増税と政局~「倉山満の3分間スピーチ 増税は間に合わない論のウソ」を検証する ㊦


 「増税と政局」第9弾、「倉山満の3分間スピーチ 第7回 増税は間に合わない論のウソ」検証記事の後編です。

【チャンネルくらら】倉山満の3分間スピーチ 第7回 増税は間に合わない論のウソ⑦


今回のポイント

・増税を延期するには予算編成をやっている同時並行で予算関連法案としてたった一行の予算延期法案を足せばよかった。増税に延期に賛成か、反対かだけを聞くことなので与党が賛成したら一日で通る。
・理想的には1月から毎年国会で予算審議が始まるので予算編成をやっている最中に全体の見積書として歳入が、消費税増税分入らないということが方針が示されていれば全く問題なく予算編成出来る。
・予算関連法案はいつまで成立しなければいけないか。本来の理想形は1月の予算審議の前に予算関連法案が臨時国会で通って、ああ安倍さんが政治決断したんですね、みたいなことやってれば理想。だから9月の段階でもう間に合いませんというのは、もうこの時点で法律論として破綻している。
・予算関連法案は、1月より前に決まってればよいが、1月より後でもいい。予算と並行審議でも総理大臣が予算と言う見積書を決める方針を決めているので予算編成出来る。究極、流れても構わない。予算と言うのは実は予算より多くのものをやってはいけないが減らす分には決まった後でもいい。去年(平成24年)もやった。
・平成24年度予算は4月に5日だけ紛れ込んで決まったが、野田、谷垣、山口、あるいは当時財務事務次官の勝栄次郎などが増税の話ばかりしていたので最も重要な予算関連法案である特例公債法案が11月まで通ってなかった。借金ができないので予算の執行をへらそうとなっていた。それに比べれば12月まで(臨時国会の間)に決まっていたら何の問題はない。あるいは通常国会の間に決まってても問題もない。なんで9月の段階で決まってないからと言って、もう増税するしかないになっているのか。法律論としてここで終了。ところがここで持ち出されたのが政治論。法律論に政治論を持ち込むな。

 施行期限が平成26年の4月1日なので、さすがに通常国会にまで流れ込むといろいろ支障をきたすこともあるでしょうが、延期するということで与党内の調整さえ出来れば、臨時国会内で採決は可能だったでしょう。どう考えても10月では間に合わないということはないはずです。平成26年11月の増税延期決断の後、このようなことで国会が紛糾したとの報道がなかったことを思えば、この時、増税は間に合わないと自民党の議員たちが言いだしたのは不思議で仕方がありません。しかしなぜこのような言説が広まってしまったのでしょうか。

 実は参議院選挙の前に増税延期を言っておかなければならなかった、10月では間に合わないと言っていた人物がいます。高橋洋一氏です。

自民党は参議院選挙の争点から外すのはせこい!「消費税増税スキップ」の判断は10月では遅すぎる 2013/06/03

(記事より引用)

 4月29日付け本コラムで「消費税増税スキップ」を書いた。イギリスでは消費税を増税して景気が低迷していることなど経済的な観点からの意見だが、今回はその法的側面や経済的な補足をしたい。

自民党の高市早苗政調会長は、来年4月からの消費税率引き上げの是非を、安倍晋三首相が今年10月に最終判断するといっている。安倍首相自身も現在のところ「白紙」である」といっている。これは政治家のスタンスとしては正しい。

筆者としては賢明な判断をしてもらいたいが、実は法的には消費税税率の引き上げは、昨年8月に成立した「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」(消費税増税法)で決まっている。

「経済財政条項の激変」とは

 しばしば新聞などでは、景気条項に努力目標として名目3%、実質2%のGDP(国内総生産)の経済成長率が明記され、経済環境が急変したときには増税を見送るといわれているが、それはあくまで政治的な立場からの意見である。

(中略)

第3項によって、増税見送りが可能かのように書かれている。しかし、「経済財政状況の激変」とはリーマンショック時のようなものを想定しているので、政治家が大きな声を上げない限り、予定通り実施されると読むのが正しい。

また、この附則18条は条件にもなっていない。国会審議の過程で修正され、第二項が加わったので、もし消費税率の引き上げで景気が悪くなれば、財政支出で景気支えをするとまでいっている。つまり、消費税増税ありきなのだ。

 このため財務省筋からは、「消費税増税をするが景気が悪くならないように財政支出する」という声が聞こえてくる。増税して使うぐらいなら、増税しなければいいというのが常識だが、「増税亡者」には通用しない。

民間業者のシステム対応は先行している

このようなガチガチの増税法案があるにもかかわらず、昨年9月の総裁選のときから最後の最後まで「増税を実施するかどうかは政治判断」としてきた安倍首相はえらい(他候補は、当然消費税増税するというスタンスだった)。

 ただ、10月まで引き延ばすと、結局、消費税増税になってしまう確率が高くなる。というのは、民間業者はシステム対応などで走り出しつつある。10月になると、もう準備が進んで止まらなくなり、消費税増税してもらわないと困るという状況になる。

 (引用終わり)


 正直言っていわゆる「増税延期は間に合わない論」に民間業者の都合もプラスと言った論調です。以前に紹介したことがありますが、このような発言も高橋氏はしています。

「国会の違憲状態」解消こそがカギ!参議院で歴史的圧勝をした安倍首相は「消費税増税延期」に挑めるか 2013年07月22日(月) 高橋 洋一

(記事より引用)

 第一のシナリオは、消費税増税シナリオだ。安倍政権では、4~6月の経済指標をみて、秋にも消費増税について判断する意向を示しているが、景気の良さを背景にして消費税増税を判断する。ちなみに、4~6月期GDP速報は、一次速報が8月12日、二次速報が9月9日に公表される。それにふさわしい内閣改造を行い、衆参の安定多数をバックに、粛々と国会をこなす。

 消費税増税を止めるためには、その国会で消費税凍結法案が成立しなければいけない。野党がそうした法案を出しても、国会審議すらしないだろう。

実際に与党から消費税凍結法案を出すのは、困難といわざるを得ない。三党合意もあるし、その合意が反故になったわけでもない。参院選でも凍結法案を公約にしていないのだから、常識的には凍結法案を与党は出さないという「判断」になる。

(中略)

 経済政策論では消費税増税ストップは当然だが、第一のシナリオでわかるように政治論からみれば、その実現は困難だ。ねじれ国会は解消したが、政府与党内プロセスがある。自民党税制調査会は、来年度の税制改正作業を9月頃から始める見通しだ。これは通常より約2カ月前倒しだが、消費税増税は当然の話として、増税ストップとはなるはずない。

(引用終わり)

 
 三党合意で、増税するかしないかはその時の政権が決めると言っているのに、なぜ凍結できないのか。凍結まで行かなくても延期することは出来るのではないかと思うのに、「参院選でも凍結法案を公約にしていない」からという不思議なハードルあげがされています。安倍総理はデフレ脱却、景気回復を掲げてずっと戦い勝ち続けてきたのに、それを腰折れさせる消費増税をなぜ凍結を公約にしていなかったからと言って止めることが出来ないのか。

 断言するのは言いすぎですが、永田町に蔓延した「増税決まっている論」の発生源は高橋洋一氏でしょうか。どちらにしても高橋氏の言い分を増税派は利用したのではないでしょうか。

 平成24年度の予算関連法案の成立時期について言及されているのでそれについても簡単に整理しておきましょう。

・平成24年1月24日に第180回国会(通常国会)が開催。6月24日までの予定が9月8日まで延長。
・予算成立は4月5日。
・社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案が平成24年8月10日成立。
・特例公債法案が平成24年11月13日に成立(第181回国会 臨時国会)。


 特例公債法案の採決がここまで遅れたのは消費税の話ばかりしていたのに加えて政争の具にされてしまったからでもあります。

特例公債法案の早期成立を望む~日本版「財政の崖」を回避せよ 2012 年 10 月 18 日 全 7 頁

 しかしこの時はねじれ国会だったのでこのような事態になってしまったと言えます。次の回で、増税国会になってしまったら重要法案が通らなくなるから増税は延期してはならないという話が出るのですが、そちらがどうなったかの検証を致します。

【チャンネルくらら】倉山満の3分間スピーチ 第8回 増税は間に合わない論のウソ 結論


結論

 9月の段階で、増税延期法案が通ってないからもう決まったことです、延期は間に合いません。と言うのは法律論としても行政手続き論としてもまったくの嘘。そこで持ち出したのは政治論。臨時国会が増税法案で一色になったらNSC法案とか秘密保全法案とか内閣人事局法案とか重要法案が全部つぶれる。しかし秘密保全法だのアメリカ大統領みたいに有事の時に動けるようにしようみたいな法案は対決法案。もともと強い安倍内閣ですら継続審議に持ち込めたら御の字。内閣人事局にいたっては第一次安倍内閣が霞が関全体と喧嘩して負けたそのリベンジ法案。増税も延期できないような政権には通せない。だからとにかく実は安倍内閣の政策にしても政局にしても争点は増税を延期できるかどうかだった。
 だから法律論でずーっと言ってて、最後に政治論、しかも単なる政治的脅迫。NSC法案とか秘密保全法案とかを人質にして脅迫して来ただけ。ところが自民党議員の大半はこれにのってしまった。たった一行の一日で審議が済むような法案を間に合わないと判断してしまった。
 全ては「必要は法に優先する」という精神が抜けていた。官僚が決めた法律、手続き、これまでの慣例があったところで国民にとって必要なことを選挙で選ばれた総理大臣が「じゃあそんな法案は変えましょう」と言ったら変えればいい。とにかく頭がいい官僚が決めたこと、これまでの慣例、手続き決まったことには逆らえないという思い込み。そこを突破できないような人には戦後レジームの脱却は無理。基礎的な知識がないと政治家は今後もいいように操られて国民にとって国家にとって必要なことが出来ないと思う。
 チャンネルくららを見ている皆さんは、ただしい知識を持ってください。


 偽りの政治的脅迫にまんまと騙されたのか、それともそれ以外の利権のために財務省の策略にわざと乗ったのか。どちらにしても国民のための政治が出来なくて何のための政治家でしょうか。何とも情けない話です。

 ここで上がっている法案に対して「通ったじゃないか」と言われるかもしれません。そもそも衆参共に連立与党が過半数を超えているので与党内での調整が出来れば法案を通すことは可能なわけですが、なぜ法案を通すことが出来たのか。法案の中身を検証していくことにしましょう。

NSC法案成立、外交・安保の司令塔、年内始動 情報一元化へ2013.11.27

(記事より引用)

NSCは米国や英国など各国の情報機関と緊密に連携して情報交換を行うため、政府は機密を漏らした公務員らへの罰則強化が不可欠と判断。今国会での特定秘密保護法案の成立を急いでおり、26日に衆院を通過させた。

(引用終わり)


 NSCが機能するためには特定秘密保護法の成立が必要だったわけです。その特定秘密保護法は平成25年12月6日に成立しました。

特定秘密の保護に関する法律 説明資料

 この時の国会はそれこそ「秘密保護法」国会になってしまいました。産経と読売を除くマスコミはこちらを一斉に批判し、多くの市民団体が成立反対を叫んでデモを開催しました。映画界では「映画を作れなくなる!」などの批判まで飛び出しました。

 成立した時の各新聞の紙面もこのようになっています。

備忘・秘密保護法成立の各紙紙面~安倍政権・与党への姿勢の違いは紙面にどう表れたのか 2013年-12月-08日

 そして驚いたのは安倍総理が丁寧な説明を行うために記者会見を行った時のことでした。特定秘密保護法の成立に肯定的な産経新聞の阿比留瑠比氏が総理に質問した途端、民法は一斉に中継を中断してCMを流したのです。

安倍総理の記者会見…特定秘密保護法の説明時に民放TVが一斉にCMに入り、中継を中断 → 視聴者が各局へ電凸 → マスコミ「ご意見を承りました」と報道しない理由答えず 2013年12月09日

 マスコミの報道しない自由万歳!国民の知る権利を一番侵害しているのはマスコミですね!

 結局、政権支持低下のためのプロパガンダに散々使われる羽目になってしまった法案ですが、問題はこれがきちんと機能するのかです。これに関して倉山氏は「世紀のザル法」だと指摘してます。

(『反日プロパガンダの近現代史』P156より引用)

 この法案の、急所は、最低刑の規定がないことです。少なくとも最低刑を懲役三年以上にすることにこそ意味があったのです。
 刑法を学んだ人ならご存知の通り、最低刑が懲役三年の犯罪は凶悪犯罪であり、執行猶予が付きません(法律上、付けることができません)。よって、必ず刑務所に入ることになります。これまでは、国家機密を漏洩しても、あるいはスパイが情報を盗んでも、懲役一年執行猶予付き、などということになりかねなかったのです。スパイを捕まえたら国外に逃がさないで日本の刑務所に三年間入れることができます。三年も外部の政界から隔絶されたら、スパイとして使い物になりません。だから、特定秘密保護法を「スパイ防止法」にするならば、焦点は最高刑の厳しさとかそのほかの論点ではなく、「最低刑が懲役三年以上になるかどうか」だったのです。

(中略)

P159より
 この法律が「ザル」である部分をあとふたつ挙げます。
 一つは、「秘密」の指定は大臣が行うということ。自民党という政党は、永遠に自分が与党でいることを前提で物事を決める性癖がありますが、自民党が「最悪の政権」「売国政党」と罵る民主党の大臣が秘密を指定するという事態になったらどうするのでしょう。
 もうひとつは、前節でお話ししたように、「秘密」にはcovertとclandestineがあるのですが、この法案では区別がまったくついていません。
 こんな世紀のザル法のために大騒ぎをして、政権の命綱であるアベノミクスを潰したとしたら……。
 またしても日本はプロパガンダに引っかかったのかもしれません。

(引用終わり)



 用語を簡単に説明すると「covert」は秘密ではありますが、そこに秘密がある事自体がわかっていて、後に公開することが前提のもの。「clandestine」は秘密がある事自体を秘密にしているもので情報公開の対象外のものです。

 つまり、反対していた野党やいわゆるスパイにとっても成立しても痛くもかゆくもない法案だったということです。そもそもこの法案の検討を始めたのは、この時には大反対していた民主党なのですから。

仙谷長官、秘密保護法に意欲 尖閣映像流出2010年11月9日

 そして、やはりキーになるのは公明党でしょう。公明党や支持団体の創価学会が一番批判しそうな法案なのに賛成に回る。特定秘密保護法を戦前の治安維持法と同じくらいの悪法だと言う人がいますが、もし治安維持法と同じような法律だったら、初代会長の牧口常三郎がそれで投獄された過去を持つ創価学会を支持団体に持つ公明党が賛成するはずは無いでしょう。もちろん、法案をきちんと読めばわかりますが、そのようなものでありません。

 そして内閣人事局です。こちらは平成25年の第185回国会(臨時会)で内閣が提出し、翌、平成26年の第186回国会(通常会)で可決・成立しました。

国家公務員法等の一部を改正する法律に対する修正案

 こちらの初人事の評価でこのような記事が上がっています

「内閣人事局」による官邸主導の初人事が霞が関の抵抗に合わなかった理由 2014/7/9

(記事から引用)

安倍首相側近の人事局長就任で政治主導を印象付けた

内閣人事局長の発表寸前まで霞が関は警察官僚出身の杉田和博副長官の就任を信じて疑わなかった。4月に新聞各紙が「内閣人事局、初代局長に杉田和博氏 安倍政権方針」(朝日)「内閣人事局長に杉田氏 政府調整 官房副長官と兼務」(産経)と報じていたことも大きい。杉田氏本人も就任を信じて疑わなかったらしく、発表前に挨拶されたという大物官僚OBもいたようだ。

ところがギリギリまで菅義偉官房長官は「まだ決まっていない」と明言を避けていた。杉田氏に内定していたものを菅氏が安倍首相に進言してひっくり返した、とされているが、反対派を押さえ込むために最後の最後に「だまし討ち」することを決めていたのかもしれない。

加藤氏は安倍首相が最も信用する側近のひとりだけに、初めから「加藤局長」を決めていた可能性は十分にある。安倍内閣はこの人事ひとつで「政治主導色」を印象付けることに成功した。

(引用終わり)


 一件政治主導がうまく行っているようにも思えます。

 ここで、一つ指摘しておきたいのは内閣人事局がなくても首相が強ければ人事に介入できるということです。

集団的自衛権行使容認のための強権的な内閣法制局長官人事は許されない(談話)2013年8月8日

 (記事から引用)

1.政府は本日午前の閣議で、内閣法制局の山本庸幸長官を退任させ、後任に小松一郎駐フランス大使を充てる人事を決定した。内閣法制局は、政府提出の法案や政令案について、憲法や他の法令と矛盾がないかを事前に審査するほか、憲法や法令の解釈で政府の統一見解を示す役割を担うことから、政府の「憲法解釈の番人」と呼ばれている。そして、法制局長官は憲法の解釈について国会で答弁し、その精緻な積み重ねが政府の見解となってきた。過去60年、内閣法制局長官は、法解釈の継続性や職務の専門性に基づき、同局の法制第一部長を経験した内閣法制次長が昇任するのが慣例であった。法制局の経験がなく、しかも外務省から長官が起用されるのはきわめて異例である。集団的自衛権行使の容認に向け、従来の慣例を破ってまで強権的に人事権を行使したことは明らかである。

(引用終わり)


 こちらの社民党の談話からわかるとおり、異例の人事、しかも財務省をしのぐと言われる最強官庁・内閣法制局の人事に介入したのです。参議院選挙後の安倍総理の力が絶頂の時のことです。しかし、消費税を延期できず、国会は秘密保護法国会と化し紛糾している間に何が起こっていたか。

【国益より憲法-検証・内閣法制局(上)】首相に逆らう法の番人「憲法守って国滅ぶ」2013.11.26


(記事より引用)

 19日夕、東京・霞が関の中央合同庁舎4号館。最上階の会議室に、内閣法制局長官経験者らが集まった。

 現役幹部を交えて意見交換を行う恒例の「参与会」のためで、この日のテーマは「携帯電話のクーリングオフ」。クーリングオフとは契約書を受け取った日から一定期間は契約を無条件で解除できる制度のことだが、首相の安倍晋三が8月に駐仏大使から抜擢(ばってき)したばかりの長官、小松一郎は目立った発言をしなかった。

 「(法律の)技術的な話がほとんどで、小松氏は議論についていけていないようだった」

 出席者の一人は、そのときの小松の様子を“上から目線”で振り返った。

(引用終わり)

 陰湿ないじめです。何とか小松長官を追い出そうということでしょうか。外交官出身で国際法に詳しい小松長官が「携帯電話のクーリングオフ」についてわからないと言って、批判される筋合いはないはずですが。結局、首相の力が強ければ言うことを聞く役人も、首相の力が弱ければそれまでです。

 小松長官は末期がんでした。それでも何とか安保法案を成立させようとしていたのですが、野党からもひどい攻撃を受けることになりました。

 共産党の小池晃氏は小松長官を「安倍政権の番犬」と揶揄しました。

小松法制局長官「安倍政権の番犬」に反論 2014.3.5

 毎週月曜日に治療することが決まっている小松長官が国会に出てこないことに対して、民主党の尾立源幸氏は「職務を果たしていない」と批判しました。

がん患者は「職務不能」なのか 小松長官批判した民主党議員に反発の声 2014.03.31

 安全保障関連法案は平成26年5月14日に閣議決定しましたが、その直後に小松長官は退任。後任には横畠裕介氏が付きました。その後小松長官は6月23日に亡くなりました。

 後任に就いた横畠氏とはどのような人物なのか。もともと前の山本庸幸長官が退任したら彼が長官になるのが順当な人事でしたが、第一次安倍政権のときから因縁のある人物でもあります。

