今更ながら安倍談話について~倉山満「歴史戦は『戦時国際法』で闘え」と中西輝政「外務省に奪われた安倍外交」を読んで

 
 本当に今更ですが、前回の感想に加えて安倍談話について語りたいと思います。最初に談話を聞いたときに感じた事。「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。」この言葉は良かったかなあ。と、しかし、この談話の中で使われた「民族自決」の言葉に、なぜこの言葉を使わなければならなかったのかと思いました。

 その後こちらの報告書を読みました。

20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会(21世紀構想懇談会)

 ざっくり読んだ時の感想をFBにこのように書いています。「とりあえずアメリカ様とウィルソン様が素晴らしいと言いたいようです。そしてとにかく日本が悪いと。」そして、この投稿にコメントを頂いた方にこのように返信していました。「暗澹たる気持ちになりますね。これが有識者とは。こうでなければ、学界では生き残れないし、政府内で発言もできないということなんでしょうね。逆に首相談話がよくあの程度で済んだものだなと思います。」
 
 「民族自決」という言葉ですが、倉山先生の著書ではレギュラーメンバーにもなっているウッドロー・ウィルソンが唱えたものです。一見、当然のことのようにも思えます。しかし、そもそも民族とは何でしょうか。人種とは意味が違います。これは日本人には非常にわかりづらい言葉ではないでしょうか。倉山先生はこのように説明します。

「歴史戦は『戦時国際法』で闘え」(P18~19)より引用

「Nation」というのは、主権国家を持つ意志と能力を持つ集団のことをいいます。
「Ethnic」は、主権国家を持つ意志と能力を持たない集団です。
 人種なら、肌の色で区別がつきます。部族なら血統、つまり誰と誰が親子関係にあるかという血縁関係で区別がつきます。自然科学的に説明できることです。
 けれど、「民族」という場合、「Nation」なのか「Echinic」なのかで、最終的には実力で解決するしかないのです。つまり殺し合いで決着をつけるしかないのです。

(引用終わり)




 これが大袈裟ではないことは、倉山先生の著書『真・戦争論 世界大戦と危険な半島』を読んでいただければよくわかります。バルカン半島で繰り広げられている民族主義の激突。あの悲惨なユーゴ内戦のことは記憶に新しいことかと思いますが、「民族自決」の言葉でこのようなことが正当化されることがどれほど恐ろしいことなのか、お分かりいただけると思います。



 こちらは私のブログでも感想を書いていますので、ご参考までに。と言いつつも、この回の感想はどちらかと言うと、なぜ倉山先生の本は読みやすいかの解説ですが。

倉山満 「真・戦争論 世界大戦と危険な半島」 感想

 民族問題が深刻でない日本であっても、「アイヌ」や「琉球」を取り上げる人たちがいます。彼らは日本人とは別の民族で、特に琉球は日本とはもともと別の国なので独立すべきだ言います。そもそも沖縄が日本ではないということの事実関係にも疑義がありますが、本当に独立したらどうなるのでしょうか。独立派の方たちの主張を聞くと、大体が米軍基地は撤退して、非武装で独立する。軍事基地があるから紛争が起こる、などと言っています。中国が尖閣だけではなく沖縄まで自国の領土だと主張することがある今、沖縄独立を叫ぶのは国を売り飛ばすこと、チベットやウイグルと沖縄が同じことになっても良い、と言っているようにしか聞こえません。

 なぜ安倍談話でこのような言葉を取り入れなければならなかったかというと、さっき上げた有識者懇談会座長代理・北岡伸一大先生様の主張全開の報告書が元になっているからにほかならないのでしょうが、わざわざ琉球独立派を元気づけるような、そして国際社会からこの問題に対して突っ込まれるような言葉をあえて、使うことは無かったのではないかと思います。

 安倍談話に関してこちらの本の中で、有識者懇談会のメンバーである中西輝政氏の「Voice」の論文「外務省に奪われた安倍外交」についても言及があります。中西氏によると、「安倍談話」の英文は「村山談話」と対して変わりがない内容なのだそうです。



