ニコニコ生放送 【安保法制】次世代の党 和田政宗 vs 憲政史家 倉山満 対談生中継 を見て ~安保法制に関する誤解とは

 先日、7月17日にニコニコ生放送で次世代の党の和田政宗先生と憲政史家の倉山満先生による安保法制に関する対談が行われました。

【安保法制】次世代の党 和田政宗 vs 憲政史家 倉山満 対談生中継

 Youtubeでも動画が上がってます。

【安保法制】次世代の党和田政宗vs憲政史家倉山満対談 2015.07.17

 論点のわかりやすいとても有意義な対談でした。倉山先生の説明はいつも明快でわかりやすいのですが、和田政宗先生もとてもユーモアがあり、言うべきことをはっきり言う方で、しかもさすが元NHKのアナウンサー、とてもお話が聞きやすい。1時間があっという間に感じられるのでぜひ動画の方をご覧ください。
 
 この放送で倉山先生が言っていることで特に重要なのは、今まで政府は一貫して集団的自衛権の行使を禁止してきたのに、安倍内閣の一内閣の判断で解釈改憲して集団的自衛権を行使できるようにしているように言われていること。あまつさえ政府の説明や、マスメディアの中でも安倍政権に好意的な産経新聞の記事でもそのように取れてしまうこと、それが全く事実に反することだということです。

 集団的自衛権の行使に関しては、このブログ内では散々言ってきていることですが、米軍への基地提供などを通じて、とっくに行使していますし、し続けています。昭和47年の政府解釈で当然に保有しているものをその当時の解釈で、今は行使できないようにしましょうとした(本当は行使している)。出来るものを出来ないようにしただけで、国際情勢の変化によってまた出来るようにするということなので本来何の問題もないことのはずなのに、なぜかそれ以前に集団的自衛権の行使が禁止されていなかったことの説明が抜けているために話がわかりづらくなっているのです。

 そもそも憲法解釈が変遷してきたことは政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書にも書いてあります(Iの1.憲法解釈の変遷と根本原則)。ただ岸内閣から、田中内閣に飛んでいて、池田内閣、岸内閣の間で何が起こったのかが書いてないのが問題です。

「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書

 国際法と憲法の解釈をかい離させたのは佐藤内閣で8年間内閣法制局長官をやった高辻正巳です。(この動画で倉山先生が樋口恒晴先生の「一国平和主義の錯覚」の記述を読み上げています。)

(「平和」という病 P135より引用)

 確立された国際法規、いわゆる慣習国際法といいますか、そういうものは実は憲法との間に抵触関係はない。憲法は一国の最高法規でございますが、その一国と言うものは実は国際社会に存在しておるわけでございますから、その国際慣習法ともいうべき確立された国際法規とは抵触を生ずるはずはないという考えでございます。ただし、一国と一国が結ぶような特別の条約、ご指南の部分はそういうものが含まれているのだと思いますが、そういうものにつきましては、憲法はやはりそれに優先する。ただし、憲法以下の法律は、条約に矛盾すれば条約の方が優先するという考えでございます。したがって、現実には何が確立された国際法規であるかという解釈問題に結局変わってまいります。
(引用終わり)

 高辻正巳が言ったことを要約すると、倉山先生いわく、国際法が何を言ってようが、単なる条約じゃなくて、数百年間文明として確立して来た慣習として積み重ねてられてきた国際法であっても内閣法制局は関係ない。憲法と抵触するような国際法は国際法じゃない、だからそれを解釈するのは俺だ。というめちゃくちゃなもの。こちらの「一国平和主義の錯覚」は現在『「平和」という病』というタイトルで再刊されており、憲法解釈がいかに時の政府によりコロコロ変わってきたかが詳しく書かれていますので、ぜひ読んでいただけたらと思います。




 現在、この安保法制の議論の中で、集団的自衛権が違憲だとする憲法学者が多数いるため、この平和安全保障法制自体が違憲ではないかという声が大きくなっています。しかし本来、個別的であれ集団的であれ、自衛権は自然権にあたるものです。ほとんどの国の憲法典には集団的自衛権に関する記述はありません。なぜなら書こうと書くまいと、当然持っている権利だからです。この動画の中では「高い所からものが落ちてきたらよけるように、川でおぼれている人がいたら当然助けたくなるように、憲法であろうが法律であろうが、条文で禁止したところで禁止しきれるものではない」と自然権は説明されています。そもそも自衛権は国際法上、当然に主権国家に認められている権利であり、国際法とは慣習法であって、そのように見いだされたものであって、否定しようのないものです。それをその時の状況で行使しない、という判断をすることは出来るでしょうが、禁止してしまうなどということは出来ないはずです。そして国際社会で生きていく限り、憲法典は国際法と齟齬がないように作られ、解釈されなければならないはずなのに、どうも日本の憲法学者の頭からは「国際法」という概念がすっぽり抜けているように思います。ましてや内閣法制局は、そんなものは自分が決めるとでもいうつもりでしょうか。

 今回のこの法案、成立させることは可能だと思いますが、今のこの説明のまま可決してしまったら、何が問題か。日本国憲法という憲法典は、でたらめであれ何であれ日本の憲法であり、条文は尊重しなければならない。その日本国憲法の条文と解釈によって禁止されてきた集団的自衛権を初めて安倍内閣が一内閣の解釈変更で行使できるようにしたという風に国民に誤って伝わってしまう。安倍総理はきちんと説明しているのに、そのように伝わってしまって、困るのは国家であり国民。安倍総理自身も、東条英機と一緒の形で歴史に名を残してしまうし、これが後の政府の解釈も縛ってしまうと倉山先生はこの動画で説明しています。衆議院では、結局、野党は揚げ足取りに終始し、マスコミはまるでこの法案が通れば戦争になったり、徴兵制になるのではないかと不安を煽るような報道を続け、全く間違ったイメージでこの法案に関して語られることになってしまいました。参議院ではぜひ、建設的な議論が行われること、そして何より政府によって、集団的自衛権の行使を一貫して禁止してきたわけではない、もともと行使していたものを、その時の政府の解釈で出来ないことにしていただけであることを説明していただきたいと思います。

 長々と書きましたが、倉山先生自身が「倉山満の砦」で今回のこの放送やそれに関する説明をわかりやすく書いているので、それも合わせて読んでいただきたいと思います。

自民党に政権担当能力はあるか?

模範答弁

安倍首相テレビ生出演に関して
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富山市在住。夫と息子、猫2匹と暮らす会社員。

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