≪罪深きはこの官僚≫横畠祐介(内閣法制局内閣法制次長)「憲法の番人」復活を画策する次期長官

(記事より引用)

 横畠は検事出身で一九九九年八月に法制局に出向、総務主幹、第二部長を歴任し、「次の法制局長官が確実視されたエース」(法制局関係者)だ。過去にも、安倍晋三内閣が集団的自衛権の行使容認を目指して懇談会を設置した際、第二部長だった横畠は、当時の法制局長官の宮崎礼壹とともに「強引に推し進めれば辞表を出す」と迫った過去がある。

(引用終わり)


 結局、平和安全保障法制の集団的自衛権の解釈が内閣法制局の手の平の上で終わったことは以前当ブログで指摘した通りです。

ニコニコ生放送 【安保法制】次世代の党 和田政宗 vs 憲政史家 倉山満 対談生中継 を見て ~安保法制に関する誤解とは

 そして財務省人事に関してはどうでしょうか。現在の財務事務次官の田中一穂氏は第一次安倍内閣の首相秘書官だった人物です。この人事に対して高橋洋一氏はこう言います。

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 安倍首相が「力」を見せつけた 財務省次官「異例人事」の深層2015/7/ 9

(記事より引用)

今回の人事は、安倍首相の人事だ。安倍首相は以前から、(新次官となった)田中一穂氏を次官にするとしばしば漏らしていたが、これは、田中氏の力量を買っての意見ではなく、安倍首相自らの政治力を示したい意図が透けて見えている。

「これが安倍首相の人事力なのだ」と見せつけられ、財務省は、最も嫌う増税を延期させた安倍政権の力を認めざるをえず、異例中の異例の人事を受け入れている形である。

官僚が一番嫌うのが、人事介入である。これまで、実際の権限者である大臣をさしおいて、官僚だけで人事を取り仕切ってきた財務省までもが、とうとう政治家の人事介入を許してしまったというのが、今回の同期3代という異例の人事なのだ。そもそも、マスコミが使う人事介入という言葉が矛盾している。本来の人事権者である政治家が人事をいうと「介入」と言われることが不思議だ。

(引用終わり)


 これには少々首をかしげざるを得ません。この発言になぜ疑問を持つかと言えば、田中一穂氏が去年事務次官になったことは、彼がその前の年に主計局長になった、それを思えばもうこの時点では順当な人事だったからです。

事務次官に香川氏、財務官に山崎氏が昇格=財務省幹部人事2014年 07月 4日

 木下、香川と54年組の次官が続く、そして主計局長に田中氏がなった。主計局長が次の事務次官になるのは順当なのでこの人事は同じ年次から3人続けて次官コースに乗るという極めて異例な人事です。この時点で田中氏が次官になることはほぼ確定です。それなのに、なぜ次の年に田中主計局長が財務事務次官になったのを異例な人事だと言うのか。この時、高橋氏がそれを言っていたのなら、話は分かるのですが、少なくともネットの文字媒体ではそのような記事は見つけられませんでした。

 そして、この香川財務事務次官、田中主計局長が決まる少し前に一部でこのような報道がありました。

消費増税牽引で異例の同期「3人次官」=財務省「サプライズ人事」の知られざる裏側2014/06/13 11:27

(記事より引用)

安倍官邸に恭順の姿勢を鮮明にした財務省

7月に発令される財務省人事で、異変が起きた。木下康司事務次官(79年入省)が勇退し、香川俊介主計局長が次官に昇格するまでは既定路線だが、安倍首相に近い田中一穂主税局長が次期次官含みで主計局長への横滑りが内定したのだ。

(中略)

こうした過去のトラウマを教訓に、同期2人次官の規定路線に沿い香川次官を先行させるが、「財務省としては安倍首相に近い田中主税局長をも次官にすることで官邸への恭順の意を示したい」(ある官邸関係筋)。これが今度の財務省次官人事の真相である。

(引用終わり)


 安倍総理への降伏とも偽装降伏とも取れる記事です。しかし、これは正式な発表前のリークで菅官房長官はこれを否定します。

中国戦闘機の自衛隊機への異常接近、許しがたい行為=菅官房長官 2014年 06月 12日

(記事より引用)

財務次官の人事が一部で報道されたことについては「理解できない。人事局が発足し、いま資格審査を行っている。人事のリストはまた上がってきていない」と語った。

(引用終わり)

 内閣人事局がどのようなシステムになっているかはこちらをご覧ください。

幹部職員人事の一元管理

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 そしてリストがまだ上がってきていないと官房長官が言っていたにも関わらず、最終的にはリークされた通りの人事になりました。これが何を意味するのか。

 これの答えともいうべき記事が去年、週刊文春7月23日号、7月30日号に掲載されていました。54年組に関する綿密な取材で、公務員試験の順位まで掲載されています。財務省内の人間ドラマとも取れる大変面白い記事でした。その中から長いのですが引用します。

(7月30日号 財務省「最強世代 54年組」の研究 後編 岸宣仁より引用)

 一方、田中は国税庁次長から理財局長に転じ、主税局長となった。この時点でも木下と香川が同期次官、田中は国税庁長官という既定方針に変わりはなかった。
 だが、平成二十四年十二月に自民党が総選挙で圧勝し、安倍が首相に返り咲く。
 二十五年六月の財務省人事。主計局長の木下が次官に昇格し、五十四年組から初の次官が誕生した。主計局長に香川。ここまでは順当だった。問題は、主税局長に田中が留任したことだ。
 実はその二ヵ月前、ある人事が発令されていた。田中が就くと見られていた上がりポストの国税庁長官に、一期下の稲垣光隆が就任。逆転人事だった。官房長官の菅義偉は、この頃周囲にこう洩らした。
 「これは財務省へのメッセージだ。一期下を国税庁長官にして、田中を主税局長に残した意味を考えろ」
 財務省の出方次第では、香川を飛ばして、田中次官もあるとのメッセージだ。

 平成二十六年四月、野田政権下で成立した法律に則り、消費税は八%に上がった。だが、安倍政権は有識者六十人から意見聴取するなど、最後まで財務省に言質を与えなかった。官邸から見れば、消費増税に邁進する財務省はアベノミクスの“抵抗勢力”だった。その親玉は、消費増税の功労者・香川だ。安倍政権に逆らうなら、人事に手を突っ込む――。平成二十六年夏の定期人事をにらんで、官邸と財務省との駆け引きが続いた。
 安倍が「田中を絶対に次官にする」と明言したとの情報が次官OBを通じて伝わり、財務省は震撼した。
 前出の田中の元部下は、こう洩らした。
 「僕は田中さんが好きだし、次官になってほしい。でも、香川さんが次官になれずに、田中さんが次官になったら、財務省は終わる。そうなれば、みんなが上に気に入られることばかり考えて、目立たない仕事に汗を流さなくなる。香川さんが一番仕事をしたことを、皆がよく知っている」
 最高権力者の安倍が田中次官と言う以上、もはや、落とし所は戦後初の同期三人次官しかない。だが、有力OBが懸念していたのは順番だった。先に香川を次官にしなければならない理由があった。
 香川の体調である。香川は、消費増税に関する三党合意がまさに佳境を迎えようとする頃、食道ガンという病魔に冒され、暫く戦線離脱を余儀無くされた。
 手術は無事成功したものの、術後の体力回復には時間がかかった。当時の彼を知る誰もが指摘するように、「ガリガリの身体で、自らの生命を削るように議員会館を根回しに走り回る姿」は、悲壮感さえ漂ったといわれる。
 田中が先に次官になった場合、翌年夏に香川は次官を務められる体調ではないのではないか。そんな予感が財務省関係者の間にはあった。
 ここで、もう一人の五十四年組が登場する。

 加藤勝信。旧姓・室崎。昭和五十四年に大蔵省に入省し、防衛担当の主査などを務めた。自民党税調の大物として知られた加藤六月の娘と結婚して、政界に転じ、第二次安倍政権が発足すると官房副長官に就任した。
 加藤は平成二十六年五月末に誕生し、国家公務員の幹部人事を司る内閣人事局の初代局長にも就いた。
 政界に進んでからは、敢えて財務省の族議員とはならず、厚労族となった加藤だったが、五十四年組の同期会には顔を出していた。特に、木下とは親しかった。
 田中次官が取り沙汰されるようになった頃、木下、香川、田中、加藤は四人でよく会っていた。ある時、田中はこう言ったという。
 「香川を差し置いて次官になれというなら、オレは財務省を辞める」
 財務大臣の麻生太郎は、財務省の総意を受けて動いた。麻生は、安倍が言うことを聞く数少ない政治家の一人だ。麻生が安倍に示した人事案には、こうあった。
事務次官 香川俊介
主計局長 田中一穂

 二十六年七月、財務省人事は決着した。主税局長の田中が主計局長に回り、次期次官を確定させた。戦後入省者で、主税局長から主計局長への横滑りは初めてのことだ。
 内閣人事局長の加藤が、三人次官の流れを確実にするうえで一役買ったことは、想像に難くない。官邸と財務省の顔が立つ同期三人次官は、人材豊富な五十四年組だから可能だった。木下は、同期についてこう語っている。
 「僕たちの同期というのは二十八人いましたが、一人自殺しました。(略)そのとき、我々の同期で、偉くなることより大事なことがたくさんあるという話をしました。我々の同期は、月に一回、同期会をやることで有名な期でして、非常に仲がいいのだけれども、そんなことがあって以来、同期でポストがどうのこうのと一回も話したことは無いですね」(前出の研修で)

(引用終わり)



 この一連の動きをどう見るか。もし安倍総理が本当に強かったら、香川氏の前に田中氏が財務事務次官になる可能性もあった。しかし、財務省も一筋縄ではいかない。官邸の手が入る前に(安倍首相の意向をくんでいることを匂わせる)情報をリークして筋道を作り、最終的には田中氏を次の次官にするということで官邸を納得させた、そのようにも読めます。

 官邸がどのくらい強いのか。それを確かめるには公明党、内閣法制局、財務省との力関係、それを見極めないと本当にどちらが強いのかは判断の難しい所ではあると思います。

 財務省が強いのか安倍首相が強いのか。私としては何としてでも消費増税10%は止めていただきたいのですが、そのためにはどうしたら良いのか。あの8%増税の時のような悔しい思いをするのは御免ですが、景気回復はあくまで手段であり、消費増税が景気を冷やすことがわかりきっている今、出来れば解散総選挙のような最終手段をとるのではなく、総理の決断によって増税を阻止してほしい。そして、力強く国民のための政治を行っていただきたいと思います。
 そして政治の質は国民の質です。政治家に正しい政策を進めてもらうには国民も賢くならなければならないと思います。おかしな言説に騙されないようにするにはどうしたら良いのか。この動画はそのためには本当に基本的な知識と物事を正しく見極める目が必要だということに気づかせてくれます。

 今回でいったんこちらの『増税と政局』のシリーズは終了いたします。また本当の政局になったら、それに応じて記事を書きたいと思います。

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増税と政局~「倉山満の3分間スピーチ 増税は間に合わない論のウソ」を検証する ㊤

 
 『増税と政局』第8弾。今回は倉山満氏がチャンネル桜のキャスターから降板しチャンネルくららを開設しての最初のシリーズ「倉山満の3分間スピーチ 増税は間に合わない論のウソ」を検証したいと思います。平成25年10月に放送されたもので、今さらと思われるかもしれませんが、この中にはいろいろと見るべきもの聞くべきものが詰まっています。

【チャンネルくらら】倉山 満の3分間スピーチ 第1回  増税は間に合わない論のウソ①


今回のポイント

・「増税決まっている論」。これを永田町でかなりの人が信じていた。それで倉山氏は非常に危機感を持って、9月9日の段階で増税阻止運動を本格的に開始した。
・「増税決まっている論」は法律論としても政治論としても間違い。
・消費税は法律が通って平成26年から8%に上がることが決まっているが、附則18条という景気条項がついている。それは当時の総理大臣の野田民主党内閣、野党の自民党の谷垣総裁、山口公明党代表の3人で決めたので三党合意と言われている。法律上は附則18条があるので、景気の状態が悪ければ、増税しなくてよい。増税すると最初から決まっていたわけではない。だから三党合意の段階で罠が仕掛けられていたというのは、嘘、間違い。
・附則18条を入れていたのは野田総理にいじめられていた民主党の反主流派。自民党はそれを潰そうとしていた。
・附則18条は、法律の一部なので総理大臣は増税を延期することは出来る。

 まずこの「増税決まってる論」。三党合意の段階で罠が仕掛けられていたという説が自民党内に蔓延していた、ということをきちんと自民党員の言葉で確認できるのは以前にも紹介したことのある赤池議員の動画です。

【赤池誠章】消費増税・三党合意に仕掛けられた罠、戦いは次の局面へ[桜H25/9/25]


 しかし、倉山氏は附則18条という景気条項があるので増税は延期できると言っています。

 見やすいのでこちらはWikipediaから。

附則18条 景気弾力条項

 赤池氏は三党合意にもう罠が仕掛けられていると言っていますが、三党合意がどういう中身なのかがこちら。

民主党 社会保障・税一体改革で民主・自民・公明の3党実務者合意案まとまる 2012年06月15日

 こちらの民主党のホームページの「税関係協議結果」というPDFファイルに附則18条をどう扱うかが書かれています。

○附則第18条について

・以下の事項を確認する。

(1) 第1項の数値は、政策努力の目標を示すものであること。
(2) 消費税率(国・地方)の引上げの実施は、その時の政権が判断すること。


 はっきりとその時の政権が判断することと書かれていますね。

 これならば、安倍総理がその時の景気を見て延期するかどうかを判断することに何の問題もないように思えます。

 では次に行きましょう。

【チャンネルくらら】倉山満の3分間スピーチ 第2回 増税は間に合わない論のウソ②


今回のポイント

・谷垣自民党総裁は解散することを条件に建前上増税法案に同意した。その後谷垣さんは総裁選に負けることすら出来ず不出馬に追い込まれ、安倍晋三が自民党総裁、そして解散総選挙によって総理大臣になり安倍内閣成立。
・安倍さんは総裁選、そして衆議院選挙の段階でアベノミクスということを掲げていた。
・安倍さん自身は増税するともしないとも言っていない。財政健全化は当然必要だけれども長期スパンでやるべきもの。それより先にやることは金融緩和。とにかく景気を回復させることだということを公約に掲げて、総裁選、総選挙を戦った。
・安倍さんはまず経済と言って戦った。それを自民党の総裁選の公約のすみっこの方とか、衆議院の選挙の時の細かい文字を持ってきて、「実は安倍さんは消費税増税に決して文字を残していなかった~!」などということ自体が、まさに戦後レジーム。
・経済以外の安保とか憲法とか、しっかりとして国家観を持っていた人だからこそ、叩かれながらも安倍さんは敢えてまず経済と国民の前に明らかに訴えた。


 まず安倍さんは総裁選で何を掲げて戦ったのか。

自民党総裁選 候補者データ 安倍晋三

所見より引用

社会保障の給付を確実にするには経済を強くする必要があります。
消費税を上げる前にデフレから脱却するため、政府と日本銀行が一体となり、思い切った金融緩和を行うなど、政策を総動員して対応していきます。また、子供たちの命を守る防災への公共投資、経済成長のための公共投資は堂々とやるべきだと考えています。

引用終わり


 はっきりと消費税を上げる前にデフレから脱却と言っているわけです。そして総裁になった後の衆議院選挙ではどうだったか。

重点政策2012 自民党

「日本を取り戻すための戦い」安倍総裁が会見 BLOGOS編集部2012年11月16日

記事より引用

本日、衆議院は解散されました。
私達は、今日までのこの3年間、もう一度、自由民主党を見つめ直し、そして我が党の結党理念をもう一度見つめ直し、今日の日に備えて政策を鍛えあげて来ました。

この戦い、私達は、日本を取り戻すための戦い、そう位置づけています。我が党は、この選挙戦において、私達の理念に基づいた政策を堂々と訴えていきたいと思います。

強い経済を取り戻して行く。
強い経済は、しっかりとした社会保障の基盤につながっていきます。
強い経済は、活力のある地方につながっていきます。
強い経済は、東北の復興の大きな力になるわけであります。
私達はどうやって経済を強くしていくか、経済を成長させていくか 、具体的に政策を示していきたいと思います。

引用終わり


 これでもかと言わんばかりに「強い経済」と繰り返しています。まずは経済、それで安倍総裁は戦って自民党が勝利しました。ちなみにこの時の公約には増税をするとも延期するとも書かれていません。

では3回目を見てみましょう。

【チャンネルくらら】倉山満の3分間スピーチ 第3回 増税は間に合わない論のウソ③


今回のポイント

・安倍自民党総裁は総選挙でアベノミクス、まず景気を回復させる、ということをそれまでの支持者の批判を受けながらも戦って勝った。だから、増税というものを絶対やめるとは言っていないが、それ以上に優先順位は景気回復だ、ということが総選挙によって国民に示された。
・参議院選挙でも安倍さんは勝った。この時点で安倍さんは、自民党総裁選挙、衆議院議員選挙、間に東京都議会選挙という、国政選挙と同じ扱いを受けるような大型選挙、そして参議院選挙。安倍さんは全部の選挙で勝って、連立与党は過半数を獲得して、完全に国民の信任を受けた。
・増税を決めたのは前の民主党内閣と安倍さんに総裁選で負けた野党(ここで倉山氏は野党と言っているが谷垣元総裁のこと?)。山口さん(公明党)は与党第一党でも何でもないので与党の一角ではあっても、与党がどうしてもこれやりたいという事だったら従うか、連立離脱かどっちらかしか無い。
・安倍さんの意思が国民の意思として示されたので、増税よりもアベノミクスが優先。
・安倍さんは参議院選挙で勝った後、10月上旬に決める景気動向をみて判断すると言っていた。ここで何か問題があるか。問題があるならこの時に言えばいい。黙っているという時点で何で異議申し立てをしないんだという話になる。
・予算は毎年国会の意思として示される。予算請求が行われていて全部取りまとめると99兆円になった。それは役人の中のルーティーンの世界。
・あくまで予算というのは計画書、見積書に過ぎない。この時点でみんなの要望を聞いてるだけ、御用聞き。総選挙で選ばれた国民の意思と、所詮は御用聞きとどちらが優先か。
・あとになって「安倍さんは何でこの時臨時国会を開かなかったんだ、もう決まった事なんだよ」という人は、一体このプロセスをどう思っているのか。総理大臣は選挙で選ばれた人、御用聞きをやってる財務省の役人は所詮官僚に過ぎない、選挙で選ばれた人ではないどちらを優先するのか。本当に選挙で選ばれた総理大臣の意思が役人の御用聞きの都合で覆されていいのか。

 参議院選挙の自民党の公約はこちらです。

自民党 2013年参議院公約

 強調されているのは復興と経済。

 この公約で消費税に関して書かれているのはこれだけです。

●弱い立場の方には、しっかりと援助の手が差し伸べられるよう、消費税については全額、社会保障に使います

 やはり増税延期するともしないとも書いてありません。

 そして増税をするかどうかの判断についてはまず首相になってすぐの発言がこちらです。

安倍内閣総理大臣年頭記者会見 平成25年1月4日

(記事より引用)

消費税の引き上げの実施については、4~6月の経済指標を含め、経済状況を総合的に勘案して判断をしていくことになります。3党合意では、来年春に消費税を引き上げるということが決まっておりますが、その方向に向かうように、経済を再生させていきたいと考えております。

(引用終わり)


 4月~6月の経済指標、GDP速報が出たのは8月12日です。

2013(平成25)年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)