 中西氏の指摘する問題点は主に3つ。

 一つ目は、「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない(Incident, aggression, war – we shall never again resort to any form of the threat or use of force as a means of settling international disputes.)」の「もう二度と」と言う箇所。この「もう二度と」という言葉のせいで、明らかに「一度は侵略した」と日本政府が公式に認めたことになってしまう事。

 二つ目は「先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。(中略)こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります」の「揺るぎない(unshakable)」という一語。
 「歴代内閣の立場を継承します」とだけ言っていればよかったものを、村山談話や小泉談話で継承表明された日本の立場を単に引き継ぐのではなく、日本国の「国是」として確固たるものにするような意味になってしまうとのこと。

 そして三つめは「あの戦争には何らかかわりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わねばなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります」こちらの「しかし、それでもなお(Still, even so)」逆説を意味する接続詞「しかし、それでもなお」が入ることによって「謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」は打ち消され、否定されるのだとか。

 詳しいことは、是非Voiceの方でお読みいただきたいのですが、これを言いがかりだと思いますか?それほど慎重にやらなければプロパガンダでやられてしまうと言うことです。もちろん、それを跳ね返すだけのことを日本が出来れば別なのでしょうけど、それをやれているようにはとても見えません。

 安倍総理の応援団である中西氏がメンバーにいてなぜこのようなことになってしまったのか。会議の委員構成上結局所謂安倍派は14対2の圧倒的な少数派だったそうです。そんな中でも何とか、日本の戦争が「侵略」でなかったことを後世に示すことが出来たと中西氏は言います。それが先ほどの報告書にあったこちらの注釈です。

1 複数の委員より、「侵略」と言う言葉を使用することに異議がある旨表明があった。理由は、1)国際法上「侵略」の定義が定まっていないこと、2)歴史的に考察しても、満州事変以後を「侵略」と断定する事に異論があること、3)他国が同様の行為を実施していた中、日本の行為だけを「侵略」と断定することに抵抗があるからである。

 しかし、ここでの中西先生の尽力もむなしく、北岡大先生様はそれをぶち壊すような会見をしています。

北岡伸一 国際大学学長 2015.8.31


気になった発言を抜粋

 総理は「日本が侵略をしてないとは私は一度も言っておりません」と何度も言っておられるんですよね。じゃあこれは一歩進めて「侵略した」と言ってくれないかなと。そうすると国際社会の通りも良くなるんだけど。

 侵略とは何か。軍隊を送り込んで、大量に多数の人を殺して、財産を奪いとって、主権を制限して、ひどいことをした。それは侵略と同じではないでしょうか。       

 (侵略と言う言葉に対して)国際法だけではこれはちょっと微妙な問題が生じる。なぜなら現在は侵略は違法ですから、侵略したら制裁が科せられるわけです。

 普段国際法に何の関心もない、国際法の「こ」の字も知らない人が、国際法上定義がないから侵略と言う言葉を使っちゃいけないと言う人がいますがまあ笑止千万であります。


(抜粋終わり)


 北岡大先生様は安倍総理に対して「侵略」と言う言葉を使ってほしかったようですが、なぜここまで、日本(だけ)が悪かったことにしたいのでしょうか。そもそも2番目の文章の侵略の定義が正しければアメリカも侵略国家です。そして最後の文章ですが、これは中西氏をバカにしているとしか思えません。

 今の外交上、国内上の問題を考えれば確かに安倍談話は安倍総理の出来る精一杯だったのかもしれません。しかし、だからと言って支持者がそれを受け入れ何も言わないことが本当に安倍総理のためになるのでしょうか。それこそ、中西氏の言う通り、この程度でいいのだと政府にも反対勢力にも思われることになるのではないでしょうか。前々回書いた経済政策にもつながると思います。これでは、なんでも反対の人たちの方にばかり総理や政府は目を向け、本当に応援している人たちの言葉に耳を傾けないことになるのではないでしょうか。支持者が建設的な批判をすることは大事だと思います。そういう人に石をぶつけるような真似をする人が何をしたいのかわかりませんが、敵と味方を見誤ることの無いよう気を付けたいものです。

