。当時の日本の技術が如何に素晴らしかったか、そしてそれに対してアメリカが何をやってきたのか、その結果日本はどうなってしまったのか。この他にも愛国を叫びながらも日本を危うくする偽装保守について書かれていますので、是非詳しくは手に取ってお読みください。

・田母神有罪の証拠のはずが実は…

 公職選挙法違反で逮捕・起訴されたた田母神さんの裁判。前作の『不徳を恥じるも私心なし』を読んだ時も感じた事ですが、何しろ2年以上前に起きたことを、何月何日に何があったのかを各自が思い出しながらの供述なので、非常にあいまいなものになっています。現在、判決文が公開されていないため、何が田母神さん有罪の証拠とされたのかが定かではないのですが、P234の記述で、田母神さんの元部下が報酬を受け取る以前、平成26年2月中に田母神さんが増額を指示したという供述があり、それが田母神さんが報酬配布を事前承認した証拠とされたとされたようです。しかしながら、その部下が田母神さん、水島社長と共に念法眞教に選挙後の御礼の挨拶に行き、電車の中で水島社長が「選挙資金の残金を『頑張れ日本』の口座に移してはどうか」と提案したのを聞いていたのが2月28日。事務局長が報酬配布の話をANAコンチネンタルホテル東京で田母神さんに初めてしたのがその数日後(元部下は少し離れた位置でそれを見ていた)。そうすると増額の話を2月にしたというのが時系列で考えるとおかしいことがわかります。そして、報酬の支払いに反対して事務局長に再検討を指示した点も、その再検討の結果を確認しなかったのが不自然、不合理とされたそうですが、田母神さんは「選対本部長と相談してくれ」と言った後、その報告を事務局長から受ける前に、元部下から報酬を受け取った御礼を言われたのです。報告待ちだったものが、事前に配られてしまった形なのに再確認しなかったのがおかしいというのも無理があるように思われます。

 このあやふやな関係者の記憶で進められた裁判の中で、日付の特定できるものもあります。それは事務局長と水島社長の会った日で2014年2月27日と3月19日です。この3月19日の会合、それに伴い会計責任者が田母神さんに3月20日に送ったメール、そのメールを見て田母神さんが「困惑した」。このメールの件でチャンネル桜内で水島社長は自分がお金を配ったことに関与していなかった証拠だ言わんばかりに大喜びしていました。これに関してですが、私には最終的に水島社長はお金を配ることには了承しなかった、しかしながらこれこそがお金に対する権限が水島社長にあったことの証拠だと思うのです。こちらは本の感想の範囲を越えるので別で詳しく記事にしたいと思います。

 上に述べた通り、こちらの本では使途不明金疑惑や先日まで行われていた裁判に関して、現在メディアで報道されている以上のことを具体的に知ることが出来ます。是非、前作の『不徳を恥じるも私心なし』と合わせて読むことをお勧めします。某ネット放送が如何に偏向したものだったのかがはっきりと知ることが出来ますので。彼らは、田母神さんの言い分が嘘で、後に裁判記録が公開されたら恥を書くことになると言っていますが、さて、嘘を言っているのはどちらでしょうか。







テーマ : 保守主義
ジャンル : 政治・経済

田母神俊雄 不徳を恥じるも私心なし 冤罪獄中記 感想


 田母神さんの新刊が発売されました!

 前半は都知事候補に担ぎ出されてから、逮捕拘留された話。逮捕前と逮捕後にどのように取り調べが変質したのかが興味深いです。中盤は獄中生活。細かい食事の記録や拘置所での生活など。長い拘留生活でも田母神さんがいかに気持ちにおいて負けることなく、体も衰えないように過ごしていたのかが伺えます。真面目に日本の将来を憂えた日記の他、ネタノートを作っていたというのも田母神さんらしいエピソードです。

 後半は裁判について。ここが皆さん一番興味のあるところだと思いますが、明日が判決ですので、詳細は伏せておきます。読んだ限り、当たり前ではありますが、裁判を実際に傍聴した人の記録と同じ内容で、これを読めばいかにチャンネル桜の放送が偏ったものであるのかがわかると思います。重要なことをちょっとだけネタバレすると、数名の証人が裁判で証言しているのですが、その時の登場人物として田母神さんはあまり出てこず、圧倒的に水島社長の方が多いこと。そして公職選挙法違反に関して田母神さんはずっと容疑を否認していますが、水島社長は自ら証言台で公職選挙法違反を認めていることでしょうか。さて?なぜ田母神さんは逮捕されて水島社長は逮捕されていないのでしょうか。

 横領は不起訴になりました。しかしながら未だに水島社長は「横領で不起訴でも無実ではない」とネガティブキャンペーンを張っています。今回、田母神さんが無罪になったとしても水島社長はチャンネル桜での誹謗中傷をやめることはないでしょう。そこまでして田母神さんを犯罪者呼ばわりしたこと。そのように世間に印象付けてしまったこと。人の人生をここまで狂わせたこと。これがどういうことなのか今後水島社長は思い知ることになるでしょう。

 まずは明日の判決です。公正な裁きを望みます!




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Author:yumikw
富山市在住。夫と息子、猫2匹と暮らす会社員。

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