 このくらいに出ることは当然わかっていたことなので、どんなに早くても判断は8月以降ということになります。総理になってすぐにある程度の時期は明言していたわけです。

 その後、その後4月には秋には判断されるという報道がされています。

消費税引き上げまであと1年 2013年4月8日(月)

(記事より引用)

「もう1年を切っているんですね。
引き上げの予定です。
来年の4月に今の5%から8%に。
そして再来年の2015年の10月には10%と、2段階で引き上げることになっています。
10%への税率の引き上げで13.5兆円の税収増が見込まれています。
この引き上げの実施について政府は、経済状況などを勘案して、この秋に判断するとしています。」

(引用終わり)

 そして後に日銀短観を見てから決めるという発言になっています。日銀短観が発表されたのが10月1日です。

短観(要旨)(2013年9月)2013/10/01

 政治のスケジュールとしてこのように決まっていて、そして景気条項があり時の政権が増税判断して良いことになっている。それなのになぜ増税は間に合わないと自民党の議員は言いだしたのか。予算編成上の都合は本当なのか。そもそも官僚のルーティーンワークが国民の意志を覆すことになってよいのか。次回に続きます。

【チャンネルくらら】倉山満の3分間スピーチ 第4回 増税は間に合わない論のウソ④


今回のポイント

・今まで安倍さんのやってきたこと(まず経済)は国民の信任を得ている。
・官僚、特に財務省は本来は7月から始めたいのだが、選挙があったので、7月末から8月にかけて各省に御用聞きをやった。
・各省が、政治家にお願いして、いわゆる族議員と言われる人たちも使って、総動員して、団体の陳情を受けながら、予算請求が集まった(99兆円)。この時、自民党内には「えっ、99兆円も支出があるんだったら、増税しなきゃダメじゃ~ん」みたいな、わけがわからない雰囲気が広がった。
・財務省主計局の本来の仕事というのは無駄遣いを切ること。みんなが欲しいから増税して国民にツケを回す、そういう官僚は財務省主計局には居てはいけない。ところが、今回だけは、「あっ、増税させてくれるんだ。」というわけがわからないハシャギ方をした。
・その後、「増税は決まったことです」と散々圧力をかけた。最後はオリンピックが決まったので増税できるという意味不明なことになった
・そもそも予算とは何か。憲法にも財政法にも「予算案」はない。官僚が、つまり、実質的には財務省主計局があくまで計画表、見積書に過ぎない予算を作って、財務省の中で決まり、省議で決まり、そして内閣で、ここは形式的に決まり、そして衆議院に提出する。実は、「予算案」ではなく「予算」。しかし衆議院でその予算を承認しないかぎり、国会が予算を承認しないかぎり、法的効力はない。
・「予算」は、確かに「案」ではないかもしれないが、あくまで「見積書」に過ぎない。この見積書に過ぎない、法的効力がないものによって、選挙で選ばれたアベノミクスという意志、国民経済を回復させることが最優先だという選挙で選ばれた意志、法律よりも上にあると言っていいくらいの、最優先の国策、それがひっくり返されるとはどういうことなのだという話。
・「予算編成の都合がある。実際、99兆円がきた。どれくらい税収が入るかどうかわからないで、早く増税を決めてくれ。じゃないと予算が組めない」そんなことは選挙で選ばれた政治家が決めたことに合わせてやればいいのに政治家が官僚に合わせてしまった。ここに悲劇がある。


 この回はもうほとんど解説することはないでしょう。見積もりに過ぎない予算を執行するために、なぜか増税しなければいけないというおかしな空気が作られ、自民党議員はそれに乗ってしまった。もちろん彼らが官僚の都合にただただ流されたわけではなく、裏にはいろんな利権などが絡んでいるのでしょう。しかしながら、国民の意志である景気回復はどこに行ってしまったのかという話です。これに対して本当はもう決まったこととせずに国民は声を上げるべきだったのでしょう。しかしながらマスコミもそれを封殺するかのように増税はもう決まったことだと報じたことは前回の記事に書いた通りです。

増税と政局~マスコミは消費税をどう報じたのか~

【チャンネルくらら】倉山満の3分間スピーチ 第5回 増税は間に合わない論のウソ⑤


今回のポイント
・増税法案は、施行期限が決まっている。平成26年の4月から8%で27年から10%。施行期限がある法律は確かに新たなる法改正をしなければならない。「新規立法が必要だからもう間に合わない。何で夏休みなんて取ったんだ。延期したいのだったら国会開いとけよ」みたいなことをここになって言いだした。では何月何日までにこの附則18条を生かすために新規立法をしなきゃいけないか。9月10月の段階でもうまにあわないじゃないか、と言うのが実はトリック。
・増税判断は10月上旬にすることを決めていた。仮に10月1日とする。10月1日に延期判断をすると国民によってえらばれた総理大臣が判断しているのに、法律があるから10月1日より前の今の段階で決まってないのはけしからんとはどういうことか。国民の意思を無視するのかと言う話。そして政策の結果として国民経済ダメにするのかという話。国民経済にとって必要なこと国家のために必要なことでも官僚が作った法、すでに決まってる法、官僚行政の今の慣例の方を優先するというのはおかしな話。
・「必要は法に優先する」あまり褒められた言葉では本当は無いが、でもイギリス人などが憲法、国際法で運用している言葉がある。国民にとって国家にとって必要なことを所詮はそれまでの前政権の作った法であるとか、官僚の都合だけによって動かしてる法に優先させなきゃいけないなどということがあってはいけない。必要のためには総理大臣が変えなければいけないことは変えればいい。


 国民のために優先しなければならないことは何か。先日の安保法制に関わる集団的自衛権の議論などまさにそれを感じました。そもそも集団的自衛権が違憲だということがおかしな話なのですが、憲法9条が戦争放棄を謳っているからと言って何もせず何にも備えず、座して死を待つのが当たり前のような議論がなされる我が国の状況は本当に嘆かわしいことだと思います。本当に必要ならば変える必要がある事は変えなければならないはずです。

 そういえば、普段は消費増税に反対しているのに、この時は不思議なことに「悪法もまた法なり」と言った方がいましたね。

竹中平蔵の消費税増税理由がアホっぽい件



【チャンネルくらら】倉山満の3分間スピーチ 第6回 増税は決まった論のウソ⑥


今回のポイント

・毎年予算を作っている。あくまで予算は国会が認めるまでは財務省が何を言おうが見積書に過ぎない。法的効力はない。見積書に過ぎないということは今回の増税を延期するかどうかによって歳入の見込みが変わってくる。見積もりが変わってくる。予算に法的効力がない見積書なら総理大臣が歳入の見積もりを10月上旬に変えると言ってその時から動き出していけばいい。
・法律で決まっている、施行期限が決まっている法律に関しては新規立法が必要である。総理大臣が増税やめるぞと言ってから予算関連法案として通せばいい。
・そんな法案審議してたら大変だ、そんな時間はないと言うが、施行期限が決まっている法律を延期するのにどれくらいの条文が必要か。一行で十分。増税法案に「平成26年度から8%にするのは延期する」と一言書けばいい。それに3か月間を臨時国会全部費やすのか。当時自民党では増税延期を今からしたら臨時国会全部吹っ飛んでしまう、みたいなこと言われたが、延期するだけなら一行で済む。方針に賛成か反対かしかない。与党が従えば朝、衆議院を通して、夜、参議院通すので終了。今更総理大臣が公約に掲げた、増税延期によってアベノミクスを守るということをひっくり返すのかという話。法律論としてはそこで終了。臨時国会全体がダメになってしまう、みたいなことを言われても困る。一行の法案に何日審議する気だったのか。

 ここでたった一行で済む増税延期法案を審議するのに3か月もかかるのかという話が出ています。消費税10%の延期の法案がどのような流れで採決されたのかを参考までに見てみましょう。

・第189回国会(通常国会)が平成27年1月26日に召集。
・消費増税延期、法案が平成27年2月17日に閣議決定。法案提出。
・平成27年度税制改正法が平成27年3月31日参議院本会議にて可決。

 この平成27年度税制改正法は消費税延期だけに絞ったものではなかったのであまり参考にはならないかもしれません。この時消費税に関することでは平成27年10月1日に消費税10%に上がるはずだったのが、平成29年4月1日に延期、そして附属18条3項が削られることになりました。特別話題になることもなく当たり前のように成立しました。要は与党内で話がまとまっていれば当たり前に通ったわけです。これを思うにもし安倍首相が平成25年の10月1日に増税延期判断をしても与党内さえまとまれば同じようなことになった、少なくとも臨時国会全体が駄目になるというようなことはなかったでしょう。

 長くなりましたので7回、8回は次回にまわしたいと思います。次回は結論です。




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『正論の会』ならぬ『妄言の会』?! 嘘と矛盾だらけのチャンネル桜 水島社長 #チャンネル錯乱

 
 ほとほと呆れてしまいました。チャンネル錯乱の水島社長は何時になったら妄言を吐くのをやめるのでしょうか。それともこれはもう「最終的かつ不可逆的」なものなのでしょうか。

チャンネル桜・水島聡社長が尖閣諸島・慰安婦「日韓合意」を快刀乱麻20160218183130



 もう内容について深くは言及しません。文章ですら嘘が多いのに、話しだとさらに意味不明で矛盾だらけですので。

 日韓合意に関する理路整然とした水島批判はBJ24649様のブログにたくさん上がっていますのでそちらをご覧ください。今日も素晴らしい記事が上がっていました。BJ24649様の資料をふんだんに使った分析は本当に読みごたえがあります。

【慰安婦問題】「大嘘」の水島総【日韓合意】

 さて、こちらを見て呆れたのは、今回の話題とは関係ないにも関わらず、水島氏が未だに倉山満氏の木下批判について悪口を言っていることです。

 1:04:53~
 つまり財務省、ま、いろいろいるんですよ皆。あの何らかの形で二つあります。これ、これから見といてください。知識人と言うか文化人とかジャーナリスト。権力に実はおもねたい人。当人に、直接当人のことも言わないで、外務省が悪い、財務省が悪い。

 かつて8%の時に私を非難した人がいたんです。木下事務次官が悪い。ね。財務省のね。安倍さんがそれにやられちゃったんだと。そうじゃなくて木下さんもそれを言ってたでしょ。でも民主党も言ってた。自民党の税調も言ってた。朝日新聞、産経新聞、毎日新聞、日経新聞、読売新聞、テレビも全部、消費税あげてOK。周りの御用経済人、経済学者。全部あげてOKだって。影響なんかない。大丈夫だ。そういって言ってたんだ。それで安倍さんは最後はそれで8%に3%あげたわけです。

 それでアベノミクスはストップしちゃった。今も影響続いてます。つまりそれは安倍政権の、私はあのー安倍政権のね、そのアベノミクスと言うのはうまく言ったら大変良かったんですよ。あのー3%増税のおかげでこれ完全にあのマインドが冷え込んだり、消費は伸びなかったし。あのー挫折したんですこれ。それでもっといえば緊縮財政論で、まああの全然公共事業もなにも増えなかったからあんまりね。最初の1年はやりましたよ。(聴き取り出来ず)それ以外は全然ダメだったから。で、それが今続いてるわけです。で、財務省の木下が悪いだ何だって言ってる。これはトータルでちゃんと見なきゃいけない。

 で、その男はね、私のその自分の著書に、これ、ま、三橋さんが訴えて、三橋さんこないだ一審で勝ったんですけどね。あのー、150万払えって命令でて、なんか一応二審のあれは和議をちょっとしたらどうだって言われてるそうですけども、私んとこにも、名誉毀損でかったんですけど三橋さんね。私もそれ書かれてるんです。何を書いてるかと、木下次官から水島は命令を受けて8%反対運動に対して、あの敵対するように行動したと、そういうの平気で書いちゃう。

 私その木下さんっての会ったことない。電話で話したこともない。そんな奴と私は言われてね、ハイハイとやるような人間じゃない。てめえがそうだと、そうなるんです。てめえがそういう人間だとあの、水島とか言うやつも、きっとそのお金とか権力とか甘い汁にやられるとほいほいついてくる。そういうあれですね。そういうのが実はね。今回の保守のね、この日韓合意って言うのはある種のリトマス試験紙だったんです。


 これ、水島氏が何を言いたいのか理解できますか?

>権力に実はおもねたい人。当人に、直接当人のことも言わないで、外務省が悪い、財務省が悪い。

 直接当人に言わないような人達について批判したいんですよね?

>かつて8%の時に私を非難した人がいたんです。木下事務次官が悪い。ね。財務省のね。安倍さんがそれにやられちゃったんだと。

 財務省のものすごい攻勢があったことは今では安倍首相が明らかにしてますね。

>そうじゃなくて木下さんもそれを言ってたでしょ。でも民主党も言ってた。自民党の税調も言ってた。朝日新聞、産経新聞、毎日新聞、日経新聞、読売新聞、テレビも全部、消費税あげてOK。周りの御用経済人、経済学者。全部あげてOKだって。影響なんかない。大丈夫だ。そういって言ってたんだ。それで安倍さんは最後はそれで8%に3%あげたわけです。

 このマスコミや経済学者たちの言い分が財務省の代弁であったことは今では明らかになってますね。安倍首相が増税を決めた理由にブレーンの浜田宏一内閣官房参与も「私よりも財務省の説得が強かったため」と言ってますし。

 木下財務次官を増税の黒幕だとして運動をしていた倉山氏を批判したいのでしょうけど、まず最初とそれに続く部分が矛盾してますね。そもそも運動論として、マスコミが悪い、財務省が悪い、御用経済学者が悪いと攻撃対象を分散、拡大することが愚策である事も分からないのでしょうか。倉山氏はそれを財務省の最高責任者である事務次官に絞ったわけで、そもそもその時点で最初に言った「当人に、直接当人のことも言わないで」と矛盾しますよね。当人である木下康司の悪口を言うなと言ったのは水島氏ですよね。

 そして一審で三橋貴明氏が勝ったと言っていますが、何が勝ちで何が負けなのでしょう。別に勝ったと言い張りたいのなら、そうすれば良いのですが、三橋氏のように「完全勝訴」などと言うのは嘘なのでやめてくださいね。NHKのジャパンデビューの裁判が「完全敗訴」だったのは間違いありませんが。

増税と政局後日談~名誉毀損裁判の行方 三橋全面勝訴は事実か?

増税と政局後日談~名誉毀損裁判の行方 皆様へのお詫び でも完全勝訴って何?

>私もそれ書かれてるんです。何を書いてるかと、木下次官から水島は命令を受けて8%反対運動に対して、あの敵対するように行動したと、そういうの平気で書いちゃう。私その木下さんっての会ったことない。電話で話したこともない。

 はい、嘘はいけません。前にもこれはブログに書きましたが、水島氏が嘘をつくのなら何度でも指摘して差し上げます。倉山氏は木下元財務事務次官が水島氏に直接命令したなどとは書いてないですよ。『増税と政局』にはこう書いてあるのです。

 P156から引用

 財務省とか大臣の麻生とか親中派とか、そんなところを目がけていってもしかたがない。彼らは木下の指令にもとづいて動いている駒に過ぎない。
 最も強力に増税の意思を持つ司令塔に攻撃をかけなければ意味はない。マスメディアが財務省に従う状況下で、ネットで黒幕の名前と顔を引きずり出して安倍を翻意させるしかない。
 唯一の急所を目がけて斬りかかって行っていたのが私と倉山塾の増税阻止の戦いでした。それを「チャンネル桜」の水島社長を使って止めにきた。何ひとつ危険の芽を見逃さずに木下は手を打ってきた。

引用終わり




 元財務事務次官木下康司様を馬鹿にするのもいい加減にしていただきたい!水島氏が誰に、藤井氏の国土強靭化の予算だの、尖閣の漁民の予算だのためには木下様の悪口を言ってはならないと言われたのかは知りませんが、なんであなたを止めるのに、わざわざ木下康司様が直々に動く必要があるのですか。木下康司様が動くのは、渡辺恒雄氏などの大物の時だけです。勘違いも甚だしい!!

全国民必読 安倍を操る「財務省7人のワル」をご存じか 消費税増税のウラで高笑い

 何度でも言いますよ。あなたの言っているのは三橋氏の妄想です。

「増税と政局・暗闘50年史」について

記事より引用

 水島社長は(わたくしもですが)財務省の木下次官と一度も会ったことはありませんし、もちろん電話等で話したこともありません。要するに、我々にとって木下次官とは「関わったことがない人」なのです。

 とはいえ、悪趣味なコラージュがインターネット上で拡散されており、木下次官の「顔」は知っています。

木下次官「水島、倉山を何とかしろ」
水島社長「は、かしこまりました」

 と、水島社長が巨体をかがめて「指示を承る」光景を想像し、みんな爆笑してしまったわけでございます。

引用終わり


 『増税と政局』の原文を読んでいるはずなのに、妄想と区別がつかなくなっているのですね。もうお気の毒としか言いようがありません。

>そんな奴と私は言われてね、ハイハイとやるような人間じゃない。てめえがそうだと、そうなるんです。てめえがそういう人間だとあの、水島とか言うやつも、きっとそのお金とか権力とか甘い汁にやられるとホイホイついてくる。そういうあれですね。

 倉山氏がどんな権力にホイホイついて行っているのかをぜひお聞かせいただきたい。そしていつもいつもご自身がお金にクリーンなことを強調なさいますね。田母神氏の政治資金のことにも散々首を突っ込んでらっしゃいましたが、ではなぜ「頑張れ日本」の政治資金収支報告書は毎回提出を遅延されているのですか?

『収支報告書を提出しない、頑張れ日本! 全国行動委員会』

 なぜガラス張りの会計と言っていた『南京の真実』の収支報告がきちんとなされないのでしょうか?こちらに関しては簡単で、田母神氏に散々迫っていたように、通帳を公開なさるだけいろいろ言われている疑惑は晴れると思うのですが。寄付で集まったお金と映画に使った金額との差額が残っていればいいわけですからね。

 しかし、不思議なことがあるのですが、こちらは【夜桜亭日記after】水島総が視聴者の質問に答えます!で質問したら答えていただけるのでしょうか?

【夜桜亭日記after】水島総の質問コーナー 平成27年10月14日号[桜H27/10/16]


20:50~
 南京映画ですけど、えーアメリカにまだ取り残したものがありますんでアメリカロケ行ったりとかいろいろえーやります。



【草莽崛起】視聴者急拡大はすれど支援者は増えず・二千人委員会への御支援のお願い[桜H27/11/12]


4:20~
 あの、これが本当に製作費、取材費。今、実はですね。えー、もう帰ってきますからいいんですけど、アメリカロケに実は行ってましてね。えー、ちょうど11月9日、アイリス・チャンの命日だったり、あのサンフランシスコの方にロケに行ったりですね。色々、これも実はない金から本当に振り絞って、えーアメリカ行ってんですね。えー、まあそういうまあちょっとねえ、考えられないんじゃないかと思いますよ。あの皆さんの、本当にあのお金だけでこういうことをぎりぎりやっております。


 なぜ無いお金を振り絞ってロケに行くのでしょうか。映画の撮影費ですから支援金から出せばいいですよね。まさかまさか何度も何度もお金にクリーンなことを強調している水島氏が、英霊の汚名を雪ぐためにと皆様が支援してくださったお金を目的以外のことにつぎ込んで使い果たしたなどということはないですよね。この件に関しては、不思議に思っているのは私だけではないようですので、おそらく質問が寄せられているのではないかと思うのですが、どうしてお答えいただけないのでしょうか。そういえば去年のうちに作る、その後、2月までずれ込むかもしれないと言っていた『南京の真実 第2部』の上映予定が発表されないのはなぜでしょうか?