テーマ : 保守主義
ジャンル : 政治・経済

和田政宗 戦後レジームを解き放て! 感想


 次世代の党の政調会長、和田正宗先生。先日のニコ生の対談も面白くて有益なものでしたが、参議院での質疑も本当に素晴らしかったですね。


和田政宗議員と安倍晋三総理大臣の素晴らしい議論(2015年7月29日)



 衆議院での他の野党のあのむなしい質疑は何だったのかと思いました。もう、次世代の党だけでいいのではないかと思ってしまいます。次の日の中山恭子先生の質疑も拉致被害者を取り返すという視点に絞り、その上で法案をより良いものにしていくための前向きなものでした。

 和田議員の質疑を受けてのその意図が良くわかる動画がチャンネルくららでUPされていますので、こちらもご覧になられるとより理解が深まると思います。


【8月4日配信】和田政宗先生 大勝利者インタビュー!「安保法制特別委員会&NHK日曜討論」和田政宗 山村明義 倉山満【チャンネルくらら】



 さて、今回の記事は、その和田先生がまだみんなの党に所属していた時に出版された本の紹介です。戦後レジームとはいったいなんであるのか。メディア、教育、憲法などを通じてGHQがどのような罠を日本人に仕掛けたのか。そしてそれがどれほどまでに現在の我々を縛っているのかが書かれています。

 和田先生は元NHKのアナウンサーだったため、その時の自らの体験などを語っているのですが、なんだかここで読んだようなエピソードをちょっと前にも見たような・・そうです。先日感想をUPした上念司先生の「高学歴社員が組織を滅ぼす」で書かれているそのままのことがNHKでも起こっているようです。

上念司 「高学歴社員が組織を滅ぼす」 感想

 日本のメディアは全体的に左傾化している印象を受けますが、それは特定の勢力の意思で動いているという簡単なものではなく、保守的なことを言うと軍国主義の礼賛につながるのではないかという漠然としたおそれ、それこそGHQによる統制の産物と、それによる左派の人のバッシングを恐れる気持ち、要は外部からのクレームを受けることで組織内で冷遇されることを恐れる事なかれ主義的な官僚組織化した体制。これがメディアの成熟を妨げていると和田先生は言っています。

 最後の章で台湾の元総統の李登輝先生との交流を通じて、本来の日本人の精神についてと和田先生の政治家としての覚悟について書かれているのですが、現在の安倍政権に対する思いを読むと、党など関係なく日本のことを思って奮闘されている方なのだと強く感じます。安倍政権の足を引っ張る事だけしか考えず、なんでも反対の野党は日本のことを考えて政治を行っているのか、それだけでなく、自民党員ですら隙あらば安倍総理の足を引っ張ることを考えているのではないかと悲しくなります。和田先生は前回の参議院議員選挙で当選したばかりの方ですが、日本のためにこのような政治家が増えてくれればと強く思います。



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ジャンル : 本・雑誌

佐々木惣一は天皇退位論者か~松尾論文を読んでの考察~

 この論文を読むことになったきっかけ。Twitterのタイムラインで「佐々木惣一は天皇退位論者。倉山満はそんな人を高評価してる。ファンは西部中野組の天皇退位を叩くのに、倉山さんの評価している人の天皇退位はスルーするのか」という趣旨のツイートが流れてきました。

 かの人物は最近、執拗に根拠の乏しい理由で倉山先生を叩いていて、私は以前フォローしていたのですが、余りに目障りになったのでフォローを外していました。しかし、私のフォローしている人にも彼女のフォロワーがいて、たまにタイムラインに流れてきます。
 単なる根拠のない批判ならスルーしようかと思っていたのですが、学術論文を付けての批判。ならばとりあえずと論文を読んでみました。

