倉山満・杉田水脈 みんなで学ぼう日本の軍閥 感想


 インターネット放送のチャンネルくららで放送されていた同タイトルの番組の書籍化です。

みんなで学ぼう!日本の軍閥

 番組もとても面白かったのですが、やはり文字になっているのを改めて読むと頭に入りやすくて助かります。番組の中のお二人の楽しげな様子がそのままに本になっています。

 「軍閥」というとどのようなイメージを持たれるでしょうか。こちらで言われる軍閥は中華民国のような地方に割拠している軍閥ではなく、軍の中の派閥のことです。陸軍、海軍から主な人をピックアップして紹介しています。

 第一部の陸軍編では、山縣有朋、桂太郎、寺内正毅、田中儀一、宇垣一茂、石原莞爾、荒木貞夫、永田鉄山、東條英樹が、第二部の海軍編では山本権兵衛、東郷平八郎、大角岑生、斎藤実、米内光政、山本五十六が紹介されます。

 人物に焦点を当てて語られ、同時代に活躍している人もいるため、同じ出来事も繰り返し語られることになるのですが、人によって立場が違うため、その出来事がより鮮明に浮き彫りにされます。例えば満洲事変一つとってみても、当時のチャイナの軍閥の横暴と何よりソ連に備えるためにそれを指導した石原莞爾、満州事変によっておこった政権交代を利用し、実権を握った皇道派の荒木貞夫、事変の時は関東軍に大砲などを融通して援助したが、皇道派に主導権が移ったため主要なポストには有り付けなかった統制派の永田鉄山など、それぞれの視点で語られることにより、その出来事がどのような影響を与えたのかが見えてきます。

 戦前は軍部が台頭し、政治家の発言力が弱くなったと学校では教わった気がします。しかし、そもそも軍部とはなんでしょうか。陸軍と海軍では立場が違いますし、それぞれも一枚岩ではありません。陸軍も海軍も予算の取り合いで国防方針を決めたり、軍から総理大臣が出ても、衆議院の力が強いため、強い政党政治家にすり寄ったりと、どうも学校の時に教わったのとはイメージが違います。最後に紹介される山本五十六など、三国同盟に反対していたため、民間右翼が山本五十六を暗殺しようと動き出し、海の上にいれば暗殺出来ないという理由で連合艦隊司令長官にされたなど、本当にまじめに戦争をする気があったのかと疑いたくなる状況です。日露戦争のとき、序列に関係なく人物を見定めて東郷平八郎を連合艦隊司令長官に抜擢した山本権兵衛に比べると、余りの組織の劣化に涙が出そうになります。

 一番、印象に残ったのは、山本権兵衛のエピソードです。先ほどの、日露戦争でのエピソードもそうですが、関東大震災が起こったとき大命は下っていたため、彼が総理大臣になることは決まっていたのですが組閣が出来ていない状況で「私が責任を引き受けます」と組閣を完了させるや、真っ先に緊急勅令を百三十本だしたという話。本当は緊急勅令を出すには枢密院を招集しなければならないのですが、震災で集まれず開けないので全部自分の責任で行い、震災処理を七十七日で終わらせました。当時の憲法学者は誰も彼を「憲法違反だ」と責めることなく、山本の緊急対処の能力を褒めたそうです。東日本大震災の時の総理が山本権兵衛のような人だったらと思うと本当に悔やまれます。あの時、山本のような行動を当時の菅元総理がやったら誰か責めたのでしょうか。現在、とっくに行使している集団的自衛権を「違憲だ!」と言って責め立てている憲法学者のような人達だったら、国が亡びるような災害でもそういうのでしょうか。現在、我が国は戦争状態にはありませんが、明確に脅威が存在する中、今、打てる手を打っておかなければいずれ滅びの道をたどるような気がします。

 現在の我が国は、他国の脅威に立ち向かおうにも、憲法や法律によってがんじがらめにされている状態です。何よりも一番、縛られているのは私たち自身の心ではないでしょうか。歴史にもしはありませんが、歴史を学ぶことによって同じことを繰り返すことを避けることは出来ると思います。そして、たった今何が出来るのかを考えることが大切なのだと思います。


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富山市在住。夫と息子、猫2匹と暮らす会社員。

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