 それと去年の年末に告発状を出した田母神事務所の横領の件ですが、そちらはとっくに受理か不受理かの結果が出ているはずですが、その放送もされてませんね。田母神氏が鈴木氏を横領で告訴して受理されなかった時にあれほど批判されたのですから、まさかご自身の告発が不受理だったらだんまりなどと言うことはないですよね。それと告発状の公開はまだですか?

 別に倉山氏のことを批判するなとは言いません。ただ日韓合意もそうですが、事実に基づかず妄想で批判するのはいいかげんにしておかないと、ご自身の良識どころか知性も疑われますよ。そもそもこれでは、なぜ倉山氏が水島氏を非難したのか良くわからないですよね。倉山氏が非難したのは、水島氏が増税阻止運動に水を差したのみならず、欠席裁判で倉山氏を批判し、自分を懐の深い人物のように見せながらも、裏では倉山氏の講演会を潰そうとして、その後も今に至るまで延々と彼をデマゴギスト呼ばわりしているからですよ。

 しかし、こんな数分だけでも矛盾と嘘と妄想だらけの講演を「そうだそうだ」と合いの手を入れながら聞いているオジサマ方は何なのでしょうか。普通だったら、「何言ってんのこの人」と首をかしげる場面だと思うのですが。動画説明欄に詳細がないので調べてみたらどうもこちらの会のようですね。

日本世論の会 本部 講演会・イベント・活動情報

演題『このままでは行かないぞ!大転換宣言』
講師『水島 総』
日時 平成28年2月18日(木)午後6時半~
◎ 場所 大手町サンケイプラザ三階(地下鉄大手町駅E1)
◎ 参加費  一般1 5 0 0 円、 学生1 0 0 0円
主催 正論の会 (三輪和雄)
 

 ?!
 お金を払って!しかも正論の会?妄言の会じゃなくて!!

 いやいやびっくりですよ。学生料金設定されてますが、若い人はこんなの聞いちゃダメ!1000円あったらちゃんとした本を読みましょう!そして嘘は嘘と見抜けるように賢くなりましょうね。
 

テーマ : 保守主義
ジャンル : 政治・経済

増税と政局~マスコミは消費税をどう報じたのか~


 『増税と政局』第7弾。今回は消費税にまつわるマスコミの報道について述べていきたいと思います。

 平成25年8月12日、4月から6月のGDP速報値が発表されると、各新聞社が一斉に消費税に関する社説を上げました。

2013(平成25)年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)

 日経新聞は賛成の論調、しかしこちらの記事どうなのでしょうね。

消費増税を固め歳出削減にも踏み込め 日経 2013/8/9

記事より引用

 消費税増税と歳出削減に並行して取り組まない限り、財政の健全化はおぼつかない。政府の中期財政計画はその両方を曖昧にしている。これでは日本の経済運営への信頼感は高まらないだろう。

 まずは2014年度からの消費税増税を固めるべきだ。そのうえで中期財政計画を練り直し、もっと踏み込んだ歳出削減のメニューや目標を示す必要がある。

引用終わり


 増税して歳出削減。デフレ下でそれをやればさらにデフレに陥り景気も悪化すると思うのですが。まさに財政再建原理主義者と言った論調です。

 しかも、日経は世論調査でとんでもない印象操作としか思えない記事を上げています。

(本社世論調査)内閣支持上昇、68% 消費増税 7割超が容認

 会員でないと先が読めませんが、後に誤報サイトでも取り上げられています。

日経世論調査「消費増税7割容認」 予定通り賛成は17% 2013年8月31日

記事より引用

《注意報1》 2013/8/31 22:30

日本経済新聞は8月26日付朝刊1面で、自社の世論調査(23~25日実施)の結果について、「消費増税7割超容認」との見出しををつけ、記事本文で「税率引き上げを容認する声が7割を超えた」と伝えました。昨年8月に成立した法律で、消費税は2014年4月に現行の5%から8%、2015年10月に10%に引き上げられる予定となっているため、記事のいう「消費増税」はこの増税予定を指すと誤解される可能性があります。実際は、世論調査で設けられた質問は、消費増税自体の賛否ではなく、予定通り引き上げるべきだと思うかどうかを問うたもので、「引き上げるべきだ」は17%、「引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」が55%でした。

引用終わり

この件に関しては産経新聞の田村秀男氏も苦言を呈しています。

消費増税へ強引な世論誘導極まる日経 「8割が否定的」を「容認7割超」に 2013.08.30 田村秀男

 他で消費税に比較的前向きなのは朝日新聞でした。

新聞社説まとめサイト [朝日社説] 景気と消費税―やるべきことを着実に (2013年8月13日)

 産経新聞は消費税に慎重な態度。

【主張】GDPと消費税 首相は複合的な視点もて2013.8.13

 読売新聞も増税には慎重な意見。

遥香の日記より 2.6%成長 消費増税に耐えられる体力か(8月13日付・読売社説)

 読売はその後、明確に社説にて増税を見送るべきだと言っています。ただ、消費税10%に上げるときには新聞には軽減税率を適用しろという少々身勝手な言い分ですが。

遥香の日記 消費税率 「来春の8%」は見送るべきだ(8月31日付・読売社説)

 東京新聞は消費増税に反対。

新聞社説まとめサイト [東京新聞] GDP統計 消費増税の環境にない (2013年8月13日) 

 これが9月になると様相が変わります。

 首相はいったい何度増税決断を行ったのか。異様なペースで「首相増税を決断」の記事が繰り返し新聞各社で掲載されることになります。

 こちらは倉山満氏の『増税と政局・暗闘50年史』にまとめてあるのでそちらを引用させていただきます。ページ内にあるGOHOOサイトはどうも削除されてしまったようです。増税決断との記事は細かいものをを探せばまだたくさんあったはずです。



『増税と政局』P104より引用

【読売】
2019/9/12朝刊1面「消費税 来年4月8% 首相、意向固める 経済対策に5兆円」、同2面「『景気に冷や水』回避願う 『2%』分は実質還元」

2013/9/16朝刊2面「消費増税『家計支出減らす』56% 本社世論調査『軽減税率導入を』74%」

2013/9/23朝刊「消費税10%は『経済次第』 首相『推移見ながら判断』強調」

【朝日】
2013/9/21朝刊1面「首相、消費税引き上げを決断「来年4月から8%に」

【毎日】
2013/9/13夕刊「小委増税 来年4月8% 安倍首相『環境整う』判断 経済対策、5兆円規模検討」

【産経】
2013/9/19朝刊1面「消費税来春8%、首相決断 法人減税の具体策検討指示」

【日経】
2013/9/19夕刊1面「消費税来春8% 首相決断 法人減税が決着、復興税廃止、前倒し 来月1日表明」

2013/9/23朝刊2面「10%は改めて判断 消費増税 首相『経済の推移見る』」

【共同】
2013/9/12「消費増税 来年4月8%に 首相、10月1日表明へ」

【時事】
2013/9/12「消費税、来年4月に8%=経済対策5兆円で下支え=安倍首相、来月1日のも表明」

2013/9/22「消費税10%は改めて判断=集団的自衛権、来年以降に―安倍首相」

【東京】
2013/9/12夕刊1面「消費税 来年4月8% 2%分 経済対策5兆円 首相判断 社会保障目的どこへ」

2013/9/23朝刊2面「消費増税 10%上げ時に再び判断 朱書 8%後の経済踏まえ」

引用終わり


 そもそも首相の意向は常に菅官房長官が記者会見で発表していますが、ずっと「総理はまだ決めていない」と発言しています。

内閣官房長官記者会見 平成25年9月25日(水)午前

 こちらでは「総理が10月1日の日銀短観を踏まえた上で判断する」「新聞報道がどんどん先行してるますからあたかも決まったように皆思ってらっしゃるんじゃないでしょうかね」と言っています。菅官房長官はこのように明言しているのに、マスコミは消費税がもう決まったことだとの報道を行ったのです。

 そして、10月1日の指標を見て決めると言っているのに、マスコミは10月1日の記者会見で発表と報じます。

 結局、安倍総理は、10月1日、マスコミの発表通りに消費税を平成26年4月1日より8%にあげるとの決断をし、記者会見を行います。

安倍内閣総理大臣記者会見 平成25年10月1日

 消費税を上げれば景気は落ち込むことがわかりきっているのに、マスコミが消費増税は決まったことだとの印象操作をしてしまう。どれほどの圧力があったのかと思います。この時安倍首相の経済ブレーンである浜田・本田内閣官房参与は増税に反対していました。それでも、首相が増税を決めてしまった理由に「私よりも財務省の説得が強かったため」と浜田参与は語っています。

浜田内閣官房参与、アベノミクスを採点 金融緩和はAプラスだが、成長戦略はE ロイター 2013年11月16日

 この時、財務省の言い分を代弁していたエコノミストや増税に賛成していた有識者はこちらにまとめがありますのでご覧いただけたらと思います。結局、順調に回復していた景気はひどく落ち込みました。消費増税による景気悪化をアベノミクスの失敗だと言う人がいますが、違います。アベノミクスに無い消費増税、それも第二の矢の『機動的な財政出動』の反対のことをしたので景気が悪化したのです。

嘘をついたエコノミストは誰か?増税賛成派のデタラメな主張!

 あからさまに景気が悪化してしまった後、新聞は何をしたのでしょうか。

軽減税率適用を求める100万人署名運動

 消費増税を後押ししておきながら自分たちは消費税を上げてほしくないと。なんとも身勝手な主張です。

 新聞社が言説を変えた。特に増税に反対していた読売新聞も増税が決まったことだとして報道するようになったことに関して面白い記事があります。

全国民必読 安倍を操る「財務省7人のワル」をご存じか 消費税増税のウラで高笑い 2014年04月30日

記事より引用

もちろん大手メディアへの対策も抜かりはない。特に力を入れているのが、安倍首相と懇意な渡辺恒雄氏が率いる読売新聞。昨年8月31日に読売新聞が『消費税率「来春の8%」は見送るべきだ』との社説を掲げた際には、事務次官の木下康司氏('79年)がすぐに渡辺氏のもとへご説明に伺ったほど。

引用終わり

 なるほど渡辺恒雄氏ほどの大物になると財務事務次官様が直々にご説明されるわけですね。某ネット放送の社長が「私は木下とかこんな連中に会ったこともないし、このそういうなんとかっていう次官にもあったこともないしね、電話で話したこともない」と言っていましたが、彼はそこまでの大物ではなく、彼など会わずとも操ることは簡単だということでしょう。しかし、増税が決まった直後に「木下が増税の黒幕だというソースを出せ」と言っていた人たちはこの記事や後の首相の言葉を聞いてどう言い訳するのでしょうね。

 メディアと財務省の関係も上げておきます。なぜマスコミが財務省に都合のいい記事を書くのかの理由の一つでもあるかと思いますので。現在、軽減税率も、生鮮食品か加工食品かなどの議論がされていたのに、なぜかそこにちゃっかり新聞も入っているのがおかしな話ですね。

元財務高官が続々天下る読売・日テレの狙いは 2014年7月26日(土)

記事より引用

読売新聞社・日本テレビグループに財務省の元高官が相次いで天下っている。

6月10日、元財務事務次官の勝栄二郎氏が読売新聞社の監査役に就任したのに続き、6月27日には前財務次官で弁護士の真砂靖氏が日本テレビホールディングス(HD)と日本テレビ放送網の社外取締役に就任。元財務次官の読売新聞社監査役就任は、丹呉泰健氏(1974年入省)に次いで2代連続となる。

引用終わり


 財務省に逆らえばマスコミまで敵に回すと言う指摘もあります。

安倍首相 財務省の天下り先を潰して厳しい報復受けた過去も2014.09.09

記事より引用

それなのに財務省の意向に逆らえないのは、国民より財務官僚の信頼を失うことが怖いからだ。安倍首相は7年前の第1次政権でその怖さを身をもって経験した。

 当初は小泉政権から引き継いだ圧倒的多数を背景に公務員改革を進め、財務省の天下り先に大鉈を振るって政府機関の統廃合に取り組んだ。だが、半年経たないうちにその威勢は消し飛んだ。第1次安倍政権の元閣僚が振り返る。

「閣僚のスキャンダルや消えた年金問題がリークされ、支持率が落ち目になると、財務省は全くいうことを聞かなくなった。そうなると内閣はひとたまりもない。官邸は閣議の際に大臣たちが総理に挨拶もしない“学級崩壊”状態に陥った。あの時のトラウマがあるから、安倍総理は政権に返り咲くと政府系金融機関のトップに財務省OBの天下りを認めることで7年前の償いをせざるをえなかった」

 財務省の尻尾を踏めば大メディアまで敵に回る。

 やはり7年前、安倍首相は新聞の宅配制度を支える「特殊指定(※注)」見直しに積極的だった竹島一彦・公正取引委員長を留任させた。その人事でさらなる窮地に陥った。

【※注】特殊指定:地域や読者による異なる定価設定や値引きを原則禁止する仕組み。

「財務省と宅配を維持したい大手紙側は竹島さんに交代してもらう方針で話がついていた。ところが、安倍総理が留任させたことから、財務省は『安倍政権は宅配潰しに積極的だ』と煽り、それまで親安倍だった読売などのメディアとの関係が冷え込んだ」(自民党関係者)

 財務省の天下り先を潰しただけで、それだけの報復を受けたのだ。その後、自民党から政権を奪い、「総予算の組み替え」で財務省の聖域である予算編成権に手をつけようとした民主党政権の悲惨な末路を見せつけられた。

引用終わり

 結局、財務省の圧力とメディア攻勢に、ずっと安倍総理の経済ブレーンとして消費増税に反対していた本田内閣官房参与が「総理と刺し違えても『消費税10%』は阻止します」と立ち向かい、最後は解散風で与党内の意見をまとめ、全ての野党も増税に反対するという事態になり、ようやく増税延期の決断、その後の解散総選挙となりました。

 この後、安倍総理の口から、財務省の増税への凄まじい説得工作が語られることとなります。

安倍首相、消費増税めぐる財務省の政界工作を示唆 省益優先で不況下に緊縮財政の罪2014.12.01

記事より引用

 11月30日、各党代表が出演したテレビ番組『新報道2001』(フジテレビ系)内で安倍晋三首相は、キャスターの「(衆議院)解散の理由は財務省による消費増税包囲網を打開するため、という見方があるが、その真意は」という質問に対して、以下の2点を述べた。
 ひとつは理念的な理由ともいえるが、来年10月に予定していた8%から10%への消費再増税を2017年4月へ先送りし、総選挙でその信を国民に問うというものだ。さらに「現実論として」と断ったうえで、「財務省が『善意』ではあるが、すごい勢いで(消費再増税にむけて)対処しているから党内全体がその雰囲気だった」と明かし、その「勢い」を転換することが必要だったと述べた。事実上、キャスターの問いを肯定するものだった。
 財務省が消費増税について政治家に対する説得工作を行っていることは、これまで多くの識者やマスコミにより言及されてきた。だが、その影響力が選挙なしでは払拭できないほど政治を浸食していることが、時の首相の口から出たことは極めて重大であるし、また興味深い事実でもある。

引用終わり


 本当に、財務省が増税の黒幕のソース(以下略)

 現在は、まるで軽減税率が決まったかのような報道が続いています。そのような報道になるのは官邸の動きを見れば仕方のないことかもしれません。しかし、最近の世界同時株安などを受けて、来年の10%の消費増税は無理との意見や、参院選に合わせて衆参W選挙で増税を延期決断をするのではないかと言う報道も出ています。

 そんな中、いち早く「再増税中止宣言せよ」との記事を掲載した、産経新聞と田村秀男氏には敬意を表したいと思います。

産経新聞20160115


 後1つ記事を書いて一旦この『増税と政局』は終わらせるつもりですが、なぜこのような記事を書き続けているか。歴史認識、憲法、安全保障。日本を取り巻く様々な問題があります。安倍総理はこの問題の全てに取り組んでいる稀有な政治家です。その安倍総理が「まず経済」と言って二度目の政権を取ったのです。お金は単なる手段です。しかしそれがなければ食べていくこともできません。生活に余裕がない状態で、国民は真剣に憲法のことなど考えるでしょうか。十分な予算がなければ国防費を増やすことも出来ません。そして、そのために必要なことは経済成長なのに、20年近く日本は誤った政策を取ってきました。そしてそれを取り戻せるかと思っていた矢先、2013年10月にまた誤った判断をしてしまいました。過ちを繰り返さないために、これまでに起こったことを整理して置きたいと思いました。

 次は某ネット放送のあるシリーズを検証する予定です。

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寄稿すべきは『正論』ではなく『赤旗』?! チャンネル桜の水島社長の左旋回が止まらない件 #チャンネル錯乱

 
 前回『増税と政局』の予告をしていたのですが、余りに驚いたのでこちらの記事を先にUPします。

 朝の眠気も吹っ飛んでしまいました。

 朝一番のメールチェックで読者登録しているScorpions様のブログの更新のお知らせがあったのでさっそく読む。

北の立場を考えろ!“月刊ム―”レベルのアメリカ陰謀論を吐き保守を貶める水島氏 #チャンネル錯乱


記事より引用

「金正恩政権は危険な状態の政権だが、その危険な状態を煽っている面を冷静に見なければならない―」
2/18放送の【戦争の需要】北朝鮮と南シナ海情勢の緊迫化を歓迎する勢力とは?[桜H28/2/18] は、水島社長のこの言葉から始まる。

そして、次のような事が語られていく。
「北は自らの政権、生存を守るために核兵器を持っている。」
「対北牽制は戦争を煽っている。ミサイル発射や核実験は一体なぜやっているのか。
自分たちの身を守るために必死にあがいているのだ。トンデモない政権だが、彼らの側にも立った見方もしなければならない。」

引用終わり


 ?!

 水島社長何言ってんの?チャンネル錯乱は社民党か!!