敗戦前後の佐々木惣一--近衛文麿との関係を中心に

まず全体を読んでみて結論に愕然としました。(以下『』内は論文からの引用)

 『国体維持を第一義とした近衛は、もし生きて巣鴨の獄中にあったとすれば、新憲法にどのような感想を抱いたか。また木戸と同様死刑を免れたとすれば、自らの戦争責任をよそに、皇位に固執し続ける天皇を眺めながら、どのような余生を送ったことであろうか。』

 皇位に固執し続ける天皇?いったいこの著者はどんな人なのでしょうか?

 松尾尊兌なる方の人物像wikipedhiaでは良くわからなかったのですが、インタビュー読んでなるほどと。

<インタビュー>3・1独立運動記念学会で訪韓した松尾尊兌氏

 「残念ながらも日本で過去に対する反省はほとんどない。問題は太平洋戦争の敗北後、天皇と天皇制が続いている点だ。戦争の最高責任者は天皇だが、天皇は戦犯裁判にかけられることもなかった。結局、戦争の最高責任者が自由の身になり、これは日本が悪いことをしなかったという認識に拡大した。今後はこうした行動に対する反省が出てくるよう期待する。それには日本人の認識が変わらねばならず、韓国との文化交流が活性化されねばならない。韓流のため、日本人が韓国の文化に関心を持ち始め、韓国の歴史と文化を新たに眺めようとする認識が日本国内に広がりつつある。韓流の広がりが、日本人が過去の過ちを反省する契機になればいいと思う」

 うーん。佐々木博士が天皇退位論者なのではなくて松尾氏が天皇退位論者なのではないでしょうか?

 でも学術論文はその人がどういう人物かではなく何が書かれているかが大事だと思い細かく読んでみました。

 佐々木博士が天皇退位論者なのではと思われる部分。

・p133より天皇退位、皇室典範問題について、佐々木と近衛が話し合ったという資料は発見されていないが、その可能性はあった著者は述べている。

・p134 6月25日に憲法改正案が衆議院に上程されると,佐々木は連日傍聴に出か けた。 貴族院では同じ6月25日,吉田首相の施政方針に関する質問の中憲法改正につき,「国家政治的基本性格」すなわち「天皇制度」を改憲により変更して差支えないかと質した。

・p134 新憲法には天皇無答責任の条文が欠如していることを指摘し、天皇の戦争責任に言及し、皇室典範に退位規定を設けることを暗に主張とある。

・p136 『近衛が要綱を、佐々木が草案をという役割分担も、相方了解した上のことであった。また両者の間には皇室典範を改正し、天皇の退位を促すという暗黙の了解もあった。』

 ここであげたもので
 p133の部分は資料が発見されていない、つまり著者の憶測の可能性もあるということですよね。

 P134の「天皇制度」を改憲により変更して差支えないかと質したとの部分は法律論の確認のようにも思えます。

 P134の天皇の戦争責任に言及し、皇室典範に退位規定を設けることを暗に主張したの部分ですが、p134~p135にある(第90回帝国議会貴族院議事速記録第25条)の佐々木博士の言葉を読み解くに、天皇に責任がないというのは誤解される。国家の政治にあたるものが責任がないということは一般的にはありえない。新憲法には天皇無答責任の条文がない。天皇陛下は戦争の結果においていろいろお考えになるであろうから、皇室典範で退位の規定を設けるべきではないかということ。要は新憲法では天皇無答責の条文がないことから、天皇が自ら退位できないのは法律上の不備だということではないか。

