チャンネル桜の皇室報道 ②インフォメーションとインテリジェンスを考える

 

 前回の続きです。インフォメーションとインテリジェンスと題しましたが、報道とはどうあるべきかという話になります。

 水島社長は何か起こるたびに公開質問状なるものを送っていますが、それで自分たちの納得いくような回答を得られたことがあるのでしょうか。今回は毎日新聞からは返答がありましたが、水島社長は「木で鼻をくくったような」と言い、最初からこのような回答が来るであろうことはわかっていたような言い方でしたね(だったらなんで送る?)。しかしながら、例えば朝日新聞から「映画『南京の真実』の支援金を募った際にガラス張りの会計を約束していましたが、その収支を公開していただけませんでしょうか」との要望書と公開質問状が送られてきた際に、水島社長は素直に応じるとでも言うのでしょうか。「私を信じてもらうしかない」あるいは「水島を陥れようという外国勢力の陰謀」以外の返答を是非お聞きしたいのですが、そうはならないでしょう。そもそも、取材も何もせずにくれくれだけで真実を知ろうということ自体間違っていると思います。

 今回の毎日新聞のスクープの真実とは何か。宮内庁は情報漏洩した人物がいたとしてもそれを公にはしないでしょう。毎日新聞にしても当然ですが、取材源の秘匿のために明らかにすることはあり得ません。今回の件の真相究明が出来るなどとおこがましいことは言いません。去年の所謂「生前退位」報道も最初は耳を疑いましたが、後の報道から少しずつ背景が見えてきました。真相が解明されることがあるのかはわかりませんが、備忘として、所謂「生前退位」を巡ってどんな報道がされたのか、チャンネル桜が何をしてきたのか、他はどうだったを合わせて検証したいと思います。

 去年の7月13日、陛下の退位の御意向という形でNHKがスクープし、他の報道機関も一斉にそれを報じました。

天皇陛下 「生前退位」の意向示される 2016年07月13日 (水)

天皇陛下、生前退位の意向 皇后さま皇太子さまに伝える 2016年7月13日21時13分

 その時のチャンネル桜の放送がこちらです。

【Front Japan 桜】事実無根!?「生前退位」報道 / 都知事選、仕組まれていた野党共闘 / ヘリコプターマネー検討、安倍首相周辺で浮上!?[桜H28/7/14]



 宮内庁の次長も長官も否定している。それなのに新聞は書いた。国家破壊だ、誤報どころか謀略宣伝報道だ。新聞社は国民全員に土下座してお詫びしろ!!という論調でした。

 その後、陛下による御言葉が8月8日に放送されました。

 その時の放送がこちら。

 【Front Japan 桜・特別番組】天皇陛下のお言葉を承って[桜H28/8/9]



 新聞社に対して「国民全員に土下座しろ!」と言って謀略報道呼ばわりした反省の言葉などもちろん一言もありませんでした。残念なことに小堀先生まで、「東宮殿下に摂政としてお立ちになっていただくしかない」とちゃんと陛下のお話聞いてましたか?と首をかしげざるを得ない発言をし、水島社長に至っては摂政を置くことで「皇太子殿下夫妻の修練になる」とまで言い放つ始末。皇太子殿下に向かってあまりに不敬ではないでしょうか。

 比べるのが失礼だと思いますが、チャンネルくららではどうだったのでしょうか。まずは7月13日の放送。

 【7月14日配信】緊急特番 陛下の「生前退位」を語る 竹内睦泰 倉山満【チャンネルくらら】



 誤報だ!宮内庁による情報漏洩か!などと騒ぐことなど全くなく、「号外の段階で別に我々が宮内庁を独自取材しているわけではないんですが、チャンネルくららっていうのはインフォメーションが飛び込んできたときに、インテリジェンスを下すという趣旨でやっていますので、こういったニュースをどう読むか何ですけど」と、生前退位ということは陛下が上皇になられること、それが江戸時代の光格天皇以来の大事件であること、摂政を置くことは可能であるが、摂政では出来ない祭祀があること、天皇とは憲法や皇室典範を超えた存在であることなどが淡々と語られます。

 陛下のお言葉を受けての放送はこちらです。

【8月8日配信】緊急特番「陛下のお言葉を受けて」竹内睦泰・倉山満【チャンネルくらら】


 竹内睦泰先生により、今回の「御言葉」は憲法下で象徴天皇として言葉を選んで語られたこと。本来は天皇は憲法の外にある存在であること、国体と政体の違い、今回は政体としてのお言葉で語れなかったことがあること。陛下の発した「殯(もがり)」という言葉、この神道の儀式を出されたことから考えられることがあることなどが語られます。

 チャンネルくららでは他にも皇室についての良質な番組が多数ありますので、是非「天皇」「皇室」などのキーワードで検索してみて頂きたいです。女系論で有名な高森明勅先生がよく出演されているので見もせずにコメント欄を荒らす人が多数いますが、そのような偏見無しでお願いします。そもそも「“女系論”をとことん訊く~譲位と皇位の安定継承について」以外では女系論については語られていないのですから。