北ミサイル発射 社民・又市幹事長「いたずらに『北朝鮮の脅威』あおるな」産経新聞 2月7日(日)

 それで慌てて確認してみました。

【戦争の需要】北朝鮮と南シナ海情勢の緊迫化を歓迎する勢力とは?[桜H28/2/18]


 本当に言ってるし。北朝鮮は自国を守りたいだけ、韓国や日本を侵略する意思はないらしいです。そして、北朝鮮や中国を煽っているのはアメリカだと。

 以前、北朝鮮は脅威ではないなどの妄言がなんと『正論』に寄稿されていると聞いて、その時もチャンネル錯乱は共産党か!と驚いたのですが、いやはや水島社長はどうしてしまったのでしょうか。

月刊正論3月号 チャンネル桜 水島社長の”脱保守 親北宣言”?! #チャンネル錯乱


共産・志位委員長「中国、北朝鮮にリアルな危険ない」2015.11.7


 いや、しかし共産党の志位委員長が北朝鮮にリアルな危険性はないと言っていたのは、今回の核実験の前の話なので、どちらかというとリテラかもしれませんね。

北朝鮮より怖いのは安倍政権の暴走だ! 危機を煽って改憲に利用、米国の命令で自衛隊を朝鮮半島に送る事態も 2016.01.07


 しかし、やはりこれが水島社長の本性なのでしょうか。北朝鮮は脅威ではない、北朝鮮や中国を煽っているのはアメリカだ!そのようにアメリカの脅威を煽っていったい何をしたいのでしょうか。アメリカに問題がないというつもりはありませんが、現在アメリカは日本の同盟国です。戦前、もともとは友好国だったアメリカと戦争をすることになってしまった背景にロシアや中国共産党のスパイの工作活動があったことは今では明らかになっています。彼らは徹底的にアメリカでは反日を、日本でも愛国者の振りをして反米を煽りました。水島社長は彼らと同じことをしたいのでしょうか。

 以前、朝日新聞にコメントが掲載された古谷経衡氏をぼろくそにけなしておきながら、赤旗で共産党との連携を呼びかけた藤井聡氏に何も言わないことを批判した記事を書いたことがありました。
 
朝日新聞はNG、藤井聡の赤旗はOK? チャンネル桜のダブルスタンダード

 この後、藤井聡氏はチャンネル桜には出演していませんが、同じように共産党との協力を是々非々だと言っていた西田昌司氏は相変わらず桜に出続けています。

西田昌司議員「自民党と共産党が手を組んで何が悪い!!」



 ここ最近の目に余るほどの左旋回。水島社長が寄稿すべきなのは『正論』ではなく『赤旗』なのではないのでしょうか。

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増税と政局~保守界隈のバカ騒ぎ 三橋貴明こと中村貴司編~

 
 さて、「増税と政局」第6弾。今回は人気経済評論家であり、大量の著作でも知られる三橋貴明こと中村貴司氏について語りたいと思います。何故ペンネームと本名を書くかというと、今回他にもペンネームを使った方々が出てくるため、つい並べたくなってしまうからです。

 三橋貴明氏ですが、自民党員でもあり、「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」の発起人の一人でもあります。とは言っても、彼の一番慕っていた政治家は麻生太郎財務大臣のようで、彼のことを「平成の高橋是清」と持ち上げていました。

平成の高橋是清 2012-12-28

 リーマンショック後に世界中で金融緩和しているときに、財政政策に邁進してひどい円高をひき起こし、それで多くの日本の優良企業を経営不振に陥れ、結果「自民党よりまし」「一度やらせてみよう」と政権交代の引き金になった元総理である麻生太郎氏がなぜ「平成の高橋是清」なのかは理解に苦しむところですが、それは置いておきましょう。

 「平成の高橋是清」こと麻生財務大臣ですが、消費増税に関しては怪しい発言をしているですが、三橋氏はそれを庇っていました。

麻生太郎財務大臣の寄稿 2013-04-22

続 麻生太郎財務大臣の寄稿 2013-05-12

 しかし麻生大臣は、参議院選が終わった直後に明確に「消費増税は国際公約」と予定通り増税すると公言します。そして、景気を冷やすと慎重論を唱える安倍総理ブレーン(浜田・本田内閣官房参与)と対立することになるのですが、さすがにこれには三橋氏も猛烈に批判するかと思いきや、なんとも歯切れの悪いコメントをしています。

【消費税】 麻生太郎の増税に怒りを感じる 【三橋貴明】


 0:48~
 でこれ麻生さんね。ほんとにこんなこと言ってるんだったら、あの私は怒りますよ。はっきり言って。お友達、仲いいですけど。ただねえ、そのなんかいろいろ見ていると、その、結構情報が錯綜していて、補正予算とセットで増税ってのもちょっと考えてんのかなあっていう。要はまあ増税しょうがないけど、そのかわり大規模な補正予算、20兆、30兆って規模を財務省に認めさせるとかね。そういう路線も狙ってんのかなと言う気もします。セットで言ってんですよね、補正予算。


 この増税しても補正予算、あるいは財政出動というのがこの後の彼とお友達の主張になります。そして、この後、「消費増税には反対」と言いながら、消費増税を本気で止めようとしている人を後ろから撃つ様な真似をしたのです。そちらは以前もブログに書いたことがありますが、もう一度、経緯を説明しましょう。

 下記は三橋氏のメルマガ『三橋貴明の「新」日本経済新聞』でおりしも増税決断直前に配信されました。

【鶴田正平】消費税のしょぼい展開 2013/09/24

 記事より引用

だから「消費税増税は反対だ!!」って声が国民の中からわき出でるのも当然です。

当方ももちろん!!増税には「大反対」であります!!!
なんといっても、大規模な景気対策なんて、今の政府にやぁ期待薄。。。っすもんねぇ。。。。

でも・・・・万一!、消費税増税をしたとしても、チョーチョー大量の、例えば、その増税による増収分の3倍とか4倍の規模で「政府から国民への還元を断行する!」なんてことがあれば、「デフレ圧力」はきれいさっぱり無くなって、かえって「インフレ圧力」がかかることになりますもんね。

いわば、ブレーキは踏むけど、それ以上の勢いでガンガンにアクセルを踏めば、クルマは前に進んじゃう、ってことになるわけです。

(中略)

(最善!)増税しないで、ガッツリ財出!! (→ガッツリ、デフレ脱却!!!)
(よ い)増税しないで、ちょろっと財出! (→そのうちデフレ脱却?)
(ま し)増税して、ガッツリ財出     (→まぁデフレ脱却できるかなぁ。。。?)
(最悪!)増税して、ちょろっと財出    (→はい、チーン…..)

さぁ、政府はどうするのでしょぉぉぉぉぉぉか!?

・・・・あっ!、そうそう。

こんな話してると、

「鶴田は、増税の推進派だ!!
こいつは安倍さんの敵だ!!
木下事務次官に懐柔されたダークサイド野郎だぞ!!」

なんて言われるかもしれませんが(おーこわ 汗)、この鶴田、山下事務次官にあったこともなけりゃぁ、総理に敵意があるはずもありません。

(中略)

この鶴田、どうも気になって気になって仕方が無いのが、「ミョウなデマ」であります。

そのデマってのは、

「デフレは貨幣現象だ。
だから、金融緩和だけでOK!
財出なんて、全然イラン。
だけど!! 消費税増税はデフレを悪化させる!!」

ってものです。

でもこの話、この鶴田めの小さなおつむでいくら考えても「ちょっとおまぇ、ボケてんじゃねぇのか?」って話にしか思えません。

このボケ話の震源地は、おおよそこのあたりですが、
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPTYE95608920130607

引用終わり


 何ともひどい記事です。こちらは鶴田正平氏という京都大学大学院教授でもあらせられる藤井聡内閣官房参与のピンチヒッターでたまに三橋氏のメルマガに登場していた人物ですが、文体と言い碌に根拠も示さずに人をデマ呼ばわりするところといい、どう考えても藤井氏ご本人なのですが。そうでなかったとしても、もちろんこちらに関しては藤井氏と三橋氏が責任を負うところです。

 そして最後のリンク先は浜田宏一内閣官房参与のインタビュー記事です。同じ内閣官房参与をペンネームを使ってボケ呼ばわりするとは!!

 そして、次は東田剛こと経済産業省にお勤めの中野剛志氏の記事です。

【東田剛】消費税増税より大きな問題 2013/09/25

記事より引用

仮に消費税を増税したって、そのデフレ効果を上回る大型の財政出動をやれば、「倍返し、いや10倍返しだ」となるでしょう。
もちろん、オカマの財務官僚が「あたしの邪魔は、許さないわよ~」ってやるので、それは難しいのかもしれません。
でも、それで景気が悪化したら、財務官僚に土下座要求して、財政出動やりまくればいいわけです。
逆に、消費税を上げなくても、財政出動がなければ、デフレ脱却はできません。

繰り返しますが、重要なのは、「消費税を上げないこと」ではなく、「財政赤字を拡大すること」なのです(例えば、西田昌司参議院議員は、このことを理解されている)。

(中略)

ちなみに、安倍総理は、消費税増税の結果について責任をもつと明言されています(言わずもがなですが)。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE98L00T20130922

つまり、「木下(財務次官)が~」「麻生が~」「コミンが~」「テルンが~」ではなく、「安倍が~」だということです。

引用終わり


 両者の主張に共通するところは、増税しても財政出動すれば大丈夫ということです。結局この後8%の増税は決定してしまいました。そして公共事業の予算は増えたものの、入札の不調が相次ぎ、何より個人消費がひどく落ち込み景気が恐ろしく悪化したことは皆さんご存知の通りです。

 そして両記事の赤字部分は、当時財務事務次官の木下康司氏を増税の黒幕だとして増税阻止運動をしていた倉山満氏に対する攻撃です。

 2つ前の記事『増税と政局~保守界隈のバカ騒ぎ~チャンネル桜 水島社長編 #チャンネル錯乱』で書いたことですが、チャンネル桜の水島氏が上念司氏と倉山氏に増税を決まったことだとして番組をやれ、と言ったのが9月24日木下元財務事務次官の悪口を言うなと言ったのが9月25日上記のメルマガも全く同じ時期ですね。一体この頃、彼らに何が起こったのでしょうね。

 そして増税が決まるとすぐに安倍批判に転じ、おかしな対立軸を作り煽り始めました。

思想の対決 2013-10-06

記事より引用

 現在の日本政府及び自民党は、「新古典派」と「ケインズ派」(大雑把に書くと)が激しい路線争いをしています。両派の違いを一言で書くと、「デフレは貨幣現象」派と、「デフレは総需要不足」派の争いと言っていいでしょう。

引用終わり

 そもそも「デフレは貨幣現象」「デフレは総需要不足」は対立する概念ではありません。それなのに三橋氏は勝手に「デフレは貨幣現象」だと言うリフレ派(浜田・本田内閣参与など)を「新古典派」デフレ脱却には財政出動がもっとも必要だという自分たちをケインズ派とくくって対立の構図に持ち込みました。そもそもケインズに対する理解が間違っています。後に述べますが、三橋氏が批判する浜田参与は米国におけるケインズ学派の第一人者であるジェームズ・トービン氏の教え子ですし。

 「デフレは貨幣現象」ということを否定してからでしょうか。元々は言葉の定義とデータを大切にする人だったにも拘わらず、どんどん言葉の定義がおかしくなり、言動もおかしくなってきます。主なところでは「マンデル・フレミングモデルは大国では見られない」とか最近では『「構造改革」と「緊縮財政」を合わせて、グローバリズムと呼ぶことにします』など。

 自分に都合のいい結果になるようにデータを使ったり、

疑惑のグラフ 2014-06-14

 記事の使い方も杜撰になってきます。

「私の第3の矢は悪魔を倒す」考 2014-07-01

記事から引用

「悪魔を倒す」
 って・・・・。

FT向けの表現なのかも知れませんが、率直に言って「日本人離れ」していると思います。日本には歴史的に「悪魔」はいません。鬼はいましたが。

引用終わり


 申し訳ありませんが、噴飯物の素人以下のいちゃもんです。
 三橋氏のブログのリンク先は産経ですが、この論文は元々英語で書かれたものです。

My ‘third arrow’ will fell Japan’s economic demons Shinzo Abe  June 29, 2014

 「悪魔」と訳したのは産経新聞でしょう。原文では"demons“なので別に鬼と訳しても構わないわけです。三橋氏は産経の記事を読んだだけで原文に当たらずに記事を書いているのでしょう。検索すればそういったブログが山ほど出てきてそれこそ三橋氏同様の噴飯物の妄想記事だらけです。要は彼も同レベルということですね。

 原文に当たっていても注意が必要です。彼は「超訳」と言う手法を使います。

クルーグマン教授の謝罪 2014-11-11

記事より引用

 ポイントがお分かりでしょうが、クルーグマン教授は、まずは欧米政府の「財政出動の不足」「緊縮財政」について猛烈に批判しているわけです。何しろ、ズバリ「まずは、財政政策だ」と、書いているわけでございます。

(中略)

 それにしても、クルーグマン教授のコラムのポイント、すなわち、
「日本の90年代の財政政策の拡大は正しかった」
「97年以降の緊縮財政は間違っていた」
 といった部分を報じないマスコミに、存在価値があるのでしょうか。別に、「マスコミ」という業態に存在価値がないとは言いませんが、少なくとも現在の国内マスコミは「情報」を生業にする企業としては、明らかに失格だと思うのです。

引用終わり


 三橋氏の記事だけでなく、原文も掲載しておきます。

Apologizing to Japan OCT. 30, 2014
 
 第一の突込みポイントですが、
>まずは欧米政府の「財政出動の不足」「緊縮財政」について猛烈に批判しているわけです。何しろ、ズバリ「まずは、財政政策だ」と、書いているわけでございます。

 こちらは原文で「Start with government spending. ~Or consider monetary policy. 」となっていますが、「まず手始めに財政政策。~。次に金融政策について検討しよう」と列挙しているだけで、特に前に来た方が大事とかそういった意味はありません。こちらは、私のつたない英語力では心配だったので、専門の方の意見も聞いています。

 そして、結論は完全に超訳です。
 
>それにしても、クルーグマン教授のコラムのポイント、すなわち、
>「日本の90年代の財政政策の拡大は正しかった」
>「97年以降の緊縮財政は間違っていた」

 このコラムのポイントは「日本で取られてきた政策はひどかった。しかし西洋はもっとひどい」です。どう読んでも「日本の90年代の財政政策の拡大は正しかった」とはなりません。そして「97年以降の緊縮財政は間違っていた」かもしれませんが、欧米のやってきたことよりましだと言っているのです。三橋氏は『クルーグマン教授が一体何を「謝罪(東京新聞の記事にもある通り、欧米のエコノミストや政策担当者に対する皮肉でしょうけれども)」したのか、今一つ分かりません』と言っていますが、ご自身で書いている通り、皮肉であって本当の意味の「謝罪」ではないのですよ。どちらにしても高名な経済学者の論文をこのような使い方をして自説に有利に導こうとするのはいただけません。

 安倍総理を批判したいという結論ありきなので、読みも言動もおかしくなっています。自殺者が増えると言いながら安倍総理は増税する前提で話しています。最悪を想定してということはわかるのですが、もうこの頃は麻生財務大臣すら発言が弱気になり、解散風も吹いていた時です。そんな中で、しれっとお仲間の西田昌司は強硬に消費増税に反対しているなどと嘘をつきます。しかし、財務省の工作がすごいということを言っていますが、なんで前回の増税の時はそれを言わなかったのでしょうか。8%の時はやらなかったとでもいうのでしょうか。

【消費税増税】三橋貴明が警告!政治の怠慢で自殺者が増える…自民党内でも増税反対の声!<おはよう寺ちゃん 活動中 2014.10.29>

 そして、8%の増税決断前に、慎重論を説いて麻生財務大臣と対立していた浜田内閣官房参与を今度は増税派だとレッテル貼りします。

【三橋貴明】おはよう寺ちゃん 活動中【水曜】2014/11/05

 7:30から「ちょっと前まで(増税に)賛成ダー!とか言ってたんですけど」などと言っていますが、いつ浜田参与が消費増税に賛成だなどと言ったのでしょうか。確かに浜田参与の発言が、増税容認のように誤った報道をされ、訂正願いが出たことがあります。

時事通信社に記事および見出しの訂正を求めます→記事が訂正されました Posted: 7月 18th, 2013

 しかし普段からきちんと浜田参与のインタビューや著作を読んでいれば、それがおかしいことに気付くはずです。恐らく、青山繁晴氏同様三橋氏もきちんと浜田参与に関する記事、あるいは著作を読んでいないのでしょう。

 三橋氏は、その後、浜田参与に関してこのようなメルマガを配信しています。
 
【三橋貴明】驚愕 2015/04/17

記事から引用

浜田教授も、岩田教授も間違えていたのです。
間違えていた学者は、いかに責任を採るのか。注目させて頂いております。

岩田教授は、当然、日本銀行副総裁を辞任されるのでしょう。ご本人が仰っていたように。
浜田教授は、もちろん内閣官房参与を辞任されるのでしょう。と思っていたわけですが、何と「物価ばかりを気にする必要はない」ときましたか。稀に見る、お見事な変節を拝見させて頂きました。
しかも、需要創出に結びつかない「消費増税」「法人税減税」に賛成する、と。

引用終わり

 三橋氏はなぜ日銀あるいはリフレ派と言われる人が物価上昇率を重視するのかをわかっていないのでしょう。物価上昇率と失業率には逆相関の関係があるのです。しかし、ただ物価が上昇すれば良いということではありません。

 そしてもともと浜田参与はインフレターゲットにこだわっているわけではありません。それは著作からもうかがえます。


「伝説の教授に学べ!」2010/6/25
(kindleで所有のためページ数省略)

引用

第6章 デフレ脱却後、日本経済はこうなる

 私は、日本銀行が心を入れ換えて、きちんとした貨幣観に基づいた金融政策を運営してくれるのがいちばんよい、もしそうなれば、インフレターゲットでその時々の政策を縛る必要はないのではないか、と思っていました。
 しかし、日本銀行はまったく心を入れ替える気配もないし、そもそも、そうするインセンティブもない。となると、日本銀行が正しい金融政策を行うように仕向けるインセンティブ・システムを作らなければならない。その有力な手段が、インフレターゲットですね。それだけでなく、日銀法を改正して、FRBのように、物価の安定とともに雇用や成長の達成を日本銀行の目標とするという山本幸三議員の提案も有効と思います。

引用終わり

 日本銀行が正しく金融政策を行えば物価目標は特別必要ない。そして正しい金融政策の目的は雇用や成長達成の為なのである。だから「物価ばかりを気にする必要はない」と言った浜田参与を変節と呼ぶのは全く的外れであり、三橋氏が浜田参与を変節と責められるほど著作もおそらくインタビューも読み込んでいないことがよくわかります。

 そしてこの元ネタとなったインタビュー記事の「消費増税賛成」。申し訳ないですが、本当に浜田参与はそのように質問されて、そういった意図で返答しているのでしょうか。

インタビュー:すぐの追加緩和不要、月末でも反対せず=浜田参与 2015年 04月 14日

記事より引用

──17年4月からの消費税再増税には、賛成との立場か。

「どちらかといえば、そうだ。私自身は、これからは間接税である消費税を重んじる代わりに、法人税を大幅に安くした方がいいという考え。法人税は国際競争があり、引き下げないとやっていけなくなる。法人税を下げることで外国から投資が入り、日本の投資が出ていかないという意味で、税収をプラスにする大きな要因になり得る。一方、租税特別措置などは役人をめぐるコネの温床のようなものであり、止めるべきだ」

引用終わり

 浜田参与の返答が、問いに対する答えになっていません。「法人税減税には賛成か」あるいは「消費税で税収を増やすより、法人税減税の方が経済効果があると思うか」と問われてこのように答えているのならつじつまが合うと思うのですが。消費税の再増税になぜ賛成なのかの答えにはなっていません。なぜ三橋氏はその点を無視するのでしょうか。

 もう一つはこちらのインタビューに一番近い時期に出版されているこの本を読めばどう考えても、浜田参与が消費増税に賛成しているとは思えないからです。


『世界が日本経済をうらやむ日 』 2015/1/31
(こちらもkindleで所有のためページ数省略)

 まずまえがきからこうです。

引用

 2014年12月14日の総選挙で、自由民主党(自民党)が圧勝した。安倍政権が誕生して約2年が経過したが、今回の結果は、景気の回復を続けるためにアベノミクスを継続することを、日本国民が広く受け入れられたからであろう。
 4月に消費税が8%になったことで、2014年7~9月期の実質GDP成長率が4~6月期に続き、2四半期連続のマイナスとなってしまったのは残念であるが、消費税10%の引き上げが延期されたので、景気が再び軌道にのるのは間違いない。

引用終わり


 はて?増税したから景気が悪くなった。増税を延期したから景気が再び軌道に乗るのは間違いない。こんな人がなぜ消費増税賛成なのでしょうか。

 そして第4章「なぜ日本の財政赤字はここまで膨らんだのか」の「消費増税は正しい政策か」の部分でも増税引き上げをすれば駆け込み需要はあるが、その後消費が落ち込むこと、デフレ不況からやっとのことで立ち直ろうとしている日本経済の状況を考えると、消費税引き上げに賛成することは出来ないことなどが書いてあります

 なぜこの記事が眉唾かのもうひとつの理由に編集したのが田巻一彦氏だということもあります。そもそも田巻氏に関しては三橋氏自身も嘘つきのど素人と酷評していたはずですが。