 P136の「両者の間には皇室典範を改正し、天皇の退位を促すという暗黙の了解もあった」というのも根拠のある資料の提示がない。

 これをもって佐々木博士が先帝陛下の戦争責任により退位させようとしていた人物だというには根拠が薄い気がしました。そしてこの論文中にもそれとは真逆の記述があります。

・p126 によると佐々木博士は摂政在任中の改憲を禁止した第七五条の再検討(改憲を可 としてよい)と憲法中に「憲法改正ノ手続ヲ以テスルモ国体ヲ変更スヘカラサルノ規定ヲ設 ク」の規定がないことを問題としていた。要は憲法の改正によって国体を変更されてしまう可能性があることを危惧していた(実際に天皇が統治者だったのに、主権在民になった)。

・p136 佐々木は万世一系の天皇が統治権を総攬するという国体を変更する必要はないと自説を展開している。
 
 そして現実として憲法改正案である佐々木草案では天皇に関する第1条から4条は帝国憲法からの変更はありません。佐々木博士は天皇による統治権も天皇の神聖不可侵性も変えるべきではないと考えていたということです。そしてこの論文の中でもいかに佐々木博士がご皇室を敬っていたのかが読み取れます。それなのに戦争責任を追及するために天皇退位を計っていた?

 どうにも論文に整合性を見いだせなかったので、倉山先生に質問してみました。倉山先生は「帝国憲法の真実」にも書かれているのですが、佐々木惣一博士の弟子筋にあたる先生方の研究会で憲法を学ばれたそうです。
 倉山先生によると、先ほどの佐々木博士の言葉通り、法律上は天皇は無答責のはずであるが、新憲法にはない。また、法律上無答責であっても、現実には(政治的に)無責任はありえない。天皇陛下が自らの意思で退位できないという規定は欠陥だということ。やはり法律論ですね。

 私のこの質問に対して他の方が、当時の仏教界では天皇陛下が出家すると言うことに関して、ありえないことと言う認識はなかったが、あくまで先帝陛下をお守りすることが目的であって、天皇責任論などには基づいていない、といったことも教えてくださいました。

 佐々木博士が単なる法律論や政治論ではなくどのようにお考えだったかは、倉山先生の「帝国憲法の真実」に書かれています。わかりやすく言うと次のようになります。

 もし日本国民の心が皇室からはなれ、憲法改定により国体を変革しようとしたとき、たとえ憲法典の条文と言えどもそれを押しとどめることは出来ない。
 そしてそのときには日本が日本でなくなる。


 それがどういう意図であったのか、詳しくはぜひこちらの本を読んでいただきたいと思います。

 ちなみに、西部中野の天皇出家論とは、ちょっとこのブログに掲載したくないので割愛させてください。「西部邁 天皇出家」「中野剛志 天皇出家」でキーワード検索すれば出てきますので。

 どちらにしても松尾論文を読んだだけでも佐々木博士がいかにご皇室に敬意を持っているかが読み取れるのに、結論が乱暴な天皇退位論になっているのです。松尾氏の持論を権威づけるために佐々木博士を利用したのでは?

 それでこちらの論文を読んだ感想を、前出のツイッターアカウントにぶつけてみました。

 すると彼女(ネットなので性別が明らかではないのですが女性の口調ですので彼女と呼ぶ)倉山さん、和田さん(参議院議員の和田正宗さん)が佐々木さんについて述べているソースを募集してただけで、私の意見には用がないという。

 はい?あなた西部中野組の天皇退位は叩くけど倉山さんの評価してる人の天皇退位はスルーなんてことは無いよな、って言いましたけど、これ明らかに倉山先生の支持者への挑発ですよね。

 すると、上念さん、倉山さんが煽る相手に対しては同調して群がる皆様に宛てて空中に放った、ときました。ああ、あなたの2500人以上いるフォロワーという空気の中にね、その人が撃った弾が私にあたったんですよ。