 さてその後のチャンネル桜でどのような報道がなされたかというと、故渡部昇一先生や小堀桂一郎先生、加瀬英明氏を呼んでの特別番組。その後もことあるごとに今回の陛下のお言葉に関して水島社長は繰り返します。

 【緊急特番】皇位継承の危機?渡部昇一、小堀桂一郎、加瀬英明[桜H28/9/1]


【Front Japan 桜】国体破壊の危機「生前退位」の正体!加瀬英明氏「皇室典範改悪の陰謀」とメディア報道[桜H28/10/20]


【特番】皇室・皇統の問題を考える -小堀桂一郎氏に聞く-[桜H28/11/20]


 非常に残念なのは、皇室とは、天皇とはどういった存在なのかが歴史的に語られたりすることや、陛下がどのような思いでこの御言葉を発せられたのかより、自分の思いが中心に語られるのです。加瀬氏は論外、今回は小堀先生も残念な発言が多かったです。水島社長に至っては、天皇が個人としての言葉を語るのがどうかだの、テレビに出て話すべきではないだの、平成の人間宣言だの。結局チャンネル桜を見ても、「水島社長が考える皇室」「水島社長の思うあるべき天皇」について知ることが出来ても、今回の所謂「生前退位」が何だったのかについては知ることが出来ないのです。インテリジェンスどころかインフォメーションとしても片手落ちです。

 その後、結局彼らが何をしたかというと、こともあろうに三笠宮殿下が薨去なさった日に皇室典範改悪(本当は一字一句変えるなという主張)反対デモ。そして譲位阻止集会です。

「皇室典範改悪」絶対反対!緊急国民行動 ①


【草莽崛起】11.23 皇室・皇統を考える国民集会 [桜H28/11/26]


 そして、ここまで大騒ぎをしておきながら、特例法に関してはほとんど何も報道せず、水島社長はひたすら「陛下の個人としての言葉ガー」と繰り返していたのです。

 今回の毎日新聞のスクープの前にこのようなニュースがありました。

 有識者会議に、天皇ご学友たちの懸念 生前退位はうやむやに? 2016/11/30 07:00

 前の記事にも書きましたが、このようなことが陛下の直接のお言葉ではなく漏れ伝わるのを良しとはしません。そして、このことがあるから毎日新聞のスクープが真実だというつもりもありません。しかしながらこのことで大騒ぎをして宮内庁や毎日新聞を叩き続けることに何の意味があるのか、少なくとも真実につながるために良い結果を生むとは思えません。

 インフォメーションが飛び込んできたとき、そのニュースをどう読むかに関して、私のような素人がどうこう言うより、こちらに大変よい記事があります。

 

 山口敬之氏による『退位報道の裏側「キーマン」はなぜ消えた?』です。NHKが速報を打った瞬間から、政府側は原稿を誰が書いたのか、情報を誰が漏らしたのかなど、それこそ13日の深夜にはある程度の特定がなされていたそうです。そしてNHKの速報を追っての各社の報道、特に朝日新聞の「天皇陛下 生前退位の意向」として右肩縦書きの見出しに「皇后さまと皇太子さまに伝える」と絶対に誤報の許されない言葉が書かれています。内容もかなり具体的で踏み込んだものとなっています。これをどう読むのか。

 保守の人たちの中には「朝日新聞は売国で捏造だから読まない」という人もいると思います。しかし当然ですが、朝日にも様々な人がいますし、偏向した記事を書くことを目的としてやっているわけではありません(当然ですが毎回そんなことをしていたら潰れる)。きちんとした情報が取りたかったらそれこそそのような偏見を一旦除外して記事を読む必要があります。そして、山口氏自身の取材もありますが、様々な報道や官邸の動きから今回の所謂「生前退位」報道から特例法に至るまでの経過( 2016/11/26発売ですのでそのくらいまでの)が語られます。

 こちら非常に興味深く、KINDLEでも手に入りますので、是非読んで頂きたいです。
 そしてこちらの記事のタイトルにもなっていますし、ニュースにもなっているのでご存知の方も多いと思いますが、今回の「生前退位」報道に関係すると思われる人事異動が行われています。宮内庁も官邸もこと皇室における重大なことがあったときに、知らぬ存ぜぬをしているわけではなく、情報収集し真相を解明すべく動いているわけです。その真実がいつ明らかになるのかはまた別の話ですが。

 チャンネル桜が報道メディアとして歪んでしまう理由の一つに、桜が「頑張れ日本全国行動委員会」という政治団体とほぼイコールなのも関係していると思います。しかしながら、政治団体としても何をしているかというと、朝日新聞、NHKへの抗議活動に、民間防衛と称した、麻布警察署や水産庁、海上保安庁への嫌がらせ。何を目的とし、何の成果を上げているのかさっぱりわかりません。
 
 そして、現在の宮内庁、毎日新聞への抗議活動に刑事告発です。

 彼らのこの行動が自らの放送と政治活動を盛り上げるため以上の目的があるのか。そもそも今回の刑事告発が受理されること自体怪しいですが、それに関する続報があるのか。注視したいと思います。




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富山市在住。夫と息子、猫2匹と暮らす会社員。

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