天下為公 対 天下為金 その2

 先ほどの著書の中で浜田参与もマスコミに対して苦言を呈しています。

第4章 なぜ日本の財政赤字はここまで膨らんだのか 勝手に変えられた新聞記事のタイトルより引用

 実際に日本の有力新聞は、増税キャンペーンを100%サポートする旨をサポートする旨をずっと書いていた。
 新聞社には、識者のインタビュー記事のタイトルを、「編集権がある」などと言って、許可なく変更する工程があるようだ。ある、通信社は2014年4月の消費増税直前に私のところにインタビューに来て、記事のタイトルを「消費増税、容認姿勢へ=浜田内閣官房参与」として配信したことがある(実際、インタビューで私は、消費増税を容認するような回答をしていない)。
 この記事を見た友人から、「財務省では、本丸に近い処(内閣官房参与)が落ちたと祝杯を挙げているんじゃないか」とからかわれたが、私はその通信社に抗議して、タイトルを直してもらった(「消費増税、慎重な対応を=浜田内閣官房参与」で再掲された)。これは日本のメディアが、財務省の増税キャンペーンの片棒を積極的に担いでいることの好例であり、氷山の一角にすぎない。

引用終わり


 そもそも三橋氏は「マスコミに騙されるな」とあれほど警鐘を鳴らしてきた方ではないですか!そして、マスコミにまるでリンチされたかのような状態で、汚名を雪ぐことも出来ずに亡くなった中川昭一氏への贖罪の意味で『真冬の向日葵』を書いたのですよね。



 「現実の記憶」「少しでも多くの人に、真実を知ってもらおう」との思いを込めて作られたこの作品。「陰謀論が嫌い」「明確な失敗作」とのことで、共著者であり奥様でもあるさかき漣氏が文庫化を無期限延期にしているのはなぜなのでしょう。

スケープゴートを追い立てる自称聖職者 2015.06.26

 もしかして、こちらは内緒にしてあげたほうが良かったのでしょうか。驚いたファンがコメント欄で質問したら慌てて削除されたようですしねw

三橋貴明さんへの質問 『真冬の向日葵』について 2015/10/24 

 どちらにしても三橋氏だけではなく、今回の記事で取り上げた藤井聡氏、中野剛志氏(別のメルマガでひどい中傷をしている)、前回取り上げた青山繁晴氏も相当にたちが悪い。
 浜田内閣参与は高名な経済学者であり、なおかつ安倍総理の信頼する経済ブレーンです。それをほぼ言いがかりで批判するのはなぜなのでしょうか。本心では消費増税に反対していないのではないかを疑われても仕方がないのではないでしょうか。
 どちらにしても知らずにやっているのならバ〇、知っていてやっているのならス〇イとしか思えません。
 何より三橋氏は経済評論家ではありませんか。立場は違えどもこれほど高名な方の著作を読んだり、記事を読みこんだりすることもなく揚げ足取りに終始するのでしょうか。なんにしても、大事な時に態度を変えてしまった方の意見にはこれ以上見るべきところはないと判断せざるを得ません。
 
 さて、次回は、マスコミの報道について書こうと思います。増税に関してマスコミはどのように動いていたのでしょうか。

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増税と政局~保守界隈のバカ騒ぎ ~愛国者それとも愉快犯?青山繁晴編~

 
 さて、「増税と政局」第5弾、今回取り上げるのは民間シンクタンクの独立総合研究所代表取締役社長青山繁晴氏です。普段から自分が愛国者であり、安倍総理と親しいことを公言している彼。なんと安倍総理が硫黄島で土下座をしたのは彼の助言からだそうです。安倍総理を主語にいろいろ語っていますが、本当に親しいのは石破茂氏のようで、自民党総裁選では石破氏を推していました。

たかじんNOマネー コメント力グランプリ 動画 2012年9月22日放送[FULL]


26:00~
 僕は、石破さん安倍さんどちらでもいい。ただし、本来は安倍さんは一度閣僚をやって、特にご自分の主張を外務大臣として貫けるかどうか、ちゃんと世界に示す。それからお腹痛いの克服したのを示して、ほんとに苦労してからもう一度総理にチャレンジすべきだと思うから、今回は石破さんの方がいいと思う。


 この番組なぜか「かわいいから石破さん」などと不思議な石破氏上げが行われていました。しかしさらっと「お腹痛いの」などとマイナスのイメージの言葉を青山氏は挟み込みます。

 参議院選が終わった直後から、麻生財務大臣が、「消費増税は国際公約」と言い出したことは以前の記事にも書いていますが、青山氏もすぐさまそれを言いだしました。

Watch 青山繁晴 安部政権の今後とその課題 2013.7.24


6:45~
 消費増税自体はもう一度申しますが、来春がどうなるかよりも、再来年最終的に今の消費税を倍にするというのはもうこれは避けられないんです。えー、一番大きな国際公約になっていますし、これを避けると長期国債、10年物の国債の金利が上がってえーそれは、もう本当は日本経済を、あるいは日本の国の運営を一番深刻な状態にさせることですから。消費税は倍になること、あるいは倍にすることはもう決して避けられることではないんです。したがって、その、消費増税も実は選択の問題じゃなくて、えー消費税が倍になってもなお私たちのような庶民が、えー中西さんや僕も含めてですね、えー物を買ったり、あるいは車を買い替えたり、えーお人によっては家を買ったりするっていう基礎体力を付けなきゃいけない。もう他のことをやってる暇はありません。

 しかし、これをやり遂げれば安倍総理のやりたいことが出来るそうです。

 そして、なぜか(自分が言ったのではないとしながら)浜田参与に対しての批判が始まります。

アンカー平成25年7月24日



6:45~
 たとえば、内閣の参与の、浜田宏一さんっていう学者の方、アベノミクスの生みの親ですけれど、こういう方がもう、これ(8%の増税)はちょっと飛ばしたらどうだと、ね。
 えー個人消費が、頭打ち、あるいは折れちゃったりすると、アベノミクスは失敗になると言われてるんですが、これ今、本当はですね、政官界で何と言われてるかというと、何と卑怯な話だと。だから浜田さんご意見あるでしょうが、言われてるんですよ。どうしてかというと、アベノミクスがもし失敗したら、それは消費増税なんかしたからだと、いうふうに逃げ道を作ろうとしてるんじゃないかと。これちょっと僕は言いすぎだと思いますよ。浜田さんもうあのご高齢でもあるし、そんな自分のことを考えてるわけじゃないと思うけど、この話の根っこにあるのは、変えられるはずがないってことなんですよ。はい。ほんとは変えられないです。


 政官界で浜田参与が卑怯だと言われている?いったい誰が言っていたのでしょうか。そもそも経済学者の浜田参与が景気悪化するのがわかりきっている消費増税に反対するのは当たり前です。そしてアベノミクスには消費増税は含まれていません。アベノミクスの第二の矢は機動的な財政政策、消費増税はマイナス方向の財政政策です。アクセルを踏んでいるときにブレーキをかけたらどうなるか。それを卑怯だなどと言っている馬鹿者はどこの誰だったのでしょうか。

 8月になると、安倍総理はもう増税を決めている。まだ決めていないのというのは演技だと言いだします。

5:00~

【青山繁晴】TPP・消費税と日米を脅かす中韓の謀略 2013.8.21


 しかしながら、彼が直接安倍総理に聞いたわけではなく、いつも「安倍総理に近い人物」から聞いた話です。官邸の正式なスポークスマンは菅官房長官です。その菅官房長官は増税決断直前まで「総理はまだ決めていない」と言っていました。それが真実かはともかく、安倍総理の表に出したい情報はそれなわけです。それを安倍総理はもう増税を決めている、迷っているのは演技だなどと言ったことを青山氏に話す人物はいったい何の意図でそれを話すのか、そして首相の意に沿わないことを個人的に親しいことを強調しながら番組で話す青山氏にいったい何の意図があるのでしょうか。

 そして「財務省を信用し過ぎなんですよ」「財務省は一般にも非常に悪口を言われているからもうちょっとましなんじゃ思っている人もいるかもしれませんが実態はもっとひどいです」と痛烈に財務省批判をしています。この批判もどういった意図だったのでしょうか。

 10月に入り、増税が決まった直後にもやはり安倍総理は増税を早い段階で決めており、最後の最後まで悩んだのは演技だったなどと言っています(ここでも本人の言葉ではなく政権中枢から聞いたと言っている)。その理由としてインテリジェンス(諜報機関)の活用が濃い。そのインテリジェンスとやらがこれです。

安倍 消費税増税 2013/10/04

11:05~
 中国韓国を主として、そういう外国が動いて、その消費増税の見送りを待っている。つまり日本は約束を貫かない、あるいは財政再建に関心がない。黒田日銀総裁のやっているその政策は僕は支持しますけど、そのきわどい面もあるわけですね。つまり日銀がどんどんどんどんお金を刷って借金の肩代わりをしてると。中韓は実はアメリカはすでにそうゆう世論作りを始めてますけど。で、そうなると実態がどうであれ関係なくですね、日本はそんなことやってるんだから先行き危ないって言うのでたとえば国債でおかしなことがあったり。国債については日本国債は日本で消化されてるから大丈夫って人がいっぱいいますけれど、しかしその日本の中にいる人に手をだすのが外国の工作ですから。だから実はむしろ消費増税を諦めて、その延期したりすると、日本国債の信任を落としてですね。国債だけじゃなくて、どんどんどんどん日本の中の利子が上がってしまうと、いうことを狙ってるということを安倍さんが判断をして、その判断は実はかなり早い段階の情報だったから一切気づかれないように熟慮してる熟慮してるってことでずーっと演技を重ねていったということなんですね。


 しかも12:52から消費税率5%への引き上げがきっかけで、デフレ不況になったというのは事実に反する。原因はアジア通貨危機、普通の経済学者ならみんな知っていると言い出します。確かにデフレ不況は消費増税だけが原因ではありません。日銀の間違った政策にかなり負うところがあります。しかし、確実に景気が悪化していたことは、青山氏の持ってきたグラフでも明らかではないですか。

青山 グラフ


 そして16:45分頃から、浜田宏一内閣官房参与の話になります。安倍総理は今の段階の増税に反対している浜田内閣参与をどう説得したか。「首相自ら浜田内閣官房参与を説得した。消費税2%分にあたる5兆円を経済対策に使うので実質1%分の消費税増税にすぎない」と。ここで青山氏は消費増税分は全部社会保障に使うという総理の発言と矛盾すると批判します。

ここまでの青山繁晴氏の発言をまとめます。

・消費増税は国際公約、10%までは絶対避けられない。
・増税を避けたら、日本国債の信認は失われて長期国債の金利は暴騰する。中国・韓国はそれを狙っている。そして、それは官邸のインテリジェンス(諜報機関)の判断。
・今まで続いてきたデフレ不況の原因は5%の消費増税ではなくアジア通貨危機。
・浜田参与は消費増税をスキップしたほうが良いと言っていたが、それは消費増税でアベノミクスが失敗したという逃げ道にするつもりで政官界では卑怯だと言われている。その浜田参与を首相自ら説得した。
・2回の増税をやりきれるほどに経済成長をすることが大事。それを乗り越えれば安倍首相は自分のやりたいことをやれる。


 しかし、その後、平成26年の1月ごろになると、消費増税をするのなら解散して信を問うような心構えがないと政権なんか持たないと絶叫しています。今更いったい何を言うのやら。最大の国際公約なのだから変えられないと言っていましたよね?

3:00~

青山繁晴、舛添要一を都知事選立候補させた安倍政権のゲス過ぎる理


 まあ彼は言論の責任を取る気などないのでしょう。あるいは健忘症なのかもしれません。24分頃からですが、増税容認派だったとして浜田内閣参与を紹介していますから。

2014-11.05 青山繁晴 水曜アンカー

 浜田参与が他の参与よりも(増税の影響を)心配していない、と2013年の11月に言っていたという根拠はおそらくこちらの記事でしょう。

浜田内閣官房参与、アベノミクスを採点 金融緩和はAプラスだが、成長戦略はE ロイター 2013年11月16日

記事から引用

 浜田氏は消費増税に反対だったが、にもかかわらず増税が決まったのはなぜか、との質問に対し「私よりも財務省の説得が強かったため」と説明した。ただ増税が景気・物価を下押しする可能性について「私は他の(内閣官房)参与ほど心配していない」と述べ、円安を背景とした外需による効果を期待した。

引用終わり


 これのどこが増税容認派なのでしょうか。日本語理解できてますか、青山さん。そもそも、増税に反対していた浜田参与を首相自ら説得したとあなた自身言っていたではないですか。

 浜田参与の著作などを読んでいれば、彼を増税派などと誤解するはずはないと思うのですが、何度も話題にする割にはその人物について勉強しようとも思わないのでしょうか。

 そして8%の増税を決めた際に、安倍総理が参考にしていたと青山氏が言っていたインテリジェンスの正体が浜田参与の著作で明らかにされています。




『世界が日本経済をうらやむ日 』 2015/1/31
(kindleで所有のためページ数省略)

世界の投資家は日本の財政赤字をきにしていない

 ここまで行っても、「増税しなければ日本は破産する」といった話がいまだに流布され続けているため、「景気が悪化しようが、増税は避けられない」と考える人も多いだろう。
 しかし、安倍首相が、増税を5%から8%にあげると明言した2013年、財務省や財政再建至上主義者たちの主張が誤りであったことは市場が証明している。
 財務省や財政再建至上主義者たちの脅しは、「日本が消費増税を先延ばしにすれば、アベノミクスにも信憑性がなくなり、国際市場だけでなく日本の株式市場も暴落する」というものであった。私も内閣府や官邸でしばしば聞かされてきた。
 しかし、そうであれば、安倍首相が、予定通り消費税を5%から8%に上げることを明言した2013年10月1日の日本の株価は、大きく上昇(少なくとも横ばいであったと)してもおかしくなかったはずである。
 ところが、安倍首相が消費税引き上げを明言した夜(アメリカの昼)のシカゴ市場の日経先物は、上昇するどころか、大幅に下落したのである。その日は、アメリカ赤字関連のニュースなどで各国の株式も下落していたが、S&Pの株価指数が1%ほどの下落であったのに対し、日経先物はその3倍にも匹敵するほど急落していたのだ。
 また、安倍首相が消費税率の8%から10%への再引き上げの延期を表明したのは、2014年11月18日だったが、その日は事前にメディア数社が、消費税率引き上げ先送り表明をリークしていた。増税派の学者やメディアは、消費税率引き上げを先送りした場合には、国際暴落は愚か、株価も暴落するだろうと“予言”していた。
 しかし、11月18日の日経平均は活況で、前日終値の1万6973円80銭から215円高い1万7188円84銭で寄り付き、結局、前日比370円高の1万7344円6銭で引けた。
 これは世界の投資家が、財務省が言うほどに、日本の財政赤字の問題を過大なリスクだととらえていなかっただけでなく、消費税引き上げを回避したことで、日本経済が深刻な景気後退に陥るのを事前に食い止めたとして、逆に評価したことを意味している。
 つまり、「消費増税をしなければ、日本の国債市場と株価が暴騰し、国家が破たんする」といったような主張が誤りであったことは明らかである。
 また財政再建至上主義者たちは、長年、財政再建を先送りにすれば、日本の国債の信認がなくなり、長期金利が暴騰すると言い続けてきた。
 しかし、安倍首相が増税の延期を決めて以降、そんな問題は少しも生じていない。


引用終わり


 どうも青山氏の言っていたインテリジェンスとは財務省と財政再建至上主義者だったようです。

 さて、もう一度先ほどのまとめを見てみましょうか。

・消費増税は国際公約、10%までは絶対避けられない。
・増税を避けたら、日本国債の信認は失われて長期国債の金利は暴騰する。中国・韓国はそれを狙っている。そして、それは官邸のインテリジェンス(諜報機関)の判断。
・今まで続いてきたデフレ不況の原因は5%の消費増税ではなくアジア通貨危機。
・浜田参与は消費増税をスキップしたほうが良いと言っていたが、それは消費増税でアベノミクスが失敗したという逃げ道にするつもりで政官界では卑怯だと言われている。その浜田参与を首相自ら説得した。
・2回の増税をやりきれるほどに経済成長をすることが大事。それを乗り越えれば安倍首相は自分のやりたいことをやれる。

 青山繁晴氏は安倍総理の信頼できる友人なのか、財務省の代弁者なのか、それとも単なる愉快犯なのか?こちらは皆さんのご判断にお任せしましょう。

 それでは次回はこの頃やはり浜田参与を増税派呼ばわりしていたMことN氏のことを語ることにしましょう。

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増税と政局~保守界隈のバカ騒ぎ~チャンネル桜 水島社長編 #チャンネル錯乱


 さて、今国会で増税が政局になるのか。その前に今までの増税に関する様々な出来事を総括する意味で始めた「増税と政局」4回目。今回はこの消費増税を巡って所謂「保守」と呼ばれる方々がどのように動いたかを検証していきたいと思います。

 「増税阻止運動」の中で、それこそ「運動」や「抗議行動」を行っていた人たちの中にネット放送チャンネル桜(頑張れ日本全国行動委員会はほぼ同組織なのでこちらも加える)及びチャンネル桜に出演していた言論人たちがいます。

 「頑張れ日本 全国行動委員会」幹事長であり、チャンネル桜の社長、水島総氏ですが、一貫して口では増税反対を訴えています。しかし、実際の行動を見れば、増税によって何が起こるかなどさっぱり理解していないことがわかります。ですから圧力がかかれば簡単にあきらめて、今までの行動がなかったかのような言説を取り、しかもそれを人のせいにし始めます。こちらは当ブログ『「増税と政局」後日談 チャンネル桜 水島社長の変節』でも書いていますが、もう一度わかりやすく時系列で述べたいと思います。

 盛んに増税阻止運動を行っていた水島氏ですが、突然行動が一変します。本番前に自らの番組、チャンネル桜の「くららじ(仮)」で倉山満氏、上念司氏に増税は決まったものだとして番組をやるように言ったそうです。二人はそれを拒否したそうですが、いつもの明るい様子とは一変、のちに「通夜らじ」と呼ばれるような覇気のないものとなっています。

【アーカイブ】上念・倉山・浅野、緊急警告!ふたたび消費税増税を語る[桜H25/9/24]


 彼らの憤りは当然で、上念氏は最初の著作『デフレと円高の何が悪か( 2010/1/16)』でデフレ下での消費増税がいかに間違っているかを説き、デフレ脱却国民会議のメンバーとして民主党政権下でもデフレ脱却議連の議員たちとともに、リフレ政策の推進及び消費増税に反対してきた人物です



 憲政史研究家の倉山満氏は、自らの本分ではないにも関わらず、自身のブログ「倉山満の砦」で早くから消費増税の危険性を訴え、上念氏とともに日銀の政策変更及び消費増税阻止のために尽力してきた人物です。

見上げた卑怯者 2010年2月19日

弱者面した悪魔!2010年5月15日

 この二人に、まだ総理が決断していないにもかかわらず、増税を受け入れる放送をしろというのは無理な話です。

 水島氏の言い分に納得のいかなかった倉山氏は、次の日水島氏と当時チャンネル桜の専務だった井上敏治氏と会って話したそうです。



ジャパニズム18(2014.4月号) 89ページから引用

 次の日の水島氏の番組が私からみてあまりにひどかったので、当時は専務だった井上氏に、全く納得ができない旨のメールを送りました。会いたいと言うので二時間、井上氏と水島氏、私で話をしたんですが、初公開と言うのはここからです。反安倍とならないよう木下批判を止めてくれということについて、水島氏は三つの理由をあげました。藤井氏の国土強靭化に予算をつけてもらわなければならないこと、尖閣の漁民対策に予算をつけてもらわなければならないこと、そして参議院議員の西田昌司氏にNHKの問題についてがんばってもらわなければならないこと。西田氏、藤井氏を守りたい。だから木下の悪口を言うな、ということでした。