 どちらにしても私と論争する気はなさそうでしたので、倉山先生の発言のソースと著書を紹介しました。ちょっと捨て台詞を吐いてしまいましたが。

 疑いを持つこと自体は悪いことではないし、検証は大いにすべきだと思います。でも彼女のやっていることは根拠のない言いがかりが多く、今回は学術論文を付けてもっともらしく批判しているように見えて、中を読んだら結局トンデモ左翼の作文だったわけで。これを持って天皇退位論者の佐々木博士を高く評価してる倉山先生は偽装保守ではないか、みたいな批判はおかしいでしょう、ということを私は言いたかったのですが、それは彼女の気に入る言葉ではなかったようです。要は彼女のやっていることはないことの証明、もしくは魔女狩りです。

 どうやっても結論は出ないことですので、飽きるまでやっていただければと思います。

 一言。撃たれる覚悟がないのなら撃ってくるな、と。



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KAZUYA 反日日本人 感想

 Youtubeの登録者数22万人を超える人気Youtuber KAZUYAさんの4冊目の本。

 こちらは先日高岡エクールで行われた「KAZUYA×KAMIYA in 富山」で購入しました。実際に見るKAZUYAさんは背が高く色白のイケメンでした。お話も楽しかったのですが、本当に真面目に日本のことを考えている姿に好感が持てました。共演者の神谷宗幣さんもすごく熱い方で、神谷さんの自分の思いを人に伝えることが難しい、国のことを思って話をしているのに周りの人からは右翼呼ばわりされて悩んだという話には私も同じ悩みを抱えているので共感しました。話し方とか話題の振り方って大切ですよね。

 本の内容は、KAZUYAさんのブログで集めたアンケートに従って進みます。
 君が代を教えないのにアリランを歌わせる学校とか本当にどこの国の学校なんでしょうね。アンケートについて詳しく触れるのは避けますが、我が国の教育現場がいかに病んでいるのかが、わかる結果でした。もちろんひどい先生ばかりではないのですが、根本からいろんなところでおかしくなっているのだなあと。前回の「逆にしたらよくわかる教育勅語」の感想でも取り上げましたが、戦後の日本の教育がかなり歪められていることは間違いありません。

 私はいわゆる田舎で、今風に言えば保守色の強い地域で育ったのでしょう。祝日には国旗を飾り、行事ごとに君が代を歌う。小学6年生の時は君が代のピアノの伴奏をしたこともあります(プチ自慢)。この本来当たり前のことが当たり前に行われない地域や学校がある。北海道出身のKAZUYAさんが富山の講演で「君が代を学校で歌ったことのある人」と聞いた時、みんなが手を挙げたのを見て驚いたように、地域で大きな差があるようです。

 しかし、自分の国の国家が歌えなかったり、国旗を掲揚するとそれを引きずりおろそうとする国が日本以外でどれくらいあるのでしょうか。学校で教師が君が代のピアノ演奏を拒む国、それを表現や良心の自由だという国。愛国心という言葉を使うと右翼だと揶揄される国。これを異常だと思えない感性こそ異常なのではないかと私は思います。

 現代の日本にはさまざまな周辺諸国からの脅威があります。日本の側からも最近では中国や韓国に対してのバッシングも強くなってきています。しかし、本当に怖いのは何でしょう。外国からの脅威は目に見えやすい、でも内側は?本当に怖いのは中から日本を壊していく反日日本人なのです。外からの攻撃に備えるのはもちろんですが、自分たちを内部から壊していくこの反日日本人を日本人自らどうにかしなければ問題は解決しないのです。中からの侵略に関してはこの「反日日本人」でも取り上げられている「スイスの民間防衛」に詳しいのでこちらもぜひ一度読んでいただきたいです。当ブログでも取り上げています。

民間防衛 スイス政府編 感想

 KAZUYAさんのような若い方が世の中に出てきて、わかりやすくメッセージを発信してくれるのは本当にありがたいことです。最近は動画発信のみならず、各地での講演、本の出版など幅広く活躍する彼の今後に期待したいと思います。