引用終わり

 とてもではありませんが納得できる話ではないでしょう。その後のチャンネル桜の討論での倉山氏の態度を批判する人も多々いましたが、こんな話を聞かされた後では仕方がないのではないでしょうか。すっかりあきらめてしまった水島氏や田村秀男氏の発言を聞いて、何が起こっているのか当時の私には理解できませんでした。

1/3【特別先行公開】消費増税は日本を破壊するのか?[桜H25/9/28]


 この時は不思議でした。なぜ水島氏がこのような行動を取ったのか。今では納得できる部分があります。これまで水島氏の言動を追ってきた上で考えられる彼の行動原理は「運動の拡大、及びそれに伴う支持者と支援金の獲得」です。だとすると、もし増税が決まったことだとしても、それは運動をあきらめる理由にはなりません。まだ総理の決断がなされていない段階でしたら「あきらめるな!」と運動を盛り上げる方が得だからです。何しろ彼にとって真実やそれに伴う結果などどうでも良いとしか思えないからです。絶対に受理されないであろう田母神氏に対する告発や、おそらく勝訴できない朝日新聞に対する訴訟のように。それをなぜ自らの番組を台無しにしてまで、運動をあきらめたのか。先ほどのジャパニズムの倉山氏の言葉から察するに、何らかの圧力か取引があったとしか思えないのです。後の行動で察するに木下財務事務次官を悪く言ってはならないということは第一条件だったのでしょう。

 増税が決まった途端、水島氏はまるで欠席裁判のような放送を行います。増税は安倍総理自身が決めた。安倍対財務省のようなことは間違い。安倍首相は木下財務事務次官を首にしようと思えばできるなどと、倉山氏が言ったことはデマだったかのような言い分です。

【消費増税】疾風にして勁草を知る、日本草莽はどちらか?[桜H25/10/2]


 この後、倉山氏がメールで番組降板を申し出たため、大人げないなどの批判がありましたが、先ほどのジャパニズムの記述の通り倉山氏はこの番組以前に水島氏と話し合っていたわけです。その上でのこの欠席裁判ですからね。

 
 【水島総】倉山満氏からの訣別宣言について[桜H25/10/3]

 
 この動画で「いつでも歓迎する」と度量の深さを見せつけていた水島氏ですが、その裏で何が行われていたか。これも先ほどのジャパニズムで倉山氏は告白しています。

記事より引用

 その後、「頑張れ日本!」岡山が二カ月かけて準備してくれていた私の講演会を中止するよう、水島氏が二時間、岡山の西川会長に電話をかけて圧力をかけたということも起きている。結局、頑張れ日本!関係の人達は来ることなく、倉山塾でオーディオブックを販売して赤字を補填しました。こういうこと以前にも不信感がなかったわけではありません。頑張れ日本!が協賛したある団体が、資金流用の疑いをかけられてつぶされた経緯も私は聞いていました。

引用終わり


 「いつでも歓迎する」ですか。この件に関しては頑張れ日本!岡山の方も報告があります。

倉山講演の中止要請「開演前の暗闘」

 そして、これらの放送は良く知られていますが、その後もっと身もふたもない、見苦しい放送がなされました。

【水島総】国民運動の反省と実践、10.5 首相官邸前緊急国民行動[桜H25/10/7]


 増税決断前に増税阻止をあきらめたにもかかわらず、決まってしまった後に抗議行動を行ったのです。しかも普段は抗議行動のみの映像なのに、この時は前半8分ほど延々言い訳をしています。

発言から抜粋

 今回の消費税の増税については一つみなさんにあのお詫びしなければなりません。それはですね。えー、まあ、あの何とか消費税を増税というのを阻止したいという中で、ある種のこうまあ嘘というかですね。デマゴギーというものを私はあの容認してしまいました。

 安倍さん対木下さんというね。財務省との戦いだということであります。これは全くのはっきり言いますとデマであります。こんな構図はありません。

 そういうある種の事実と違うことを推進ながら盛り上がっていた皆さんがたくさんおられた。何とか出来るというね。安倍さんがむしろ周りと闘っているんだと。言うようなことをあのやってたんで、まあそういう形であの水を差すと言うと変ですけどね。運動論的にあの私は黙認してしまった。正しいこと、それは全然違うんだということを強く言わなかったんです。みなさんに伝えたつもりと同じになってた。

 私はあのまあデマゴギーで、大衆というかね、善良な日本の草莽をまああの引っ張りまわすようなことは私はしてはならないと思ってきた。

 なんとか消費税を阻止したかったというのがあって、そういういろんなね、違う、本当は違う情報、そういうものをもう黙認してしまった。これはそれこそ痛恨の極みということがあります。

 日本を支配しているのは総理大臣ではなくて、その木下さんと思う人はみんな立ち上がってください。木下を倒せば本当に日本が変わるならやるならやってください、皆さん本当は気が付いていると思います。そういうものは本当はある意味で言うとあのやっぱりデマであるというね。現実とは違うということをやっぱりあの我々は引き受けなきゃいけない。

 これ、延々と何が言いたいのかというと「倉山満が言っていたことはデマ」ということです。運動を盛り上げるために散々倉山氏を利用した(もちろん倉山氏も何とか消費増税を止めたくて協力していた)くせに、その責任を全部倉山氏に被せて自分は逃げたのです。
 
 その後も、名前を出さずとも倉山氏への誹謗中傷を行っていたことは以前も述べた通りです。

 消費増税に関しては関心の高い出来事でもあるため、経済討論などは行われていましたが、10%の増税延期できるかどうかの肝心な時に水島氏が何をやっていたかというと、水産庁での抗議行動です。

【民間防衛】11.18 水産庁前緊急抗議行動[桜H26/11/19]


 ちなみに水産庁と財務省の位置関係を見るとこうです。

水産庁

 当然のことながら当時「方向音痴」だの「そっちじゃない」だのの多数の突っ込みがありました。

 そもそも、水島氏は消費増税が何をもたらすのかなど全く分かっていないのです。それがはっきりしたのがこの発言です。

【解散総選挙】戦後レジーム脱却へ、安倍晋三と敗戦利得者の駆け引き[桜H26/11/20]



11:45~
 良くね、5%上げるときね。3万人も自殺が出るとかね言う人いたじゃないですか。そんな日本人はみじめなやつですかってことなんですよ。私は言いたいのは。ね。消費税が数%上がっただけで、もちろんいいことじゃないから、我々徹底的に反対しましたよ。唯物論者じゃないんだから、ね。3%上がって自殺するような人間ですか、日本人はと。そんな柔なやつばっかりですかと。

 ほんの数%の増税が経済にどのような影響をもたらすのか。そしてそれで自殺にまで追い込まれるほどの苦しむ人がいることへの想像力の無さ。そして挙句の果てに死を選んでしまった人やその家族などへの思いやりの無さ。今までの増税反対運動は何のためにやってきたのか。運動と支援金集め以外の理由があるのなら是非とも教えていただきたいものです。

 しかしながら、今度は増税延期が決まると今までの発言がなかったかのように「安倍さんは財務省とガチンコ勝負やって排除した」などと言いだします。安倍さんは財務事務次官の首なんてすぐに切れるんだから戦う必要なんてないはずじゃなかったんですかねえ。

【アベノミクス】安倍総理vs財務省、消費増税を巡る暗闘[桜H26/11/27]


 ここで面白い発言が飛び出します。

 2:55~
もう一つは国税というものが入っているんです。税の徴収ですね。これをやるとどういうことかというと、税金を集めるというのはどういうことかというと、ちゃんとその企業や個人の情報まで全部取る。政治家も含めて。もっと言うとマスメディアもそうなんです。

 かつて、去年でしたか産経新聞に長期間、国税庁がね、ずっと居座って。これ無言の脅しですね。

 で、なぜこのマスメディアの経済理論というか経済論というかね、そういうのは大蔵省と全く同じ財務省と同じになるかっていえば、完全に抑えられているから。脅かされてる。

 
 なるほど~。去年、そんなことがあったのですね。それなら産経の田村秀男さんのあの言動も納得です(微笑)。

 ちなみにこの「安倍さんが財務省と闘った」話は、この時の討論の高橋洋一氏の受け売りですねw

9:35~

1/3【経済討論】消費税増税延期!どうなる日本経済[桜H26/11/22]


 当然ですが、倉山氏をあれだけ嘘つき呼ばわりしていてこの発言ですから、番組を見た人たちからクレームが来たのでしょう。しかしながらその後も言い訳を続けます。

【総選挙】自民大勝・次世代壊滅の危機、議席予測、保守の勢力はどう変わるか?[桜H26/12/4]


 「木下とかこんな連中に会ったこともない」などと言い訳をしていますが、それが嘘だと言われているわけではないでしょう。そもそも倉山氏も直接元財務次官と水島氏が会っていたなどとは言ってませんし。財務省が黒幕だと言っていた倉山氏をデマゴギスト呼ばわりしていたくせに、それをなかったことのように、安倍さんは財務省と闘っていて凄い!と発言を翻し、倉山氏をデマ呼ばわりしたことに一言も謝罪がないことを責められているのでしょうに。

 最近では、消費税にまつわることは運動の理由にならないからか、水島氏の口から取り上げられることはほとんどありません。それどころか、給付金や増税延期は人気取りの政策と言っています。水島氏が経済政策のことなどまるでわかっていないこと、本当は関心がないことがよくわかります。

【日本民族を侮辱した日韓合意】撤回するまで、安倍総理の靖国参拝は遠慮いただきたい[桜H28/1/7]


 しかし、本当にこの消費増税騒ぎというのはいろんな意味でのあぶり出しになりました。

 皆様これでも水島氏を、チャンネル錯乱を信じますか?

 では、次回はまるで総理と近しく、秘密のルートでも持っていて真実を探っているような口ぶりで話すA氏について述べたいと思います。

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増税と政局~増税延期に解散総選挙は必要か~


 現在、増税をめぐる論議で、安倍総理は前回の延期の時と同様、参議院議員の改選に合わせて衆議院解散、W選挙を行うのではないかといううわさが流れています。本当にW選挙になるかどうかはさておき果たして増税延期するために衆議院を解散して民意を問う必要があるのでしょうか。

 平成26年11月に解散総選挙を行う際、安倍総理は「代表なくして課税なし」との言葉を使いました。

平成26年11月18日 安倍内閣総理大臣記者会見

 大きな税制の変更を伴うには民意を問う必要があるとのことですが、そもそもこの言葉は本来どういう時に使われたのでしょうか。

代表なくして課税なし

 Wikipediaで参照させてもらいますが、アメリカ独立戦争のスローガンでもともとはマグナカルタに由来するもの。「人民が自ら選出した代議士の承認無しに政府が人民を課税することは不当であるという理念」とあります。増税延期するために選挙を行う理由になるのでしょうか?

 現在日本国では普通選挙が実施されています。代表と言えるのは間違いなく、多数の支持を得て政権与党となった自民党の議員及び総裁であり総理大臣になった安倍総理でしょう。代表はいるのになぜ「代表なくして課税なし」だったのでしょうか。

 税制に関しては憲法でも定めがあります。

 日本国憲法 第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

 法律によらなければ新たに租税を課すことが出来ません。法律を作るのは選挙で選ばれた国会議員です。この消費増税を決めたときの政権与党は民主党で野田佳彦総理は「鳩山さんは四年間消費税をひきあげないと言った」「(マニフェストに)書いてあることは命がけで実行する。書いていないことはやらない。これがルールです」と言っていました。

野田総理 マニフェスト 書いてあることは命懸けで実行


 それなのにマニフェストに書いていることは碌に実行せず、書いていなかった消費増税を決めたのです。これは明らかにルール違反であり、本来ならばこの増税法案の是非を問うために解散総選挙をすべきでしょう。しかし三党合意で法案を通した後、この法案は争点とされることなく解散総選挙が行われました。その総選挙で勝利したのは「日本を取り戻す」と経済再生を第一に掲げた安倍総裁率いる自民党でした。

重点政策2012 自民党

 読んでいただければ分かるとおり、予定通りに増税するともしないとも書いてありません。しかし、デフレ脱却前の増税には慎重な態度をずっと安倍総理は取ってきましたし、景気動向を見て決めると発言していました。附則18条、いわゆる景気条項があるためです。

 結局平成25年10月1日に安倍総理は増税を決断してしまいます。景気は回復傾向にあったとはいえ、早すぎる増税でした。5%から8%、3%の消費増税で、景気はリーマンショック並に落ち込むこととなりました。その後、平成26年11月の増税延期の決断とともに衆議院は解散、総選挙が行われました。

 さて、この解散総選挙は本当に必要だったのでしょうか。

 民意を問うために総選挙を行ったのだとしたら、そもそも平成24年の衆議院選挙で安倍総理は経済再生を掲げて戦っています。国民は景気回復を望んでいたのです。しかしながら増税により消費が落ち込み経済成長にストップがかかってしまいました。ですから経済を再生させるために景気を悪化させる消費増税を延期する。何の問題があるのでしょうか。全く民意に反することではないし敢えて問い直すことではないと思うのですが。

 高橋洋一氏の検証部分で「増税延期のためには新たに法案を通さなければいけない」というのがありました。確かにその通りで、野党はともかく与党内をまとめられなければ法案を通すことは難しいでしょう。しかし、10%延期判断の時に総理の意向に逆らってまで増税延期に反対する意思のあった自民党の衆議院議員など私は一人を除いて知りません。しかもこの時は野党も皆増税延期に賛成していたのです。もちろんこの流れは解散風が吹いたからということもあるでしょうが、解散風を吹かすのと本当に解散するのは別の話です。それを最終的に決断できるのは安倍総理なのですから。

 一方8%の増税決断の時は野党のみならず、自民党の議員の多くも増税に賛成していました。こういうときならば首相が増税延期を理由に解散するのはありだったと思います。それでも増税延期又は凍結法案を出してそれが否決されたのならその是非を問うという形が望ましいと思いますが。

 どちらにしても民意は景気回復であり、8%の消費増税の実施によって増税すれば景気が悪くなることが明らかになったわけです。何故増税を延期する法案を国会で通すために解散総選挙を行う必要があるのでしょうか。

 10%の増税延期の前に、増税しなかった時の悪影響をとなえた政治家やエコノミストが大勢いました。マスコミでもそういう論調で語られることがよくありました。

日本経済新聞 社説 消費再増税をここで延期していいのか 2014/11/12

記事より引用

 しかし、わたしたちは、再増税を延期すれば、いずれ金融市場で日本の国債に対する信認が失われ、長期金利が意図しない形で急上昇するリスクがあると指摘してきた。

 気になるのは、財政破綻リスクを取引する市場で、日本の国債に対する信認の度合いが低下する兆しが出ていることだ。

引用終わり


外国人投資家が手ぐすね? 消費増税先送りで「日本売り」の恐怖 2014/11/12

記事より引用

経済評論家の池田信夫氏はJB PRESS(2014年10月21日付)で、「アベノミクスの挫折で深まる安倍政権の危機 消費増税の先送りは国債暴落への道」と題して、「このまま日銀が毎月7兆円の国債を買い続け、おまけに政府が消費税の増税を延期すると、それを引き金にして市場が反乱を起こすおそれがある」と、危惧している。

また、金融アナリストの久保田博幸氏はBLOGOS(11月12日付)で、「消費増税そのものが財政健全化に向けてのひとつの柱として認識されていることは確かで、財政健全化があってこそ、国債への信認が維持されている。これだけ財政が悪化(国の借金の残高が9月末時点で1038兆9150億円)しているなか、国債が安定的に消化され、売買も滞りなく実施されている状況に、国債への信認に対する不安要素は入れてほしくない」という。

引用終わり

 さて、ここで心配されているような国債の暴落など起きたでしょうか。エコノミストたちが危惧するようなことは何も起きなかったわけです。

 この数年の消費増税にまつわることではっきり分かったことは以下のことです。

・デフレ下の増税はリーマンショック並の景気悪化を招くこと。

・増税を延期しても、国債への信認が失われたり、国債が大暴落したりすることはおこらないこと。

 これがわかった今、現在の経済状況で消費増税など出来るはずがないことは明らかです。それなのに、増税を前提に名ばかりの、本当は何を据え置きするかの議論をしている軽減税率の話がなされている。国民を馬鹿にしているとしか思えません。

 そしてこんなことを2度もやってしまったらこの先増税を延期するには解散総選挙をするのが習律になってしまうのではないかということを私は危惧しています。増税するときは民意を問わなくて良いのに、延期をするときは民意を問うために解散総選挙。あまりにばかげているとしか思えません。そもそも民意に沿った法律の改正をするのになぜさらに選挙で民意を問うことが必要なのでしょうか。そして、あえて「たかが」と言いますが、「たかが」増税延期法案を通すことを解散総選挙などという「伝家の宝刀」を抜かねば出来ないような政権にいったい何が出来るのでしょうか。こんなことでは安倍総理の掲げる「戦後レジームの脱却」や「憲法改正」など夢また夢です。

 平成26年の衆議院選挙の公約には平成29年に消費税を10%にすることが掲げられていました。

自民党重点政策2014

● 安定した社会保障制度を確立するために、2017 年(平成 29 年)4 月に消費税率を10%にします。

●経済再生と財政健全化を両立するため、消費税率10%への引上げは2017年4月に行います。また、軽減税率制度については、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入します。2017年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について早急に具体的な検討を進めます。


 しかしあくまで「安定した社会保障制度を確立するため」との前置きがあり、前回の増税で景気が悪化することが明らかになっている消費増税、しかも世界経済が不安定になっているにもかかわらず増税などしたら、本当に国民が望んでいる景気回復はとん挫してしまい、安定した社会保障制度の確立など出来るはずもありません。この公約で国民が望んでいるのは「経済再生」と「安定した社会保障制度」であり、その手段の一つである「消費増税10%」ではないのです。

 そもそも民意を問うのならば今年の夏には参議院選挙があるわけです。参議院では民意が問いづらいという声もありますが、本当でしょうか?

 確かに6年の任期があり解散総選挙のない参議院制度にはいろいろと問題があると思います。その時々の民意でいわゆる「ねじれ」が起こるという問題もあります。しかし、選挙の結果はその時の「民意」です。参議院か衆議院かの区別をして、私たちは投票を行うのでしょうか。

 大事なことですので繰り返してまとめておきます。

・民意は景気回復及び社会保障の安定であり、消費税を10%にすることはあくまで一つの手段。しかもその手段は間違っていることが証明されている。

・増税を決めるときは民意を問わず、増税を延期するのに解散総選挙を行うという間違った方法が過去に取られてしまった。繰り返せばこれが習律になってしまう恐れがある。


 いろんな意見があると思いますが、私はこういった理由で、増税延期のために解散総選挙という方法を取ることには反対です。解散総選挙という方法を取らずに、増税凍結法案を通していただきたいと思います。

 では次回は、増税にまつわる保守業界で起こった出来事について述べたいと思います。


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増税と政局~優れた経済学者は無謬の預言者か(後編)

 
 さて、衆議院選挙は与党勝利で無事に増税も延期となりました。そこで気になるのはやはり、次の平成29年4月からの10%の増税がどのようになるかです。

再増税阻止チャンスは一度! 針の穴に糸を通すような困難 (1/2ページ) 2015.09.11

記事から引用

国内外の経済環境に不透明感が増しているが、2017年4月の10%への消費再増税はどのようにすれば止められるのだろうか。

まず、現状をきちんと理解しておくと、民主党時代に制定された消費増税法はまだ生きている。その中で、17年4月からの消費増税は既に法定化されている。

(中略)
延期の際、景気情勢によって増税を停止できる「景気条項」を削除した。その解釈として、「景気がどうなっても消費再増税する」という話が流れたが、まったくの事実誤認である。

これまでに本コラムでも指摘したが、そもそも消費増税法の付則であった景気条項は、消費増税を止めるためにはまったく役立たないものだった。

昨年12月の衆院選がなければ、消費再増税は延期できなかったというのが事実だ。あの段階で、もし安倍首相が「増税を止めるための法案を作ろう」と言ったら、政局になって首相の座から引きずり下ろされただろう。そうした政局の動きを封じるために、衆院議員は全員クビというのが解散・総選挙であった。景気条項の有無は、消費再増税をスキップするための政治的な意味はまったくない。

重要なのは、国政選挙で、どのような公約を掲げて、選挙に勝つかという点だ。昨年の衆院選では、消費増税スキップを公約として自民党が勝ったので、それが実現された。17年4月からの消費再増税を止めるには、遅くとも16年9月までに、意思を固めて国民の審判を受ける必要がある。その審判とは16年7月の参院選である。

ただし、通常のように悠長に公約作りをしながらであると、財務省がつぶすだろう。それを封じるには、その時、衆院を解散してダブル選挙にした方が、成功する確率は高くなる。そこが唯一のチャンスである。

 一方、消費税が争点にならなければ、今の法律通りに17年4月から消費再増税になる。もし、その時の経済状況からみて延期がふさわしく、選挙の争点にして勝利すれば、消費再増税は延期される。逆にいえば、この一点しか延期される可能性はないだろう。この意味で、消費再増税を止めるのは、針の穴に糸を通すようなものだ。

 このタイミング以外で政治的に仕掛けても、政治巧者の財務省が各方面へ根回しすることで、もくろみは不発となるだろう。財務省はマスコミ、財界、学会、海外などへ大きな影響力もあるので、侮ってはいけない。

引用終わり


 平成26年の10月の記事とは一転してまた高橋洋一氏の発言が弱気になっています。しかも以前は景気条項があるから止められると言っていたはずですが、景気条項はまったく役に立たないに変わっています。そもそも、この時はもう景気条項は削除されているのですが。そして法案を通すのは難しい、財務省は強いから潰されると言った論調です。

 これがまた11月には鍵は首相が握っており、今度は軽減税率がまとまらないこと、新聞が対象外になるのでマスコミを使って増税を延期するのではないかという言説になります。

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ「軽減税率」の自公間協議 安倍首相が「一歩引く」理由2015/11/26

記事より引用

官邸が一歩引いているのは、2017年4月からの消費再増税へのコミットをしないためだ。安倍首相は、「リーマンショックのようなことがない限り消費再増税を行う」と言っている。マスコミは、この発言を「消費再増税」は決断済みと報道する。しかし、政治レトリックからみれば、この発言は、TPPについて「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉に参加しない」と言っていたのと同じレベルだ。実際には、TPPへは参加する、つまり、「聖域なき関税撤廃」ではなかったからだ。

今の経済状況はどうだろうか。人によっては「リーマンショックのようなこと」ではないかもしれないが、安倍首相が「リーマンショックのようなこと」といえば、誰も反対しないだろう。要するに、消費再増税の判断は安倍首相に委ねられている。

その判断のタイミングは、来(16)年の参院選の直前である。その時までは、できるだけフリーハンドをとりたいに違いない。その意味から、軽減税率に官邸が一歩引いているのだ。

筆者の直感でいえば、とても消費再増税を判断できる状況ではない。消費再増税がなければ、軽減税率もない。その意味で、軽減税率の検討は無駄骨に終わるかも知れないので、なおさら一歩引きたいはずだ。

さらに、軽減税率対象は生鮮食品かどうかという話なので、どう考えても新聞が対象になる可能性は限りなく低い。この際、軽減税率を期待していたマスコミが怒って消費再増税の反対にまわることを、官邸は密かに期待しているのではないか。

引用終わり


高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 消費増税は延期すべきだ 新聞の「手のひら返し」ありうる2015/12/10

記事より引用

ところで、新聞への軽減税率の適用は絶望的である。かつては、「米、味噌、醤油、新聞」とやはり朝の食卓風景の一角で、新聞を軽減税率対象にするとのスローガンがあったが、今回の話は「米、味噌、醤油」までだ。

これで、これまで軽減税率を受けたいがために、消費増税に賛成していた新聞の論調がどうなるのかが見ものである。

(中略)

そう考えると、今回の軽減税率の政治決着は絶妙だ。まず新聞を対象としないので、新聞が、消費増税延期に世論を向けやすい。またかなりの減収になるので、財政当局から見ても「消費増税延期でもやむなし」になりやすい。さらに、野党からの消費増税延期発言を引き出し、選挙対策上からも消費増税延期をやりやすい。

こうした点を踏まえると、今回の軽減税率の政治決着から、2017年4月からの消費増税はかなり可能性がなくなったことが見えてくる。

引用終わり


 軽減税率がまとまらなかったにしても増税を延期するのは法案を通さなければならないことには変わりありませんので、なぜ軽減税率がまとまらずマスコミが反対すれば増税阻止できるのか、今一つ理由がわかりません。
 そして、ここで高橋氏の読みは外れ、新聞の定期購読料も軽減税率の対象となります。するとこのような言説になりました。

財務省完敗で消費税10%は遠のいた!安倍官邸との「軽減税率」バトル、その舞台裏で何があったのか 2015年12月14日

記事より引用

ただし、この攻防で、新聞が軽減税率の対象かどうかは、ほとんど報道されていない。食品の中での話だから、まさか新聞は対象にはならないというのが常識だろうが、表向きは今後検討という。

ところが、実際には、新聞は軽減税率の対象になることで決着がついているという話で、積極的に報道されていないだけという。

軽減税率によって財政健全化がさらに厳しくなると報道しながら、ちゃっかりと自らは軽減税率を求める新聞には笑ってしまう。

筆者には、新聞を軽減税率の対象にするのも、官邸の「対策」のように見える。ここで、新聞を対象としないこともありえる。その場合、手のひら返しで、急に消費増税反対になるかもしれないが、すねて反官邸運動に走るかもしれない。一方、ここで新聞にアメ玉をあたえれば、今後の官邸に不利はないという見方だ。

これは、あえてリスクを冒さず、新聞を官邸に向ける作戦だ。官邸は、自民党税調・財務省の連合軍に完勝した。新聞はパワーのあるところに、ネタを求めてくるので、官邸は軽減税率のアメ玉を与えたと見るべきだろう。

(中略)

来年夏の参院選前、消費増税の扱いについては、どっちに転ぶにせよ、自民党・財務省ではなく官邸主導であることがはっきりした。

果たして今の財務省に「外食を除く生鮮・加工食品」の線引きがうまくできるだろうか。それがうまくできないと、それだけで消費増税スキップの口実になってしまう。

そのうえ、2017年4月から消費増税すれば、再び経済成長率がマイナスになるのは確実だ。どうも、軽減税率の作業は消費増税スキップで日の目を見ない公算が高い。

引用終わり

 マスコミが反官邸運動に走らないようにアメ玉を与えたとのことです。消費増税延期のために使うのではなかったのでしょうか。そうしなくても消費税は官邸主導であるため消費増税スキップの可能性が高いということらしいです。解散総選挙をしなくては抑え込めないほど強かったはずの財務省はどうしてそこまで弱くなってしまったのでしょうか。

 そうは言っても高橋氏はW選挙の可能性を否定しません。今年に入ってすぐの記事ではこのように述べています。

選挙後の年後半に景気改善 カギ握る消費再増税中止と27兆円還元 (1/2ページ) 2016.01.04

記事より引用

次に政策がどうなるか。まず16年初頭の補正予算が3兆円規模では、GDPギャップ10兆円を考えると力不足だ。そこで、夏の参院選(衆院とダブル選もありうる)前に、17年4月からの10%への消費再増税を行うかどうかを決めることがポイントとなる。

 先の軽減税率の騒動をみると、官邸は財務省を圧倒し、掌握したように見える。となると、消費再増税スキップ(中止)と実施決定の2択のうち、今のところ、前者を選ぶ公算が高いだろう。

その根拠は、安倍晋三政権では14年の消費増税を失敗ととらえているからだ。財務省の思惑に左右されて政権を潰すことはできないと考えているだろう。

安倍首相は従来、「リーマン・ショックのようなことがない限り増税する」と述べていたが、15年12月14日の講演では「国民の納得を得なければ、できない」と微妙に変わった。これは、国政選挙で国民の声を聴きたい-ということだと解釈していいだろう。

要するに、客観的な条件である「経済状況」ではなく、「政治判断」として国民の信を問うことへ方向転換したのだ。これは、消費増税スキップで国民の信を問うという意味しかありえない。

しかも、軽減税率で自民党と公明党が合意した政治的意味は大きい。一部では、これで消費増税の環境整備が整ったという見方があるが、筆者は逆ではないかと思う。

公明党の意向をのんで、軽減税率の対象は、生鮮食品、加工食品で酒・外食を除くとなった。諸外国で歴史があれば別だが、初めての日本で線引き問題が起きないはずはない。軽減税率で問題を抱えたまま、消費増税を政治的に通すのはかなりの難問である。これも消費増税スキップの補強材料である。

(中略)

もちろん政治は一寸先は闇なので断定的なことはいえないが、筆者はこれをメーンシナリオとしたい。

引用終わり

 私としては高橋氏の言うように官邸が強く消費増税を延期してくれるのならそれはありがたいことです。ただ、この件、まだ決着を見ていないので、高橋氏の言説だけで判断するにはまだ早いです。他のマスコミがどのように報じているかと比較してみましょう。

官邸介入、自民に反発も=選挙意識し公明へ配慮-軽減税率 (2015/12/09)

記事から引用

消費税への軽減税率導入をめぐって自民党と公明党の調整が難航する中、安倍晋三首相が「裁定」に乗り出してきた。自公の溝が埋まらなければ、来年夏の参院選での選挙協力に響くと判断。公明党が求める「加工食品」も対象品目に含める意向だ。2017年4月の導入当初は「生鮮食品」に限定する方針だった自民党は譲歩を迫られた。
「官邸-二階ラインの話だ。谷垣さんと自民税調は知らない」。与党幹部は9日、軽減税率の対象範囲の着地点について、首相や菅義偉官房長官と二階俊博自民党総務会長が連携して探っていたと明かした。谷垣禎一幹事長や税調幹部は8日、対象を「生鮮食品」に限る方針を確認していたが、二階氏は同日夜、公明党幹部に対し、自民党が歩み寄る考えを伝えていた。
官邸や二階氏が気にしたのは、連立政権や選挙協力への影響だ。来年は4月に衆院北海道5区補選、夏には参院選と重要な選挙が続く。衆院補選や参院選の1人区で公明党の協力を期待する首相らとしては、軽減税率で大きなしこりを残したくないのが本音だ。
与党協議の出口が見えなかった11月下旬、二階氏は公明党幹部との電話で危機感を共有。公明党幹部が「安全保障法制は論理の話だが、軽減税率は感情の問題だ」と配慮を求め、二階氏が官邸側と落としどころを探り始めた。
首相は9日昼、谷垣氏と1時間余りにわたって会談し、菅長官も同席した。終了後、谷垣氏は記者団の問いかけに一切応じず、厳しい表情で立ち去った。
会談に先立ち、政府高官は軽減税率の対象について、「朝食に出てくる梅干しやのり、豆腐が含まれないのはおかしい」と指摘し、「加工食品」にも広げる流れをつくった。官邸サイドの介入に対し、自民党税調のある幹部は「参院選を考え公明党とけんかしたくないのだろうが、政策を政局で動かされては困る」と不信感を隠さなかった。

引用終わり


軽減税率 谷垣氏、埋まる外堀 官邸、参院選にらみ押し切る2015.12.10

記事から引用

平成29年4月の消費税再増税と同時導入する軽減税率をめぐり、自民党が対象品目を加工食品にまで広げる方向にかじを切った。来夏の参院選での選挙協力をにらみ、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は公明党に譲歩。自民党の二階俊博総務会長も首相官邸や公明党と歩調を合わせ、財政規律を守る観点から抵抗する谷垣禎一幹事長らの外堀は埋まっていった。

 「ねじ伏せますから」

二階氏は9日午後、公明党幹部に電話で、こう告げた。ねじ伏せる相手とは、谷垣氏だ。28年度与党税制改正大綱の取りまとめを翌日に控えても、いっこうに軟化しない谷垣氏を説得できる自信があることを伝えたのだった。

二階氏は今月1日に公明党の漆原良夫中央幹事会長、太田昭宏前国土交通相と会談。そこで衆院選で公約に掲げた軽減税率を広範囲に導入しなければ、「嘘つきと毎日言われる」と漆原氏らがこぼし、連立離脱をにじませた。谷垣氏に同調していた二階氏も危機感を大きく募らせたようだ。

谷垣氏の外堀は首相官邸からも埋められた。安倍晋三首相と谷垣氏が9日、官邸で会談した際、同席した菅氏は「これで参院選に責任が持てますか」とまくし立て、公明党の主張を受け入れるよう求めたという。谷垣氏は会談後、記者団の問いかけに一切答えず、硬い表情で官邸を後にした。

菅氏は公明党の支持母体の創価学会幹部と太いパイプがある。今回の協議をめぐり、学会幹部から「公明党が納得できる制度を導入できないなら、次期参院選で自民党候補への推薦をやめる可能性もある」と厳しく迫られたという。

自民党は25年の参院選で勝利したが、「野党と数万票差の接戦を制した選挙区が多かった」(党選対幹部)ため、菅氏らも学会票を失うことへの危機感を強めていた。

財政規律を守るため、軽減税率の財源について「社会保障と税の一体改革」の枠内で捻出するよう指示していた首相の脳裏にも、第1次内閣で政権を失ったのは、参院選での敗北が引き金だったことがよぎったのかもしれない。敗北すれば、悲願の憲法改正が遠のくどころか、再び政権を失いかねないのだ。
二階氏は9日、軽減税率の対象品目拡大について、自分に言い聞かせるように周囲に漏らした。

「公明党に選挙で協力してくれということだ」

引用終わり

 これを皆さんはどのように読まれますか。
 表題だけ見れば官邸が強いように見えますが、私にはどう読んでも公明党と二階俊博氏が強い、という風にしか読めないのですが。公明党は軽減税率を推し進めていて、今度の参議院選で自民党が勝利するには絶対に彼らの協力が必要です。そして二階氏は増税派です。彼らの力がこれほど強いのに本当に増税阻止が出来るのでしょうか。

 そして本当に財務省は弱くなってしまったのでしょうか。消費増税が8%に決まった直後にも、財務省はいいようにやられてしまったという記事が流れていたのはご存知でしょうか。

財務省、日銀人事に次いで安倍官邸に2度目の"敗戦" 2013/10/7

 ただ時事通信や産経がこれだけ強さをアピールしている二階氏の名前が朝日や日経では全く出てきません。逆に怪しいような気がするのはうがった見方でしょうか。

官邸・自・公・財務省… 軽減税率めぐる暗闘の勝敗 (1/2ページ)2015/12/12

谷垣氏、矢面 軽減税率、官邸に完敗 2015年12月16日

 誰が正しいか、何が正しいのか。簡単に判断出来ることではありませんが、私はただ無邪気に高橋氏を信じて「増税は延期の可能性が高い」などと言う気にはなれません。
 
今までの状況や各社報道から私が読み取れることは。

・官邸は自民党や税調よりも強い。しかし、公明党はもっと強い。しかも二階氏の強さは幹事長である谷垣氏を凌駕している。
・財務省は一枚岩ではないし割れているようだ。しかし、過去の偽装敗北もあり、全く油断できない。

 そしてもっとも心配しているのが、ここまで積み上げてしまった議論を安倍総理がちゃぶ台返し出来るのかということです。
 軽減税率に関しては運用できるかはともかくある程度の話はまとまり、税制大綱にも記載されています。しかもその混乱を避けるために予備費から補助金を出すことが閣議決定されています。

軽減税率、レジ改修などに補助金 予備費から996億円 2015年12月18日

 税制の法案も閣議決定して、国会に提出されました。

軽減税率盛り込んだ税制改正の関連法案 閣議決定 2016/2/5

 さて、前半にも少し言及しましたが、高橋氏の発言の変化に関して言及しておきます。

 増税延期には法案を通すことが必要でそれは困難と言っていたのに、「景気条項」を根拠に増税は止められる、必要なのは首相の政治的な意志とパワー。凍結法案の形式は簡単と論調が変わった件。これは増税判断するには、余りにも景気が落ち込みすぎたこと、そしてその時の財務省と官邸のパワーバランスを見て、増税延期は可能と高橋氏は考えた。それだけなのではないでしょうか。8%の増税の時は、凍結法案の形式が簡単だったことはわかっていたけど、そこまでの政治的パワーは安倍総理になかったと見ていたのでしょうね。

 そして増税延期後から現在に至る発言もその時々の判断として整合性の取れることを言ってらっしゃるのでしょう。1月4日のご自身の記事でも言ってらっしゃいますが、政治は一寸先は闇なので断定的なことはいえないのですから。

 言説が変わったことの間に説明がない。ご本人としては変えたつもりがないあるいは、私が読んでいない雑誌などで説明されているのでしょうか。ただ現実が変わればそれに対する見方、考え方は変わるということなのでしょう。高橋氏にとっては説明するまでのことでもないということなのかもしれません。これを変節と言っている人をあまり見かけないのがなぜなのかはわかりませんが。

 高橋氏の政局の読みに対する信頼に、安倍総理との近さというのもあると思います。ただ、総理が高橋氏に動いてほしい時ならともかく、そうでないときに本心を話すのでしょうか。政治家とは私は基本的には本心を明かさないものだと思っています。特に総理大臣ともあろう人ならなおさらでしょう。そしてどんなに信頼する人からの助言でも受け入れられる時とそうでないこともあるだろうと。そうでなければ、本田内閣参与、浜田内閣参与がついていてなぜ消費税を8%にしてしまったのでしょうか。

 なぜ私があえてこのような記事を書いたのか。前半にも書きましたが、それは「高橋氏が言っているからこうだ」とか「〇〇はこう言っているけど、高橋氏はこう言っている。どっちが当たっているか」などの意見をネットで散見したからです。私は高橋氏の経済的な知見を高く評価しています。しかし高橋氏は無謬の預言者ではありません。経済学的に正しいことを言っている人が、政局の読みも必ず当てられるなどの保証はないわけです。政治は一寸先は闇。その時々の政治家や官僚の動きで予測することはある程度できますが、必ずしもそうなるというものではありません。そもそも経済学的に正しいことが政治でまかり通りならば、現在の20年近く続くデフレに日本が陥ることはなかったはずです。

 今回は自戒を込めてこういった記事を書きました。ある人の言説を無条件に信じるのは危険です。誰が言っているかは確かに大事です。しかし、何を言っているかもしっかりと見極め、出来る限り広く深く情報を収集して情勢を判断することが大切だと思います。自らの目で見て、自らの頭で判断して出した結論なら後悔することも少ないですし、その後また情勢の変化を見極めながらなにが正しいのかを考えることが出来ますので。誰かを盲目的に信じて、その人の言ったことが外れたなどと叫ぶような見苦しい真似をするのはごめんですからね。

 次回は増税延期のためには解散総選挙が必要かどうかについての記事を書く予定です。


テーマ : 政治・経済・時事問題
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富山市在住。夫と息子、猫2匹と暮らす会社員。

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