堀栄三 大本営参謀の情報戦記 感想


 日本は侵略国家だったのか。田中上奏文という日本が世界征服を企てていたかのようなプロパガンダ文書がありますが、果たしてそのような野心を持って日本は支那事変や大東亜戦争を戦ったのか。この本を読むとそんなことがありえないことがわかります。いかに準備不足の中、日本が戦争に突入したのか、いかに情報を軽視していたか、そして大戦略を持たずに戦争をするということがどのような結果をもたらすのか、それを思い知らされ叩きのめされる作品です。

 帝国国防方針【明治40年(1907年)】により海軍はアメリカを仮想敵国としています。それにも関わらず、明らかに戦争準備が不足している。何しろ、開戦してから2年後にようやくまともな米軍戦法の研究がなされ、それを1冊の本にして配布しているのです。それに対してアメリカはその戦い方からして、日本と太平洋で戦争をするための準備をしていたことがわかります(作中では大正10年には始められていたのではないかと予想されている)。現場で働いている人は優秀で仕事をこなしながら情報を精査し、この著者である堀氏など「マッカーサーの参謀」と呼ばれるほどに、正確に米軍の動きを読めるまでになっています。しかし、その情報も大本営の作戦課は歯牙にもかけず、それどころか送った電報を握りつぶすような真似をしています。いったい大本営作戦課では何が行われていたのか。堀氏は「もう一つ奥の院のような中枢がある」と表現しています。

 この本を地図を見ながら読んでみて、改めてぞっとしました。日本の戦争目的はなんだったのかと。これほどまでに広大な範囲にわたって兵を派遣し、どうやって勝ち、どうやって戦争を終わらせるつもりだったのかと。実際に米軍と戦うまでもなく、補給もないまま孤島に取り残され亡くなった方がどれだけいたのかと。この本のところどころに出てくる言葉なのですが「戦略の失敗を戦術や戦闘では取り返せない」のです。いかに現場の兵隊が優秀でも、間違った戦略をそれで補うことはできません。情報の軽視、補給の軽視、この反省を生かさなければ、日本の未来はないのではないかと思います。こういったことは全く改善されておらず、東日本大震災の時、10万人以上の自衛官が派遣されましたが、彼らにはろくな食事が与えられず、ひどい口内炎に苦しんだそうです。しかも、どこにご遺体があるかわからないのでトイレを我慢させたが、食物繊維の不足で便秘になったので、トイレは必要なくなっただのと指揮官がインタビューに答えている始末です。いかに被災地とはいえ、孤島ではなく国内の災害救助でこれです。これが戦場だったら戦えると思いますか。元の記事が消えているのでリンクは貼りませんが「君塚栄治・統合任務部隊指揮官インタビュー」で検索すると該当記事を取り上げたブログ等出てきます。美談として取り上げている人が多いようですが、自衛隊とは戦えない部隊なのだと絶望的な気分にしかなりませんでした。念のために書いておきますが、自衛官の方を批判しているのではありません。このような状況でろくな予算もつけず、補給も考えずに働かせている人たちを批判しているのです。今の日本の現状はこんなに厳しいものなのです。堀栄三氏も戦後自衛隊に入隊していますが、あまりの状況に絶望してやめています。

 新しく出てきた資料や、現在の研究で日本にもアメリカにもかなりの数のソ連のスパイがいたことがわかっています。堀氏の情報を握りつぶした人間、間違った作戦を遂行することになった理由にそのスパイの存在が関与していることは想像に難くありません。はっきりした因果関係が明らかになるには今後の研究に期待するところです。しかし、明らかにされている事実ですら、全く学校の歴史教科書に記述がないのはなぜなのでしょうか。それどころかあからさまに間違っていることも訂正されずに、小中学校の教科書に記載されていることは非常に大きな問題です。少しでも多くの人が真実を知ること、知った人が声を上げていくことが大事だと思います。そして何より、先の大戦を真の意味で反省することなしには大戦で亡くなられた方が浮かばれないのではないのでしょうか。




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Author:yumikw
富山市在住。夫と息子、猫2匹と暮らす会社員。

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